THE TIME’ TIMEレポート
東京・赤坂で上演されている舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は、2022年7月の初演を皮切りにこれまで110万人以上を動員している。今年5月、新たな試みが行われようとしていた。舞台手話通訳者が、ステージ脇で舞台の演目を手話で伝える取り組み。聴覚に障害があるろう者は字幕機器などを使って観劇するのが主流だが、舞台手話通訳はただわかるだけではなく、楽しませるためにあるという。舞台手話通訳を行う田中結夏さんは、幼い頃から舞台女優を目指していた。かつて通った演劇の学校でろう者に出会ったことで、手話を学び始めた。田中さんが担当する舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の手話通訳には、この作品ならではの難しさがあるという。魔法のシーンでは、一つ一つオリジナルの手話で表現する。田中さんは約100分の第一幕を、全出演者の中で唯一1度も舞台裏に下がることなく演じきった。舞台を見たろう者からは、「文字では状況や雰囲気は伝わらない。舞台手話通訳でそこが伝わった」「老若男女の違いまで伝わった」などの感想が寄せられた。舞台手話通訳付きの公演は、舞台の本場であるイギリスやアメリカで数多く導入されている。しかし日本ではまだまだ多いとは言えず、田中さんは「日本でも数が増えてほしい」などと話した。