NHKスペシャル 未完のバトン 第1回 密着“国債発行チーム”
アベノミクスで日銀は異次元の緩和政策が行われた。元日銀審議委員の白井氏は、思い切った金融緩和で物価を押し上げることが最大の目的だったと語った。予算編成の責任者を務めた木下氏は、株価が改善したことは目を見張る思いだったと話した。異次元の金融緩和は10年以上続き、日銀が国債を大量に買い入れることで長期金利を0%程度に抑え込む仕組みを導入。銀行や証券会社からは、市場の原理を歪めてしまうとの懸念の声があがっていた。野村證券の齋藤元副社長は、債券市場の金利は日本の経済の状態が平熱かどうかを教えてくれる体温計の役割で、これをいじると実態がわからなくなってしまうと話した。外資系証券会社の大森元社長は、市場に公的機関が介入して市場原理を曲げることがあっていいのかと当時強く思ったと話した。想定外だったのはコロナ禍と、ウクライナ侵攻による世界的な物価高だった。2020年度の国債発行額は過去最高の257兆円にのぼり、その後も高止まりしている。日銀の方針が変わる中で国債をどう発行するか難しい舵取りを迫られている。