NHKニュース7 (ニュース)
パレスチナのガザ地区への攻撃を再開したイスラエル軍。今、停戦合意は崩壊の危機に直面している。強硬な姿勢を続けるイスラエルに各地で抗議の声が上がる一方、イスラエル寄りの姿勢を鮮明にしているアメリカ・トランプ大統領は、パレスチナ問題を巡る抗議活動への圧力を強めていて、波紋が広がっている。停戦協議の行き詰まりからガザ地区への攻撃を再開させたイスラエル軍。攻撃は22日にかけても続き、新たに子ども5人が死亡したと伝えられている。圧力を強めるイスラエルに対しては、批判の声が上がっている。
アメリカではマフムード・カリル氏の釈放を求めるデモが行われている。パレスチナ人の両親を持つカリル氏。名門コロンビア大学の大学院に通っていたが、今月、当局に拘束された。政権側は、トランプ大統領が署名した、反ユダヤ主義的な行動をした留学生は国外に追放するなどとする内容の大統領令に基づくものだとしている。一体どういうことなのか。コロンビア大学では去年、イスラエルによるガザ地区への攻撃に対して、学生たちが抗議活動を行っていた。このとき、学生と大学当局の仲介役を務め、メディアの取材にも応じていたのがカリル氏だった。トランプ政権は、大学への助成金なども取り消しに。大学側は、構内での抗議活動への対応を強化すると発表した。カリル氏の側は、憲法で守られた言論や主張に対し、拘束などの措置を取ることは憲法違反だとして、訴えを起こしている。イスラエルに抗議することは反ユダヤ主義なのか。トランプ大統領の対応を支持しているというユダヤ系アメリカ人の男性は「彼らがイスラエルへの反感を反ユダヤ主義に結び付けているとの指摘がある」とコメント。一方、コロンビア大学でユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストなどを教えるコロンビア大学・マリアンヌ・ハーシュ教授は、反ユダヤ主義とイスラエルへの批判は、明確に区別する必要があると指摘する。みずからもユダヤ系で、冷戦時代、言論の自由のない旧共産圏のルーマニアから家族とともにアメリカへ逃れてきたハーシュ教授は「人々には声を上げられるうちに上げてほしい」と警鐘を鳴らしている。