ワールドビジネスサテライト (ニュース)
日本経済新聞社コメンテーターの梶原誠が解説。市場では今、ビットコインの価格急騰が話題になっているが、ステーブルコインは価格の急変動リスクは小さい。利用者にとっては送金にかかる時間やコストを省けるメリットがある。銀行を経由した送金には手数料がかかり、送金が終わるのが翌日以降になることもあるが、ステーブルコインの場合は瞬時に行われる。ただ、現金化できなくなるリスクがある点には注意すべき。コインを発行する業者が信用不安に巻き込まれ、客が「換金したい」と殺到した場合、業者は裏付けとなっている資産を売却してお金を作らなければいけない。大量売をしてしまうと思った値段で売れず、お金が返らなくなる。金融秩序を乱すシナリオを克服する金融当局のノウハウは未知数。それを理由として、韓国の中央銀行はこのコインの導入に消極的。コインが普及するにはコインの信用度を高めるしかないが、簡単なことではない。世界最強の通貨であるドルですら、紙幣に「神のもと、われわれは信じる」と印刷され、財務長官の署名まで載っている。あらゆる努力をして権威をつけようとしている。中央銀行の金融政策が届かないという面ではステーブルコインが日本円の信頼を脅かす可能性もある。一方で円を国際化する効果もある。