- 出演者
- 桑子真帆 平孝臣
オープニング映像。
- キーワード
- イップス
イップスは医学的な病名を指すものではなく、うまく打てない・投げられないなどの症状を表す言葉。スポーツの世界だけではなく、日常生活や仕事の中でも起こり得る。かつて、女子ゴルフで世界ランキング1位になった宮里藍。現役時代、イップスに苦しんだ経験を打ち明けてくれた。失敗によって心に芽生えた恐怖心。思うように体を制御できなくなったという。
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- イップス
イップスの原因には脳の疾患が関わっている場合もあることがみえてきた。理容院を営む65歳の男性はカットのときに櫛を持つ左手が揺れてしまう症状に悩んでいる。この症状は突然現れ始めたという。男性はさまざまな病院や民間療法の施設を訪ねてきた。原因が分かったのは脳を専門とする診療科を受診したときのこと。脳疾患の一つ・ジストニアと診断された。何かの動作をするとき正常な脳では視床などを含む神経回路で運動調節を行っている。しかし、特定の動作を何度も繰り返すとその神経回路に異常を来し調節ができなくなる。自分の意思とは関係なく筋肉がこわばってしまう。
症状が悪化し、仕事を諦めざるを得なくなった人もいる。ウェディングプランナーをしていた恵さんだ。多忙なときには打ち合わせが12時間に及ぶなど業務の大半が話すこと。そんな中、発声の繰り返しが原因でジストニアと診断された。当初、仕事のときにだけ出ていた症状は日常生活にも現れるようになったという。
スタジオゲストに日本定位・機能神経外科学会の平孝臣さんを迎えた。イップスを引き起こす原因は2つ。精神的なものと脳疾患によるもの。精神的なものが原因のイップスは緊張状態が高いなど限定的な場面で症状が現れ、脳疾患が原因のイップスは状況にかかわらずいつでも同様に症状が現れる。
プロのオーボエ奏者・篠原拓也さんはジストニアと診断され、この10年、思い通りの演奏ができずにいる。特定の指使いをするとき、右手の薬指と小指がこわばる症状がある。演奏中にこわばってしまう指を肩の動きでカバーするなど試行錯誤してきたが限界を感じていた。篠原さんは今夏、脳の外科手術を受けることを決断。手術翌日、篠原さんは症状が改善されていると話した。今後は経過を見ていくことになった。
一方、症状はあっても工夫を凝らすことでその人の能力を活かそうという動きもある。ジストニアと診断されたテニスコーチの山本英智さん。コーチになって数年後、利き手の右手がこわばるようになり、これまでどおりに教えることはできなくなった。会社は山本さんをこれまでと同じように子どもたちの指導に充てた。会社で配置したのがサポートコーチ。山本さんの代わりに実際にプレーして教えるのが役割。
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- 荏原湘南スポーツセンター藤沢(神奈川)
脳疾患によるイップスには感覚トリックという治療法がある。例えば、手がこわばって文字が上手く書けない場合に持ち方を変えて書いてみるなど。感覚トリックでは脳への信号を変えることが重要。誰もがなり得る脳疾患・ジストニア。過度に同じ動作を繰り返さないように気をつけることが対策だという。