長野 全盲の生徒入学で変わる学校

2024年7月17日放送 6:41 - 6:47 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 (特集)

来月開幕するパリパラリンピックでメダル獲得を目指す、ブラインドサッカーの日本代表。チーム最年少の17歳、平林太一選手は、健常者の生徒と一緒に長野県松本市の普通科高校に通っている。学校では、初めてとなる全盲の生徒の受け入れをきっかけに、授業の進め方などを見直してきたが、そのことが先生やほかの生徒に新たな学びを与えている。平林さんが通う松本美須々ケ丘高校。空間を把握する能力に優れる平林さんは、白じょうなしで校舎内を自由に移動できる。授業を受けるのも健常者のクラスメートたちと一緒。県内外の団体が教科書の点字訳を行うなど、支援態勢も充実している。ノートをとるときなどは、点字入力ができる専用の器機を使用。先生は黒板の文字をすべて読み上げるほか、「これ」や「それ」などの指示語を使わないといった工夫をしている。平林さんに配慮した授業をきっかけに、新しい指導方法に挑戦する先生がいる。英語を担当する平出征史教諭は、教師歴40年の大ベテラン。平出先生が挑戦しているのは、黒板を極力使わない新たなスタイルの授業。この日は英文が書かれた紙を生徒が読み上げ、それを全員でリスニング。先生自身も黒板から離れ、教室を動き回ることで生徒と活発なコミュニケーションを取れるようになった。生徒たちも目が見えない友達と一緒に学校生活を送ることで、多くの学びを得ている。同級生の西山航平さんは、平林さんの入学を機に結成された点字訳を行うボランティアグループに所属している。これまで関わることのなかった点字の世界に触れて、視野が広がったと感じている。今年度からは、点字訳した絵本を地元の盲学校の子どもたちにプレゼントする活動を始めた。年代や生まれ育った環境の違いを乗り越えたコミュニケーションの輪が広がりつつある。西山さんは「(平林)太一君という存在がいるようになってからは、自分と違う人がいるというのが当たり前になった」、平林さんは「たくさんの人とか関わっていく中で、お互いにいろんなことを知っていくというのは、障害者にかかわらず、いい形ができていると思う」と述べた。


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