- 出演者
- 桑子真帆 戸田和幸 野々村芳和
大きな転換点をむかえている日本サッカーの今を追った。
かつては中村俊輔、本田圭佑、中田英寿など日本代表の中でも限られた選手がヨーロッパーのリーグに挑むという構図だったが、国際化が進む今、100人以上の日本選手がヨーロッパでプレーしている。しかも6割以上が日本代表の経験はない。なぜ海外移籍が活発化しているのか。日本人選手ならではの強みがみえてきた。
8月、25歳の綱島悠斗選手がベルギーに旅立った。プロデビューは2年前で大学卒業後、東京ヴェルディに入団した。アントワープからオファーが来てから4日間で出発。この移籍を実現させたのは代理人事務所の田邊伸明。初めて海外移籍を手掛けたのは2001年、稲本潤一選手のアーセナルへの挑戦だったクラブの住所を調べてビデオを240本ほど送り返事をひたすら待ったという。それから20年以上たった今、サポートする選手は120人に増えた。田邊さんのもとには契約を目指す世界中のクラブからトップ選手から無名の若手まで問い合わせが舞い込んでいる。海外クラブの関心はJリーグ入団する前の選手にも及んでいる。高校時代得点王だった福田師王はJリーグ10クラブからオファーを受けていたが、福田師王は直接ドイツのクラブと契約した。Jリーグのほとんどはトップチームしかないので経験を積む場が少ない。ヨーロッパのクラブはセカンドチームも保有しているので試合経験を積むことができる。かつてはJリーグで実績を創り日本代表に選ばれて海外にいくのがスタンダードだった。なぜその過程が大きく変わったのか。要因の1つが進化したスカウトテクノロジーだった。世界1400クラブが導入しているシステムは69万人の中からクラブが求める条件の選手を簡単に見つけ出すことができる。気になった選手のプレーはすぐに映像で確認できる。さらに日本選手の特性も海外移籍を後押ししている。ドイツのフライブルクが目指すのは全員で攻撃し全員で守るサッカー。それを実現するには日本選手の献身的ともいえる姿勢が欠かせないという。
日韓ワールドカップに出場した戸田和幸は海外移籍のシステムについて「日本のサッカーのレベルが上った。あと日本のチームなので規律みたいなところが評価されてるんじゃないかなと思います」などと話した。野々村芳和は「日本人選手の価値が世界のサッカーのマーケットの中で高くなっている。それと30年前とビジネス的構図が変わっている」などと話した。10クラブから始まったJリーグはいまや60クラブにまで拡大した。
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- 2002 FIFAワールドカップJリーグ
今シーズンJ1に初昇格したファジアーノ岡山。昇格を機にホームゲームは連日満員。社長の森井悠さん。運営方針は地元に根ざしう日常になくてはならないクラブになること。スタジアムグルメには「津山ホルモンうどん」「千屋牛串焼き」など地元のグルメが並ぶ。廃校のグラウンドを人工芝に整備し、スポーツ環境も整えてきた。クラブの最大の収入源は地元企業からの広告料。すでに多くの協力を得ているためこれ以上伸ばすのは難しいと考えている。そこで目を向けたのがオーストリアだった。最大のメリットはここでキャンプを行う100以上のクラブと練習試合が組めることだった。さらに資金獲得も見据えている。キャンプは選手獲得に向けた情報収集の場でもある。ここで関係を築き、所属選手の移籍を活性化させることができれば移籍金でクラブに入るお金が増える。そのお金を選手育成や補強にあてることで強化を図るという。
今、大きな課題になっているのが移籍金。今年の夏の移籍金の平均額はベルギーは2億7000万円。オランダは2億4000万円。日本は4000万円だった。移籍金をアップするため今、改革を行っている。1つ目はシーズン以降。ヨーロッパと同じシーズンにすることで、同じ土俵で勝負できる。6月、7月を休むことで暑い時期にやる試合が減る。年俸上限の引き上げとU21リーグの創設も必要だという。10日、日本代表×アメリカ代表の強化試合が行われる。