THE TIME, 世界陸上 34年ぶり東京で開催
ハードルと水濠を跳び越える異色の種目、アクシデントが続出する3000m障害。3000m障害を英語表記にすると3000mSC。語源は中世ヨーロッパにあり、貴族たちが馬に乗り、教会の塔をめがけ、柵や小川を越えるレースがこの種目の始まり。教会の上にある塔のことを英語でSteeple、追いかけるを意味するChaseから由来となった言葉が訳されている。選手たちはトラックを7周。1周のうち、障害4回、水濠1回を跳び越える。過酷とも言える種目で絶対王者として君臨するのがモロッコのS.エル バカリ。現在、オリンピック・世界陸上2連覇中。そんな王者を脅かしたのが三浦龍司。オリンピックで東京・パリと2大会連続入賞を果たしている日本のエース。強さの秘密は肩甲骨。肩甲骨の可動域が広いと腕がよく振れ、連動して足の運びもスムーズに。勝負の鍵となる加速に繋がる。先月、三浦は王者の前で脅威のスパートを見せる。スタートしてすぐ前に出たのはエル バカリ。一方の三浦は最後尾。レース中盤、独走する王者に対し三浦は後方。その差は約9秒。ラスト1周で三浦が仕掛ける。自慢の腕振りで一気に距離を縮めていく。0秒25差で惜しくも2位だったが、タイムはパリ五輪の優勝タイムを上回る日本新記録。世界陸上へ大きな自信を手にした。