- 出演者
- 松下奈緒
爆発的なスピードでの進化を始めたAI。社会を激変させる新技術でも覇権を握ろうとするIT界の巨人・マイクロソフトに対し、日本はスーパーコンピューター・富岳を武器に立ち向かう。今回はAIを巡る人々の戦いに密着。
オープニング映像。
昨年登場したAIアプリ「ChatGPT」。ソフトバンクでは2万人の社員がこのChatGPTを活用し、キャッチコピーの生成などを行うことで業務を効率化。こうした生成AIを導入した企業のうち7割が勤務時間の削減を期待しているが、一方で生成AIの普及により世界で3億人の仕事が奪われるという指摘も。「AIが人類を破滅させる」と考える専門家も少なくない中で、人類にとってAIがどのような存在になるのかは未知数だ。
ChatGPTを開発したアメリカの新興企業、オープンAIに1兆円以上の資金を投じると明らかにしたマイクロソフト。AIでもIT業界の覇権を握ろうとするマイクロソフトが刺客として日本に送り込んだのが沼本健氏。沼本氏はいち早くデジタル化に舵を切った北國銀行の頭取と面会し、積極的に自社のAI「コパイロット」を売り込んだ。コパイロットは指示を与えるだけでグラフやプレゼン資料を生成してくれるAIで、業務の圧倒的な改善が可能になるソフトだ。日本マイクロソフトも企業向けの説明会を開催し、2日間で1万人以上が参加する大盛況となった。日本のIT大手もこの動きに追随しており、楽天グループはオープンAIとの協業を発表。海外製AIを利用する動きが拡大している。
海外製AIが世界を席巻する中で、国立情報学研究所の黒橋所長は「人間のパートナーとなるAIが海外製という状態になるのは日本の経済安全保障分野の面からも健全ではない」と警鐘を鳴らす。そんな中で、東京工業大学の横田理央教授はスーパーコンピューターを利用してAI技術を研究している。将来的には日本製のAIを生み出すのが目標だという。7月、理化学研究所計算科学研究センターを訪れた横田教授はスーパーコンピューター「富岳」を利用して日本製のAIを生み出す計画をスタートさせた。このプロジェクトには東京工業大学のほか、東北大や富士通なども参加している。オールジャパンでの開発となった計画だが、学習データの不足により文章生成ではトラブルが相次いだ。生成AIの開発にはあらゆるジャンルの知識と大規模言語モデル、そして大規模なデータセンターが必要だが、この点において国産AI生成は資金力で勝る米企業に大きく遅れを取っていた。状況を打開すべく、横田教授は自社で生成AIを開発しているサイバーエージェントに協力を依頼した。
AIを利用すると歴史上の人物をよみがえらせることも可能になる。中には生成AIを利用した織田信長も登場しているという。
2020年にマイクロソフトから独立した「rinna」では自動で話すAIキャラクター「りんな」を開発している。「りんな」は自社製AIにChatGPTを組み合わせたもので、Youtubeで視聴者との交流を行うなどしている。開発の中心人物である坪井一菜氏は一児の母でもあり、子育てを進めながら開発を継続中。さらに、新たな試みとして織田信長をAIにより蘇らせる取り組みもスタートさせた。あらゆるジャンルについて学んでいるChatGPTには織田信長の情報もインストールされているため、AIに自身を織田信長だと思うように設定すれば織田信長のAIキャラクターが完成するという寸法だ。完成したAI織田信長はYoutubeでの配信にも登場し、動画は大きく盛り上がった。
近年の戦場ではドローン兵器が猛威を振るっているが、さらに新たな兵器として開発が進められているのが自立飛行するAIドローン。アメリカ軍と契約して開発を進めているアメリカの新興企業・Shield AIの社長は海軍の元特殊部隊員として従軍した自身の経験から、AI兵器の利点は兵士に戦場の正確な情報を伝えられることだと語った。AI兵器に対しては国連も懸念を示しているが、未だ開発が続けられているのが現状だ。
富岳を利用して国産AIの開発を進めている横田教授。資金力で勝る米企業に対抗するため、新たにサイバーエージェントのエンジニアである佐々木氏とコトバ テクノロジーズのCEOである小島氏を仲間に加えることに。新たに自社でAI開発を行っていたサイバーエージェントがプロジェクトに参加したことで、国産AI開発はさらに弾みがついた。
7月下旬、横田教授は小島氏の協力も取り付けることに成功。横田教授は来年3月までに富岳での成果を公開し、さらにAI開発の仲間を増やしたいと語った。
- キーワード
- 富岳理化学研究所計算科学研究センター
ガイアの夜明けの番組宣伝。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。「熱気漂う お盆商戦」