2025年6月17日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
「わが町に来てほしい!」 過熱する外国人労働者“争奪戦”

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
外国人労働者”争奪戦”「わが町に来てほしい!」

外国人労働者の争奪戦が全国の自治体で拡大し次々と独自の支援策が打ち出されている。しかし住民やSNSでは反発の声も外国人労働者に日本社会はどう向き合うかを考える。

オープニング

オープニング映像。

「わが町に来てほしい!」 過熱する外国人労働者“争奪戦”
外国人労働者“争奪戦”「わが町に来てほしい!」

様々な所で外国人労働者を見るようになった。背景にあるのは人手不足。国の試算では16分野で3年後に242万人の労働力が不足するとされている。国は高齢者・女性の雇用を促進、ロボット・AI活用で生産性を向上させるなどして160万人分を補おうとしているがなお82万人分の労働力が不足する。そんな中で注目されているのが外国人労働者。全国の地方自治体で獲得競争が始まっている。

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出入国在留管理庁

外国人労働者で人手不足に対応している茨城県の金属加工工場は従業員161人のうち11人がベトナム出身。会社では人手不足で生産ラインの一部を止めざるを得ないという茨城県ではここ20年で生産年齢人口が2割減少しており企業から外国人労働者への期待の声があがるようになった。そこで県は5カ国の国の機関などと人材の受け入れ・送り出しに関する強力覚書を締結。金属加工会社でも県のサポートで新たに3人の外国人が来る予定。

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外国人労働者“争奪戦” 賛否 分かれる支援策も…

山梨県のビルメンテナンス会社ではベトナム出身の外国人が働く。従業員の支えは県が民間の保険会社に依頼して作った保険制度。ベトナムに残した家族が入院などをした際に医療費の約9割をカバーするというもの。企業は保険料の3/4以上を補助し、山梨県は企業に半額を補助する。外国人労働者に賃金以外の魅力も感じてほしいと保険制度に注目した。しかしこの取り組みに苦情など400件以上が殺到。その多くは制度に関する誤解の声だったという。多くの外国人労働者が働く宮城県でも意見が分かれる事態に。イスラム教徒が宗教上の理由で行う土葬に対しSNS上で批判的な意見が飛び交っている。宮城県は去年から土葬墓地の整備を検討している。土葬は日本の法律では禁じられておらず国内ですでに整備されている場所もある。県は外国人労働者を呼び込むための施策ではないとするも非難の声が相次いでいる。県内で働くイスラム教徒の中には日本社会は異なる文化への理解がまだ深まっていないと感じる人もいる。

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外国人労働者“争奪戦” どう深める?互いの理解

宮城・大阪市が開設した日本語学校では28人の生徒が学んでいる。この地域は外国人への住民の漠然とした不安があったという。カリキュラムの中に地域住民が交流する機会が積極的に設けられている。今では毎朝のように地域住民が生徒を出迎えるようになった。

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外国人労働者“争奪戦” 今 過熱するワケは?

地方自治体は国内人材の獲得が困難などの理由で外国人労働者を迎え入れようとしているが、住民からは税金の使いみちに納得がいかないなど受け止めは様々。人手不足はバブル期以降、過去最高水準となっている。外国人労働者を受け入れて労働力を維持しなければ介護・公共交通機関などが止まりかねない段階にある。昨年度、人手不足を理由に倒産した企業は350件にのぼり2年連続で過去最多を記録している。企業のサポートのために自治体が積極的に支援しているという背景がある。自治体が積極的に受け入れを進めるもう一つの理由に日本を選んでもらえなくなるのではという危機感がある。受け入れる側は言語・食生活・宗教への対応が必要。

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外国人労働者“争奪戦”韓国 国を挙げた支援策

韓国の自治体が運営する外国人労働者への支援センターは国が資金をサポートし常時6か国に対応している。国家資格を持った講師による韓国語の授業も無料で受けることができる。韓国が国を挙げて外国人労働者への支援を行う理由は深刻な労働力不足にある。韓国の合計特殊出生率が大幅に低下し外国人労働者の受け入れを拡大していった。しかし当時、法律や制度が十分に整っておらず悪質な労働環境が広がり社会問題となった。そこで2004年制度を改正し国が受け入れ人数を決めた上で企業の法令違反をチェック。優良企業から外国人労働者を優先的に割り当てる仕組みを作った。また法律も整備し、国を挙げ始めたのは社会統合プログラム。全国384か所で受けられ国から年間14億円以上の予算がついている。一方で課題もある。在留期限が切れても国にとどまる外国人労働者が後を絶たず国民から不安の声が上がっている。

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外国人労働者“争奪戦”韓国 国を挙げた支援策/外国人労働者“争奪戦”私たちに求められるのは?

韓国の政策の特徴は外国人労働者の権利を法律で保護しスピード感を持って行っている。少子高齢社会に直面する台湾でも外国人労働者の受け入れが進んでいて15年前に比べて2倍になっている。アジアでの労働力の移動が活発化している。日本は人材の育成就労制度の準備を進めている。国主導で日本語教育の拡充、法律や社会習慣を学べる場を広く提供することが必要になる。またメリットを感じられる仕組み作りのため企業・地域を国がサポートしていく必要がある。自治体は受け入れと同時にコミュニティづくりの支援に力を入れることが一層求められる。万城目氏は真の共生社会とは国籍・文化の違いが個性となる社会だとした。

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