クローズアップ現代 #5054 線状降水帯 vs. 科学者 予測はどこまで可能か?
坪木和久教授がことし力を入れているのは台風の周辺などに発生する大気の川の観測。大気の川は日本列島に大量の水蒸気を送り込む大量の流れで、大雨の源だ。観測に使うのはドロップゾンデ。大量の川に投下し、上空13000mから海面まで気温や湿度、風速などを計測していく。坪木さんが大気の川に注目したのは10年前、鬼怒川が反乱した関東・東北豪雨だ。今年観測できたのは水蒸気が海面から約10000m上空にまで広く分布しているパターンだった。どんな大気の川が線状降水帯を引き起こすのか、異なるパターンを比較することで予測精度の向上につなげたいと考えている。
予測する場所の制度を高めようとする研究者もいる。気象庁気象研究所の益子渉さんが注目しているのは8月に鹿児島で発生した線状降水帯。発生から2時間後、急にその範囲を広げた。益子さんは風邪や地形などの局地的な要因を探っている。スーパーコンピューターで過去の事例を分析し比較すると、空気の流れの僅かな変化が積乱雲の動きに大きな影響を与えていることがわかった。
AIとビッグデータをかけ合わせることで避難につながる情報を提供しようとする企業もある。AIに過去5年分の線状降水帯が発生した際のあらゆる気象条件を学習させ、そこに全国1万3000か所に及ぶ気象観測網や各地のユーザーから届く最新の情報を読み込ませる。