迫り来る“介護危機” 相次ぐ事業所の倒産・廃業 背景に何が

2025年1月30日放送 21:35 - 21:41 NHK総合
ニュースウオッチ9 シリーズ 2025年問題

75歳以上の後期高齢者は、ことし団塊の世代全員が加わり、2100万人を超え、人口の約5人に1人になると推計。介護の需要は今後ますます高まるが、それを支える介護事業者の倒産や廃業などが、去年最も多くなった。東京都内に住む90代の女性は、1か月前に自宅で転倒して腰を骨折。ほぼ毎日、ホームヘルパーに自宅に来てもらっている。食事や排せつの介助、掃除や洗濯などの生活支援を受けている。ヘルパーがいなければ生活は成り立たないという。訪問介護を手がける都内の介護事業所では、5人のヘルパーが常勤し、地域の介護を支えているが経営は綱渡りだという。介護事業者・中村浩士代表は「仕事として成り立たないような状況があるのでは」と語った。経営の背景にあるというのが国が定める介護報酬。介護報酬はサービスの内容や時間などに応じて金額が決められ、収入のほとんどを占めている。訪問介護の場合、この報酬が十分ではないという。ヘルパーは自転車で家から家を移動するが、1日に訪問できるのは5件ほど。収入を増やすには限界があるうえ、去年には訪問介護の基本報酬が引き下げられた。利用者のコメント。
取材した東京都内の事業所では経営を維持するため、個人の自宅だけでなく、施設にも職員を派遣。早朝や深夜などの介護に当たってもらっている。介護事業所・中村浩士代表は「もうどこから手を付けていいのか本当に分からない。介護業界全体が目詰まり状態」と語った。倒産や廃業などに追い込まれる介護事業者は、去年過去最多の784件に上った。多くが小規模の事業者。去年3月に廃業した長野・長野市のデイサービス施設。18年にわたり、地域の高齢者を支えてきた。ほぼ毎日、10人ほどの高齢者が利用し、6人のスタッフで食事や入浴の支援などを行っていた。廃業のきっかけは、家庭の事情などでベテランスタッフ2人が退職したこと。施設では、新たな人材の育成を行う余裕がなく、2人が退職すると介護の質を維持できないと考えた。元デイサービス事業者代表・塚田玲子さんは「こちらの都合で閉じるので、本当に申し訳ない」と語った。危機的な状況をどう乗り越えていけばよいのか。京都では小規模な介護事業者が連携することで、事態の打開を図ろうという取り組みが進んでいる。京都や滋賀などにある5つの法人がグループを作り、人材の確保や育成を連携して行っている。例えば、それぞれの法人が費用を出し合って人材育成の専門職員を2人採用。スタッフのスキルアップ研修や、事業所を回ってのきめ細かいサポートを担ってもらうことで人材の定着を図った。今では離職率が全国平均を大きく下回り、20代など若い人材の応募も増えているという。若手職員は「キャリアのイメージもつきやすい」、社会福祉連携推進法人・山田尋志代表理事は「この連係で、小さな事業所の課題でもある経営管理の仕組みや人材が定着するための働く環境の仕組み、こういう(連携する)事業所を増やしていかないともたないのでは」と述べた。昨年度、国内全体の介護職員の数は初めて減少に転じ、人材の確保は喫緊の課題になっている。事業所の経営努力は必要だが、課題を乗り越えるためには、賃金の引き上げや事業者どうしの連携の後押しなど、国による対策も求められることになりそう。


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