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バス業界では今運転手不足が深刻で、昨年度で1万人、2030年度には3万6000人が不足する見通し。そうした中、若い運転手を確保しようという試みが行われている。山口県宇部市内を中心に、公営の路線バスを運行する宇部市交通局。10年ほど前から運転手の定員割れが続いていて、平均年齢が56歳と高齢化も進んでいる。そこで宇部市では、市の職員になれることをアピール。これまで市の正規職員になるためには、運転手として最低3年間の経験が必要だったが、それを1年に短縮した。さらに、バス運転手に必要な大型二種免許の取得費用を最大60万円補助する制度も設けた。こうした制度に魅力を感じておととし、民間の自動車整備士から転職した男性がいる。小林慧輔さん(24歳)。交通局で20代はただ1人。非常勤で働きながら正規職員を目指している。小林さんは利用者の多い通勤や通学の時間帯も担当。最初は市の職員になれることに魅力を感じていたという小林さん。しかし、今ではバス運転手ならではのやりがいも感じている。小林さんは「お客さんに“アナウンスが聞き取りやすかったよ”と言われた時はすごくうれしくて、1週間ぐらいそのうれしさで仕事をすることもある」と述べた。さらに、宇部市など周辺7つの市や町と広域で、意欲のある人に本物のバスを運転してもらう体験会も始めている。大型二種免許を受験できる年齢はおととし、特別な教習を受けることなどを条件に21歳以上から19歳以上に引き下げられた。この日の体験会には19歳の男性も参加し、興味を示していた。10代でバス運転手になった事例は、群馬と山梨など全国で生まれている。人手不足を補う自動運転の技術開発も進んでいるが、ドライバーの環境改善などを通じて地域の足の担い手を確保してもらいたい。