2025年9月10日放送 10:05 - 10:55 NHK総合

キャッチ!世界のトップニュース
国連総会 80年目の課題

出演者
横川浩士 川口由梨香 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像と出演者の挨拶。

(ニュース)
ハマス幹部狙いカタールを攻撃

イスラエル軍は9日、イスラム組織ハマスの幹部を標的にカタール・ドーハに攻撃を行ったと発表し、ハマスは攻撃でメンバー5人が死亡したと明らかにした。ガザ地区を巡る停戦協議でイスラエルとハマスの仲介を担ってきたカタール政府は攻撃を強く非難している。アメリカの外交努力にとって打撃となった。ハマス幹部らはガザ地区の停戦についてアメリカの提案を協議中に攻撃を受けた。ハマスは死者が出たとしているがドーハを拠点としていた幹部は含まれていないと主張している。イスラエルの最も著名な標的はハイア氏だった。ネタニヤフ首相は「イスラエルは常に報復する」などと述べた。カタール・ムハンマド首相は憤りをあらわにした。ワシントンではホワイトハウスの報道官がトランプ大統領からのイスラエルに対する滅多にない叱責を表明した。(英国・BBC)

詳しく カタール攻撃 停戦協議の行方は

イスラエル軍がイスラム組織ハマスの幹部を標的にカタールの首都ドーハに攻撃を行った。攻撃の標的は停戦協議ハマス代表団トップ・ハイヤ氏などの複数幹部で、ハマスは声明で代表団は無事だがハイヤ氏の息子を含む5人が死亡したと発表している。カタール内務省は治安当局者1人が死亡、数人がけがをしたと発表。国際社会から非難や懸念の声が相次いでいる。国連・グテーレス事務総長は「カタールの主権と領土の一体性に対する目に余る侵害を非難する」と述べたほか、イギリス・スターマー首相はSNSに「地域全体のさらなる緊張の激化を招く恐れがある」と投稿した。カタールはイスラエルとハマスの仲介役として停戦協議に関わってきた国。ハマス代表団は8日にカタール首相と会談して停戦案について協議し、9日に訂正案について協議する予定だった(ニューヨーク・タイムズ)。アメリカ・トランプ大統領にとっても停戦協議がいかに困難であるかを突きつけられたかたち。今回の攻撃はトランプ大統領が新しい停戦案を示した2日後に実行された。カタールはアメリカと軍事上の同盟関係にある。トランプ氏はSNSに「攻撃はネタニヤフ首相による決定だ。私ではない」「ネタニヤフ首相は平和を望んでいると話していた」と投稿している。一方ネタニヤフ首相はガザ地区での攻勢を強めていて、9日にはガザ市すべての住民を対象に退避通告を行った。

ネパール首相辞任も抗議デモ続く

ネパールでは若者を中心とした政府に対する抗議デモが続いている。汚職撲滅や首相退陣を求めていて、首相は辞任したがその後も収まらず連邦議会の建物などへの放火が相次ぎ事態収束は見通せない状況。8日19人が死亡、9日少なくとも3人が死亡、これまでに数百人がけが。政府がSNS使用を禁止したことが混乱のきっかけで、長年の腐敗に対する怒りが混乱を大きくしている。(イギリスBBC)。

ワンポイント ネパール 抗議デモの背景は

ネパールで政府に対する抗議デモが拡大し首相が辞任。きっかけはネパール政府がサイバー犯罪やヘイトクライム対策を理由にSNSを事業者に事前登録を要求し、これに応じなかった主要SNSを使用禁止にしたことだった。ネパール人にとってSNSは多くの人が出稼ぎで国外で働く中、家族や友人と連絡を取り合うなど生活に不可欠。事態収束は見通せない状況。根底には長年の経済低迷や汚職問題など政府に対する根深い怒りや失望がある。ネパールでの失業率は高く、国内で仕事を見つけられないため多くの人が国外に出稼ぎに出ている。一方横領など汚職がまん延し政治家が財産を築き豊かな生活を送っていることから若者中心に不満が募っている。専門家は「怒りに満ち深い失望を抱く若者たちは高齢の指導者にうんざりしている」と指摘している(イギリス・フィナンシャル・タイムズ)。

年金受け取り集まった24人死亡

ウクライナ東部のロシア軍との戦闘が行われている前線から約8キロの集落で、年金を受け取りに集まった人たちがロシア軍の攻撃を受け高齢者24人が死亡、19人がけがをした。友人2人が即死した74歳女性は「そこら中から爆弾が落ちてきた」と証言した。ドネツク州ではいまも1万8000人が前線付近で暮らしていて、当局はできるだけ早い避難を呼びかけている。(フランス・F2)。

前線で無人車両 導入進む

ロシア軍の激しい攻撃が続くなか、ウクライナ側では前線で弾薬を運んだり負傷した兵士を救出したりする無人車両の導入が進んでいる。1年で30万キロの荷物を運んだ。同じ量を運ぶために、これまで1万2000人の兵士が必要だったという。値段は小型で約2000ドル、大型で約1万5000ドル。キーウには操作を学べる学校もできた。(ウクライナ公共放送)。

タクシン元首相に1年間収監命令

タイ・タクシン元首相が汚職の罪などで服役した際に刑務所ではなく警察病院で生活を送っていた問題を巡る裁判で、タイ最高裁は元首相に1年間の収監を命じた。タイではタクシン氏の次女が失職し、タクシン派以外の政党から新首相が選出された。(タイMCOT)。

マクロン大統領 新首相を任命

フランス・マクロン大統領は9日に内閣が総辞職したことに伴い、その日のうちに新首相にルコルニュ前国防相を任命した。マクロン大統領の側近の1人とされる一方、かつては右派政党に所属していた。議会で少数与党による政権運営が続くなか、新首相の任命の背景には議会に一定の影響力を持つ右派政党や極右政党の反発を抑える狙いがあるとの見方を伝えている。(フランス・F2)。

韓国系住民 不安高まる

トランプ政権がロサンゼルスなどで行っている大規模な移民摘発について、アメリカの連邦最高裁判所は摘発の差止めを命じた下級審の判断を覆し、当面続けることを認める判断を示した。ジョージア州にある韓国企業で働いていた韓国人300人あまりが不法移民として拘束されたこともあり、アメリカに住む韓国系住民の間では今後行きすぎた取り締まりが行われないか不満が高まっている。(韓国KBS)。

ワールドEYES
コーナーオープニング

コーナーオープニング映像。

特集 80回目の国連総会 問われる存在意義

ニューヨークの国連本部では、国連総会の第80回の会議が始まり、今月23日からは各国の首脳の演説が行われる。第二次世界大戦の終結後に国連が発足してから、今年10月で80年を迎える。ロシアによるウクライナ侵攻やガザ地区の人道危機など国際情勢は混迷を極め、国連の存在意義も問われている。80回目の国連総会の焦点について考える。

国連総会は193の国連加盟国すべてが参加して毎年9月に開幕。1年を通じて様々な協議や決定を行う。国連で平和と安全に関わる重要な議題を扱い強制力を持つ決議を採択するのは、15の理事国からなる安全保障理事会。アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアが常任理事国で決議に拒否権も持っている。各国の総意に従って活動にあたっているのが、グテーレス事務総長を頂点とした国連事務局と様々な専門機関。

国連総会の焦点について、鴨志田郷解説委員が解説する。第70回の国連総会は、世界の貧困問題や気候変動などに対応するSDGsが全会一致で採択された。その後、新型コロナウイルスのパンデミックによる混乱が広がり、3年前からはロシアによるウクライナ侵攻、おととしからはガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が始まった。アメリカでは4年毎に国際協調を重視する民主党のオバマ、バイデン政権、自国第一主義の共和党のトランプ政権が入れ替わり、国連も混迷を深めてきた。いま国連は、ウクライナとガザ地区で続く2つの戦争への対応とトランプ政権を前に、かつてない危機にある。ウクライナ侵攻は、トランプ大統領による仲介によっても首脳会談が実現する見通しが立っていない。国連総会ではゼレンスキー大統領が改めて国際社会に支援を呼びかける見通しだが、アメリカがロシアに配慮を見せるようになり、グローバルサウスの多くが中立の立場をとるようになっている。ウクライナが領土割譲されれば力による現状変更となり、国連憲章の主権の尊重や領土の保全といった大原則が損なわれることになる。すべての加盟国が立場が問われるという局面に差し掛かっている。

イスラエルはイスラム組織ハマスの壊滅と人質の解放を掲げ、ガザ地区への激しい攻撃を続けており、あまりにも多くの住民が日々殺害され人道危機が深まっている。イスラエルは、パレスチナのヨルダン川西岸でも国際法違反のユダヤ人入植地を大幅に拡大する方針で、住民への抑圧が強まっている。安保理ではアメリカがイスラエルを擁護して停戦決議を阻んでいるが、住民の犠牲が増え続ければジェノサイドを黙認することにもなる。パレスチナの将来をめぐっては、今回の国連総会でフランス、イギリス、カナダ、オーストラリアなど一部の国が国家承認に踏み切るとも言われている。イスラエルは猛烈に反発しており、アメリカもパレスチナへの制裁を課している。国連総会にはイスラエル・ネタニヤフ首相が出席できても、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長は出席できない可能性がある。

2つの戦争の行方に強い影響力を持つアメリカは、トランプ政権が返り咲いたことで混乱を広げている。トランプ大統領はパリ協定からの離脱、WHOなどからの脱退を表明し、国際的な人道支援を大幅に削減し、SDGsも拒絶する構えを見せている。2つの戦争についても、国際法を度外視した力による平和という持論に基づいて収拾を図ろうとしている。トランプ大統領が5年ぶりに行う国連演説に、世界の目が注がれる。安保理で特権を握る大国の思惑によって戦争や人道危機が止められない現状については、他の国連加盟国以上に世界の国連職員が強い危機感を抱いている。グテーレス事務総長は訪日した際のインタビューで、安保理を改革する必要性を強調しつつ「国連そのものの存在意義は見失わないでほしい」と訴えた。国連総会は、国連が世界平和に資する組織であり続けられるか問われるような総会になるだろう。アメリカや中国に続いて多くの資金を拠出している日本も、重い責任を負っている。

(ニュース)
“トランプ氏 署名入りの手紙は偽物”

性的虐待などの罪で起訴され、その後死亡したアメリカの富豪とトランプ大統領との関係について、トランプ氏が富豪の誕生日に送ったとされる手紙が議会下院の委員会に提出された。手紙には女性の体の輪郭がざっくり描かれていて、文面には「自分たちには共通点がある」「友人は素晴らしい。誕生日おめでとう。素晴らしい秘密の日々が続きますように」などと書かれ、下には見覚えのある筆跡でドナルドと署名されている。ホワイトハウスの報道官は大統領は署名していないと主張し、それを裏付けるために筆跡の専門家の鑑定を受け入れるとしている。バースデーブックは様々な場所や人、出来事を思い出すようにと元交際相手で共犯者の受刑者がまとめたもので、富豪と10年の付き合いがあったトランプ大統領は友人として名前が記載されている。現在、禁錮20年の刑に服している受刑者にトランプ大統領の個人弁護士だった司法省・ブランチ副長官がこの件について話を聞いた際の記録は、トランプ大統領から手紙やカード、メモの提出を受けた記憶は「ない」となっている。この件について何らかのコメントを予想していたが、大統領はまだ記者団の前に姿を見せていない。大統領は一連の問題はすべてでっち上げだと主張している。

バヌアツ側が急きょ調印延期

バヌアツを訪問しているオーストラリア・アルバニージー首相は到着後、式典で迎えられたが、協定の調印は実現しなかった。約1か月前、6人の代表がタンナ島の火山に登り、交渉を無事に終えたとして取りまとめた。協定の内容は10年間で5億ドルをバヌアツの安全保障と開発のためにオーストラリアが拠出し、中国が進出を図っているバヌアツにオーストラリアの戦略的な拠点を置くというもの。アルバニージー首相は協定に調印する予定だったが、バヌアツの方針が変わり調印は延期となった。バヌアツ・ナパット首相は電気通信や港などのインフラ開発に中国など他の国が関わるのをオーストラリアがやめさせようとするのではと一部の議員が懸念しているという。アルバニージー首相は調印の先送りは一時的なものに過ぎないという。オーストラリアには2022年にバヌアツとの合意の調印が先送りされたあと破棄となった苦い記憶がある。

アフリカ最大水力発電ダム 稼働本格化

アフリカで最大の水力発電ダムがナイル川上流部のエチオピアで完成し、本格的に稼働を始めた。電力不足が深刻だったエチオピアは国内の発電量を2倍にし、経済成長に期待をかけている。一方で、ナイル川に水源を依存するダムの下流部のスーダンやエジプトでは干ばつの時期に水不足になることを懸念する声が収まらない。エチオピアの首相は「エチオピアはこの地域全体を豊かにするためにダムを建設した。近隣諸国を傷つけるなど全くない」と述べた。エジプトの農家は特に干ばつ期にナイル川下流に水が来ないのではないかと心配している。エチオピアは近隣諸国に電力を売るだけでなく、国内の需要も満たしたいとしている。ダムの貯水量は十分だが干ばつになれば、ただでさえ不穏なこの地域に新たな紛争が生まれるかもしれない。

イグアナ“単為生殖”8匹誕生

イギリスの動物園でメスのイグアナが受精することがないまま卵を産み、8匹の子どもが誕生した。これは“単為生殖”で動物園関係は驚いている。イギリスBBCは「生まれた子どもは母親のクローンになる」と伝えている。

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