- 出演者
- 桑子真帆 間宮弘晃
オープニング映像。
- キーワード
- 大腸がん
大腸がんを予防する薬の臨床研究に参加している44歳の有香さんは家族性大腸腺腫症を患っている。大腸にポリープが多発して悪化すると大腸がんで亡くなる人も多い遺伝性の難病。大腸のポリープは1cmほどの大きさになると約1/4の確率で癌になるとされる。そんな時に医師から薦められたのがアスピリンの臨床研究だった。ドラッグ・リポジショニングによって、これまでなかった大腸がんの予防ができる可能性が見えてきたのである。今、ドラッグ・リポジショニングは最先端AIの登場でさらに加速している。
大阪・鶴見区にある創業137年の中規模製薬メーカーは新薬開発と合わせてAIによるドラッグ・リポジショニンに乗り出している。AIを活用することで製薬会社はイチから薬を作り出す新薬よりも開発コストを抑えられるという。
立命館大学の間宮教授は「ドラッグ・リポジショニング自体はAIが出てくる前からあるもの。もともとは偶然見つかるようなものだったが、AIで予測できるようになって開発が加速するのではないかというふうに思う」などと話した。
- キーワード
- SARSコロナウイルス2エボラウイルス
40歳の三平さんはドラッグ・リポジショニングで難病・慢性活動性EBウイルス病を乗り越えた。発熱や臓器障害、皮膚の異常などさまざまな症状が現れる。悪化すると死に至ることも多く、根本治療は骨髄移植のみ。三平さんは大学病院の治験に参加してドラッグ・リポジショニング候補薬を服用。薬で症状が抑制され、骨髄移植によって病気を治すことができた。
ドラッグ・リポジショニングで作られた薬は効率的とはいえ研究開発には一定の費用がかかる。そのため、薬価が低いとなると製薬企業が臨床試験を行うというモチベーションが持てずに、その先の申請・承認までいかないというケースも起きてしまうという。
ドラッグ・リポジショニングの治験に参加して重篤な難病を乗り越えた三平さんは「治療も受けられないまま亡くなっていく方が、私の患者仲間にも非常に多い。治療法の幅が広がることを願うかぎりです」と話した。