首都圏ネットワーク 首都圏のリアル
街で足立区のイメージについて聞くと「治安に不安がある」という声がきかれる一方、ある会社員からは「北千住を中心にバージョンアップしている」結婚以来足立区に住む女性も「綾瀬がすごくひらけた」という声が聞かれた。多く聞かれた意見が利便性の高さ。区内には1960年代になると公営団地が次々と建設され人口が増加。それに伴い鉄道の整備も進んだ。1962年には地下鉄日比谷線が北千住まで延伸。その後も2005年のつくばエクスプレスなどが次々と開通した。8つの路線が乗り入れ埼玉や千葉、都心へのアクセスが格段に改善され、今では選ばれる街になってきた。さらにある親子は「給食がおいしい」というちょっと意外な足立区の魅力を教えてくれた。区のすべての小中学校は今、少なくなってきたそれぞれの学校で調理する自校式を開催。栄養士が品質を管理しルーやソースも手作りで、そのおいしさは都内のコンビニで期間限定で商品化されたほど。
足立区で30人の街の人にイメージを聞いた結果、プラスのイメージを持っている人は20人、マイナスのイメージを持っている人は10人だった。区外に住む人はマイナスのイメージを口にする人が多かったが区内に住んでいる人や若い世代の方はほとんどプラスのイメージを口にする人が多い印象だった。実際のところ、区内の刑法犯認知件数は平成18年から4年連続で23区でワースト1だが、今ではピーク時から7割余り減少してワースト1位からも脱却しているという。インタビューを担当した渡邉千恵記者は「正直初めて行ったときは本当にかなり活気があるという街の姿にかなり驚いた。」とコメント。中でも目についたのが若い世代で、そこに足立区の変化のヒントがあった。足立区では2006年以降大学の誘致を積極的に進めた。その結果、東京藝術大学、東京電機大学などが次々にキャンパスを移し今では6つも大学がある。その効果を地元の人たちも実感しているという。さらに「充実した公園」をあげる女性もいた。足立区の公園の面積は東京23区で2番目の広さを誇る。区はみずから公園天国と呼んでその環境のよさをアピールしている。2年半前に引っ越してきたこの女性、足立区は子育てに向いていると話した。若者が増えてさらに子育てもしやすいというのが今の足立区のリアルだという。冒頭で紹介した「ワケあり区」というイメージ戦略は本当は住みやすい街にどんどん変化してきたのにまだマイナスイメージを持つ区外の人たちにもっとその魅力を知ってほしい。つまりこの街のいい理由を知ってほしいというねらいがある。