- 出演者
- 桑子真帆
観測史上最も暑い夏になった今年、世界各地の森林が炎に包まれた。異常気象が被害を拡大させている。森が切り開かれてことで炭素爆弾と呼ばれる状態になっている地域もある。森林が失われ、二酸化炭素が増加している。
オープニング映像。
ヨーロッパ史上最大の森林火災にみまわれたギリシャ。8月に起こった火災、今も至る所に焼け焦げたあとが残っている。火はものすごい勢いで迫ってきたという。17日間に渡って火は拡大し、約1000平方キロメートルが焼けた。この山火事で大量の二酸化炭素が放出されたことは確実だという。研究者は気候変動と森林消失は互いに影響しあっていると指摘する。気候変動が悪化するほど森林が消失し、気候変動は悪化する、負の連鎖が起きているという。この負の連鎖を人間の活動が加速させている。
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アフリカのケニア。森林の劣化が始まっているという。工芸品や薪を作るために伐採され、代わりに雑草が侵入し、天然林の再生を妨げているという。森林劣化の背景には急速に進む人口増加がある。木炭や薪が生活に欠かせない燃料として大量に使われ、建設ラッシュで木材の需要も急増している。
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- ケニア
先進国の経済活動が途上国の森林消失を加速させているという実態もある。パーム油の生産地であるインドネシア。日本でも植物油と表示され食料品や洗剤などに使われている。インドネシアでは天然の森が切り開かれ、パーム農園が次々に作られている。パーム農園周辺ではいたるところで火災が相次いでいる。原因の一つは農地を切り開くための野焼き。インドネシア政府は森と土地を焼くのは禁止としているが、低コストで開墾できるため後を絶たない。インドネシアは泥炭地という柔らかい層の性質で、通常の約20倍の炭素を貯蔵しているといわれる。一度燃えると大量の二酸化炭素を放出することから炭素爆弾と呼ばれている。さらに、泥炭地は消火が難しいという特徴もある。企業の利益追求が二酸化炭素の大量放出につながっている現実がある。
ケニアのグレート・リフトバレーと呼ばれる大地溝帯。元々は天然林が広がっていたこの場所は今は家や畑が広がっている。世界全体では1分間に東京ドーム2個分の森林が消えていると言われている。
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森林の二酸化炭素の吸収と放出のバランスを示す図。森林は光合成で二酸化炭素を吸収し呼吸によって二酸化炭素の放出もしている。大部分の森は二酸化炭素を吸収する方が多いが、放出する方が多い場所もある。森林が減少・劣化して光合成できる場所が大幅に減っているため、放出の方が多くなってしまう。
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フランス。先月、世界的なチョコレートの見本市が行われた。そこで、EUの新たな規則について議論が行われていた。EUで来年末からはじまる森林破壊防止の規則、販売・輸出する商品が森林破壊に加担していないかを確認することが企業に義務付けられる。成立を後押ししてのは市民などによる運動。罰金は売り上げの4%ほど。厳しい規則に企業は対応を迫られている。注目されているのが、森林監視システム。衛星画像を利用して、ほぼリアルタイムで仕入先の森林を確認できる。100年以上の歴史があるイタリアの紙製品メーカーではラベルなどに使う特殊な紙を生産している。有名ブランドとの取引を続ける上で環境への配慮は欠かせなくなっているという。製糸業には森林資源の利用が欠かせない。材料となるのは木材から作るパルプ。この企業では人工林のみを使用し、原生林には手をつけないようにしている。
企業の責任を問う流れは日本にも迫っている。今年、企業に自然への配慮に関する情報開示を求める新たな枠組みがはじまった。生産現場は理想と現実の間で模索を続けている。日本の大手日用品メーカーが仕入先のパーム農園を訪れた。森林の乱開発リスクを防ぐためには、取引先の4割を占める小規模農家の理解が必要。収入を求める農家が新たな農地を開発すれば、森林破壊に繋がりかねない。メーカーでは小規模農家への技術指導を強化し、既存のパーム農園を有効活用するよう働きかけている。
サプライチェーンをさかのぼって、生産者の支援もして、企業に求められる責任が大きくなってきている。企業は森林破壊に加担していないことを自ら証明しなければならない。日本の企業はどう対応しているのか?自国外での森林伐採面積で日本はアメリカ、中国に次いで3番目の広さとなっている。
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砂漠化がすすむセネガルを訪ねた。女性たちが5年前から農業をはじめていた。背景にあるのは大規模な植樹プロジェクト「グレート・グリーン・ウォール計画」。アフリカに巨大な緑の壁をつくる計画で、11か国で進められている。過酷な現実から一歩踏み出した人たちは次の世代への希望を語った。
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