漫画家イエナガの複雑社会を超定義 (漫画家イエナガの複雑社会を超定義)
平飼いや放し飼いなどケージを使わない環境下で鶏が産んだ卵は「ケージフリー卵」と呼ばれ、マクドナルドは25年以内に切り替える方針。すべての動物が健康で、ストレスなく過ごせるように配慮することは「アニマルウエルフェア」と呼ばれ、飼育に関する基準を満たした畜産物、代替肉といったサステナブルフードの市場規模は右肩上がり。遡ること1964年、作家のルース・ハリソンは自著で工場のような畜産の実態を告発した。イギリス政府は委員会を立ち上げ、家畜に必要以上の苦痛を与えないように配慮すべきと報告した。また、作家で、児童虐待の撲滅に尽力したアストリッド・リンドグレーンは「アニマルウエルフェア」の普及に大きな役割を果たした。スウェーデンはアニマルウエルフェアの先進国で、生産者に補助金を出すなどし、飼育方法の違いによる価格差はほとんどないという。
「アニマルウエルフェア」の普及を支えるのが投資家たちで、スターバックス、バーガーキングなど世界的な企業もアニマルウエルフェアに賛同。ただ、定められた基準を守ることで畜産の投資コストが上昇すると試算され、アメリカ・カリフォルニア州で新法が誕生したが、遵守しなければならないのは中西部、南部の養豚業者たち。販売ルートの変更を余儀なくされたり、経営困難に陥ったりしているという。日本でケージフリー卵を普及させるとなると、放し飼いでは衛生的な状態を保ちにくく、卵に付着した菌を取り除く手間、コストが生じる。一方、21年、山梨県は認証制度を導入。水族館、動物園では飼育環境、食事の与え方にアニマルウエルフェアが採用されている。動物の皮を使わない新素材の開発も進んでいる。長野県はきのこの生産者らを巻き込み、地域の一大産業に育てようとしている。