若年性認知症で行方不明 捜索遅れるケースも なぜ?

2024年12月12日放送 21:29 - 21:34 NHK総合
ニュースウオッチ9 (ニュース)

認知症やその疑いがあり、自宅などを出たまま戻らない認知症行方不明者について。去年のべ1万9000人余と過去最多となる中、きょう当事者や家族などで作る団体が、国に要望書を提出した。鳥取・米子市に住む男性は、みずからの体験をもとに、当事者の一人として国に要望書を提出。去年8月、若年性認知症の妻が行方不明になった。1年以上にわたり捜し続けているが、今も見つかっていない。男性は「本当に苦しい。毎日夜は泣いている」と語った。自宅近くの防犯カメラの情報などから、妻は歩いて隣の島根県方面に向かったと見られている。男性は、妻の行方が分からなくなった当日の昼過ぎに警察に通報。警察は捜索に当たったほか、警察から情報提供を受けた市も、防災行政無線で市内の住民に捜索への協力を呼びかけた。しかし、その後の対応が後手に回ることになった。捜索や情報共有の手順を定めた鳥取県のガイドラインでは、警察からの連絡を受けた県が、24時間後、県内のほかの市町村に情報を提供。72時間後には、隣接する県にも情報を提供することになっていた。ところが、その対象は認知症高齢者等で65歳以上を想定していたため、当時59歳だった妻は、情報共有の対象とされなかった。男性の妻が向かったと見られる島根県に情報が提供されたのは、行方不明になった1か月後だった。男性は「こんな別れ方はしたくない。長年連れ添った夫婦だから」と語った。男性ら、当事者や家族などで作る団体は、きょう国に要望書を提出。男性の実体験も踏まえ、高齢者だけでなく、65歳未満の人も捜索の対象に含めることをすべての都道府県で徹底すること、24時間以内の発見を目指し、県境を越えて迅速に情報共有を進めることなどを求めた。男性は「個人でできることは限られている」と述べた。鳥取県では、男性のケースを受けて、ガイドラインの捜索対象に若年性認知症の人を明記。NHKが全国の都道府県に捜索の対象について尋ねたところ、鳥取県と同様に若年性認知症の人と明記しているのは14県。明記していない場合でも、市町村を通じて家族から依頼があれば対応すると回答した所が多くあった一方、専門家は明文化することの意義を指摘。認知症介護研究研修東京センター・永田久美子副センター長は「文書化されないと新しい担当者が着実に動けないことがある」と述べた。今月国は、認知症になっても住み慣れた地域で、希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという、新しい認知症観に立った基本計画を閣議決定している。認知症介護研究研修東京センター・永田久美子副センター長は「認知症行方不明についても自分ごととして考え、どういう対応やフローがあるのか、みんなが分かるような仕組みの再構築が必要」と話していた。


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