ワールドビジネスサテライト (ニュース)
東京電力福島第一原発の処理水放出をきっかけに始まった中国による日本産海産物の禁輸止措置について、日本政府は今日、解禁に向けた手続きを始めると発表した。北京にある寿司屋「鮨 玄海」では処理水の放出による風評被害で客が減り、代替品を探すので時間がかかったという。現在はマグロはスペイン産、カキはフランス産を使用しているという。中国の和食ブームに冷水を掛ける結果となった。今日、林官房長官は総理官邸で「中国向けの水産物の輸出再開に必要な技術的要件について日中双方で合意に至った」と発表した。「鮨 玄海」の串田学店長は「日本の海産物の良さ、価値も分かってもらえると思う」などとコメントした。一方、中国政府は実質的な進展を得られたと評価したが、輸出再開については「慎重に検討する」とした。今回再開に向けた手続きを取るのは37道府県で、福島や東京など10都県の食品に対する禁輸措置は継続される。
北海道・紋別市にあるホタテの加工業者「丸ウロコ三和水産」では、以前はホタテの約2割を中国に輸出していたが禁輸措置後はアメリカなどに販路を拡大させた。山崎和也社長は「お客さんは多ければ多いほど当然いい」と話すが、一方で輸出再開による価格の高騰も懸念していた。また石川・七尾市にある水産加工会社「スギヨ」は輸出の7割が中国で、製品は北米産の海産物を使用していたため「日本産水産物のくくりの中に入れてほしくなかった」と訴えていた。禁輸措置が解禁されたら中国の取引先からすぐに商品がほしいといってきているので、我々としては早く届けたいと話していた。後藤達也は「禁輸措置期間中に中国のトレンドが変わっている可能性もあり、日本も生産販売体制が変わっているので、従来のような輸入の数量に戻るのには時間がかかるのでは」と指摘した。