- 出演者
- 桑子真帆
国政選挙の相次ぐ敗北で少数与党となっている自民党。高市氏を応援してきた松島みどり衆議院議員は陣営の中にいても今回勝利できるという確信はなかったという。松島氏が勝因として挙げたのが党員票。47都道府県中31で高市氏がトップとなり、他の候補を圧倒した。選出の瞬間、隣りにいた松島氏は決選投票を制した喜びより「これから気持ちを引き締める」という感じだったと話した。もう一つ勝利の決め手となったのは国会議員票の伸び。決選投票では1回目の投票から85票を積み増し小泉氏を引き離した。この背景には重鎮議員の動きがあった。井上貴博衆議院議員は所属する派閥の会長・麻生最高顧問から党員の投票に準じた行動をするべきだと意向が伝えられたと証言した。
公明党の斉藤鉄夫代表は高市氏が選ばれた直後、党関係者から緊急の電話が入った。保守的な政治信条で知られっる高市氏は公明党の政治理念と足並みがそろうのか、斉藤代表は懸念を口にした。選出直後に行われた面会で懸念点を伝えた。
公明党の斉藤代表の発言の背景には、低迷している党勢を立て直すために独自性を発揮したいということと、高市氏とは政治理念がかなり異なっているので予め公明党の立場を伝えておいた方が後々良いんじゃないかということ、自公が連立の中軸ということを示すなどの思惑があると中北氏は述べた。高市氏は安倍元首相と近い保守的な政治信条で、経済政策では「責任ある積極財政」を掲げて経済成長を重視している。また、外交・安全保障では必要な防衛費を積み上げていくとしている。外国人政策では外国人問題の司令塔を設置すると掲げている。ガソリン税の暫定税率の廃止、軽油引取税の暫定税率の廃止を主張している。立憲民主党の掲げる給付付き税額控除は制度設計に着手する意向。国民民主党が主張する年収の壁の引き上げにも前向き。野党各党が主張する消費税の廃止・税率引き下げは当面の物価高対策としてはなじまないとしている。副総裁に麻生太郎氏、幹事長には鈴木俊一氏、総務会長には女性議員で最終調整を行っている。政調会長には小林鷹之氏、選対委員長には古屋圭司氏を起用する意向を固めている。党内基盤を固める狙いがみられる。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は高市氏との連立協議について、総裁選挙中の主張をやってくれるかどうか、自公のあり方がわからない中どうこう言うことはないと話した。インタビューのあと、榛葉幹事長は麻生氏の事務所を訪ねた。今後の連携のあり方を協議したとみられている。総裁選の最中にも榛葉幹事長のもとには自民党議員からの電話が相次いだ。連立への参加を巡り、自民党との距離感はどうあるべきか地方議員と意見を交わしていた。
一方、日本維新の会は吉村洋文代表と小泉進次郎氏との関係の近さが注目されていた。“副首都構想”の実現を目指している維新の会。総裁選の期間中は連立協議に前向きな発言も出ていた。吉村代表は高市新総裁の選出は意外だとし、連立協議についてトーンダウンはすると思うと話した。
立憲民主党の野田佳彦代表は高市新総裁と古くから個人的なつながりがあると明かした。政治理念に距離のある高市氏が新総裁となってことで対立軸は明確になったという。立憲民主党は総裁選で高市氏の訴えた給付付き税額控除の実現を自公に求めていく構えだ。一方、今後国会で行われる総理大臣指名選挙で野党で歩調を合わせられるのか最後まで可能性を模索したいという。
高市氏が総裁になったことで協議が活発化しそうなのは国民民主党。麻生さんは岸田政権当時、国民民主党との連携を模索した経緯もあり榛葉さんとは気脈を通じている。国民民主党内では一足飛びに連立政権というのはハードルが高いという意見が根強くある。まずは公明党含めた3党で合意しているガソリン税の暫定税率廃止、年収の壁の引き上げに本気で自民党が取り組むのかを注視すると思われる。一方、党内での機運後退がうかがえるのは日本維新の会。維新の会との間では菅副総裁がパイプ役とされてきたが、菅氏が支援した小泉氏が総裁選に敗れた。また、積極財政などの主張が高市氏に近い参政党は協力は惜しまないとしつつも連立に入ることは否定している。麻生氏、鈴木俊一氏は財政規律を重視していて、国民民主党が政策的に折り合えるか難しい。国民民主党が連立入りするとSNSの支持が剥がれてしまう可能性があるという。高市氏の物価高対策は現金給付は実施しない、給付付き税額控除は制度設計に時間がかかるとしている。今後の政治日程を紹介した。