- 出演者
- 小林千恵 ハリー杉山
オープニング映像が流れた。
きょうは番組制作の技術の現場に密着し、放送を支えるスタッフの技や工夫をお伝えする「現場からは以上です」をお届け。ゲストはハリー杉山さん。「最近、走ってる?」という質問に対し、もちろん沢山走っていて「別府大分毎日マラソン」を走ってきて40km地点で人生で始めて歩いたという。きょうの特集は「駅伝中継の現場」。
- キーワード
- 別府大分毎日マラソン大会
先月、広島で行われた駅伝、通称・広島男子駅伝。舞台は原爆ドームや厳島神社周辺などユネスコの新遺産を臨む市街地コース、7区間48kmで争われる。各都道府県の代表の中学生から社会人までのトップ選手たちが7人でタスキを繋いでいく。NHKでは3時間にわたりスタッフ200人以上で生中継。
なぜ駅伝中継が大掛かりになるかというと、放送では各都道府県代表の選手が走る様子を全工程にわたって一緒に動きながら生中継しているからである。ハリー杉山さんは心くすぐられるようなシーンをどう伝えているのか気になるなどと話した。駅伝中継でキモとなるのは「撮影技術と電波の送信・受信の技術」であるという。
選手の表情や駆け引きなどを伝えるのが移動中継車やカメラバイクとなっている。移動中継車やカメラバイクとなっている。移動中継車に乗っているのはアナウンサーやディレクターや技術スタッフなどおよそ9人となっている。1号車は先頭集団の前、2号車は第2集団の前を走り選手たちの様子を中継する。1号車には後部に上カメと下カメと呼ばれる2つのカメラが装備されており、上カメは左右に動かすことができ下カメは上下に動かすことができる。2号車には後部についているカメラに加え、前にもカメラがついている。集団と集団の間を走るため、前と後ろの両方から選手を狙える。さらに車の上部には中継席があり、アナウンサーとディレクターが乗り込みリポートしたり細かい状況を把握し中継チーム全体に伝える役割も担っている。
そして中継車よりもさらに選手に近い位置から撮影するのが「カメラバイク」となっており、中継では2台のバイクを使って撮影する。バイク運転手の後ろにカメラマンが乗り、選手のフォームや躍動感ある映像を狙う。ハンドル部分にはカメラマンと連携するための運転手用のモニターがついていてカメラマンが撮影している映像・放送中の映像・後方確認用の映像が表示されている。運転手はこのモニターを見ながらカメラマンとコミュニケーションを取り、どんな撮影にも対応できるように備えている。「リグ」と呼ばれる器具もついており、ワイヤーでカメラを吊るし重量を軽減することでカメラを操作しやすくしている。そしてバイクでの撮影を坂梨哲士アナウンサーが体験した。
ハリー杉山さんは技術者の皆さんへのリスペクトが100倍増したなどと話した。カメラマンはジョギングや柔軟体操で体力維持に努めているとのこと。続いては「電波の送信・受信の技術」について。
白熱のレース展開の映像は現場から電波にのせて広島放送局に送られ全国に放送される。しかし市の中心部を走る広島男子駅伝はコースの周りに高い建物や山などが沢山あり、電波を遮る障害物となってしまう。中継ではスタートからフィニッシュまで映像が途切れることなく伝えていかないといけないため、必要となるのがアンテナの受信基地となっている。今回はコース沿いの15か所に設置し、どこからでも映像を受信・送信できるようにしていた。ただ中には電波が届きにくいエリアもあった。そのエリアをカバーするため地元でナタリーと呼ばれている地域にアンテナを設置。このアリアでは受信基地を3か所にして対応している。送られた電波は広島放送局のスイッチングセンターで受信基地ごとに管理される。
ハリー杉山さんはびっくりのオンパレードなどと話した。途切れさせることなく生中継していくためにはアンテナを設置する場所がとても大切で、施設や一般の人に駅伝の期間だけお願いして設置させていただいているという。
駅伝中継当日、沿道には朝早くから沢山の観客が詰めかけていた。スタッフが準備しているのは固定カメラであり、移動中継車とカメラバイクでカバーしきれない中継所や折り返し地点などの6か所に設置した。中継車とカメラバイクは選手たちの安全のため、スタート地点からおよそ200m先にスタンバイ。スタートの瞬間は応援前のカメラで捉えることとなる。駅伝がスタートし技術チームが連携して映像を送り出していく。カメラバイクがトップ争いを繰り広げている選手たちの表情を映し出し、2号車はわずかな差で迫る第2集団を捉え白熱した展開を伝えていた。そしてこの先に待っているのは受信しづらいエリアだったが電波は途絶えることなく綺麗な映像を届けた。折り返し地点に来たが道幅が狭くスムーズに折り返しできないため、車は手前でUターン。折り返し地点の様子は沿道に設置したカメラなどでフォローする。折り返してきた選手と合流してから再び撮影を始めることとなる。レースは終盤となりカメラバイクはゴール直前まで選手の臨場感ある映像を撮り続け、駅伝中継を終えた。
ハリー杉山さんはタスキをつなぐのは選手だけではなく技術者の皆さんもそうなんだったのだとまさに今感じたなどと話した。全体で印象に残ったところを聞かれると、それぞれの持場で仕事をまっとうしている姿がかっこよかったなどと話した。
- キーワード
- 東京オリンピック
次回はNHK予算・事業計画/放送100年 はじまりは