- 出演者
- 桑子真帆 山中伸弥
オープニング映像。
iPS細胞は人間の皮膚や血液の細胞から作ることができる。最大の特長は神経の細胞や目の網膜など体中のさまざまな細胞になれること。体にiPS細胞を移植することで根本治療がないとされてきたパーキンソン病や重い目の病気なども治せるのではないかと研究が進められている。2年前、“もう自由には動けない”と医師に告げられた男性。転倒して脊髄を損傷。根本的な治療法がない中で提案されたのがiPS細胞で脊髄の再生を目指す臨床研究への参加。そして今月、男性を訪ねると、脚や腕だけでなく、上半身全体も動かせるようになっていた。自分の脚で体重を支えられるようになり歩くためのリハビリも始まっている。研究に参加した4人の患者のうち運動機能が大きく改善したのはこの男性を含む2人。iPS細胞を使った治療の研究開発はさまざまなケガや病気を対象に進んでいる。研究開発から一般の患者が治療を受けられる実用化までは大きく5つの段階に分けられ、今は実用化に向けた治験も終了し、国への承認申請をする動きも出てきている。
iPS細胞を使った治療で実用化の一歩手前まで来ているのが虚血性心筋症とパーキンソン病。合わせて19の研究開発が今進められている。国は2013~2023年まで1100億円の研究費をiPS細胞を中心とした再生医療に投入してきた。山中伸弥さんによると、大きな支援ではあるが、人を対象とした臨床研究を行う上ではまだまだ足りないという。
ことし6月、アメリカに細胞が送られた。アメリカで行われる治験のため。治験の対象はパーキンソン病。脳の神経細胞が減ることで手足が震えたり体が動かなくなったりする難病。根本的な治療法はない。アメリカの患者数は約100万人で日本の約3倍。細胞を送ったのは、日本の大手製薬会社。アメリカで治療が承認されれば、開発コストに見合った売上が見込めるとしている。開発中の治療は、iPS細胞から作った細胞を脳に移植し失われた神経細胞の機能再生を目指すもの。京都大学と共同で行った日本での治験では6人中4人で運動機能の改善がみられた。
iPS細胞を使った臨床研究の実施件数は日本はアメリカに次いで2位だが中国が間近に迫ってきている。山中伸弥さんはこの先もこの競争を維持できるかは非常に大変なことだとみているという。海外よりもいち早く実用化させたい理由は、新しい治療法の価格が高額になってしまう可能性があるため。また、日本に入ってくるまでに時間がかかってしまうため。
「住まいの高騰」について体験談や意見を募集している。
視力の低下や視野が狭まる重い目の病気を患う女性は、iPS細胞の臨床研究に参加し、3年前に移植を受けた。自分の経験が将来の治療の実現につながることを願っている。