2025年7月29日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
ひとに言えない汗の悩み 多い汗・わきが…どう解決?

出演者
桑子真帆 藤後悦子 藤本智子 
(オープニング)
今日は…

きょうは「ひとに言えない汗の悩み、多い汗・わきが…どう解決?」。

オープニング

オープニング映像が流れた。

(クローズアップ現代)
悩み1 ”汗がとまらない”「たかが汗」と言わないで

10代の頃から汗に悩まされ続けている田中さん。冬場以外はTシャツの色が変わるほど汗をかいてしまう。周囲に見られるのが恥ずかしく、夏場は外に出るのもためらうほどである。親や医師に相談しても「汗は誰でもかくものだから」と言われ、汗が気になり学校にも行けなかった。田中さんは汗の悩みを周囲に伝えられず、精神的に追い詰められていった。そして19歳の頃、ある病気と診断される。それは多汗症である。多汗症とは多量の汗が出ることで日常生活や仕事に支障をきたす病気である。汗が出る部位は様々で、最新の調査では10人に1人が多汗症に悩んでいると推定されている。猛暑が続くこの季節、皮膚科には汗の悩みを訴える人が増えている。都内のクリニックでは汗の悩みで5年で1万人以上が受診している。

キーワード
多汗症池袋(東京)
悩み1 ”汗がとまらない” 対処法は?治療は?

今回は皮膚科医の藤本智子さんと汗の悩みを抱える人に心理的なサポートを行っている藤後悦子さんとお伝えしていく。まずは汗が多いという悩みから。汗かきと多汗症の違いは6項目の中で2項目が当てはまり局所的に過剰な発汗が半年以上続く場合は多汗症と診断しているという。重要なのは「体質×困り感」という組み合わせとなっており、どれだけ汗が多くても本人が困ってなければ治療をする必要はないというようなところで分けているとのこと。遺伝もあるかについては遺伝する可能性があり、更年期・薬の副作用など別の要因もある可能性もあるという。治療法については保険適用の薬が出てきており、まずは保険適用の塗り薬をやっていただき改善しない場合にも部位によってそれぞれ治療がある。悩みを言えない人は過去につらい経験がある人がほとんどで、その1つとして”たかが汗”という周囲の理解不足だという。社会の清潔圧力というのもあり汗をかかないさらさらしている人がいいというのもあり、汗は汚いというイメージが作られてしまっていて当事者は汗は隠さないと駄目だと思い込んで相談しにくくなっているかもしれないとのこと。

キーワード
多汗症
悩み2 ”汗のにおい” 対処法は?新たな可能性も

自分の汗のにおいが気になるという20代の男性は高校生の頃からわきがに悩んできた。常に不安がつきまとい汗のにおいをできるだけ消す努力をしてきたとのこと。お金や手間をかけ対策を続けているが、それでも職場でのにおいが気になり仕事に集中できないこともあるという。この男性は体質に加え、においが日常生活に支障をきたしていることからわきがの病名である「腋臭症」と診断されている。そのためわきが治療のある専門外来がある大学病院に通っている。わきがはアポクリン腺から毛穴を通って出た汗が皮膚に付着した細菌に分解されることでにおいが発生する。わきがの人はこのアポクリン腺が人より発達し、汗の量が多くなるのでにおいが発生しやすいという。先ほどの男性のように悩んでいる人にはいくつかの選択肢があり、代表的なのはアポクリン腺を取り除くという手術である。保険が適用され費用は5万円程度で再発の恐れはほぼないが入院や術後のケアで1か月近く安静期間が必要になる。一方、男性が選択したのはわきから出る汗の量を減らすボトックス注射でわきの多汗症も発症している場合には保険が適用される。メリットは時間がかからないことで男性は仕事の関係で安静期間が取れないため、この治療法を選んだ。約半年ごとに注射を打つ必要があるが、効果を実感できているという。またわきが対策には新たな選択肢も生まれようとしており、その鍵となるのがスタフィロコッカス・ホミニスというブドウ球菌の一種である。この菌はにおいの発生に深く関わっていることが分かってきたという。研究を行っているのは大阪公立大学などの研究チームでスーパーコンピューターに成人男性のわきから採取された全ての細菌のDNAを解析させ、突き止めた。さらにこのチームは必要な菌は殺さずにスタフィロコッカス・ホミニスだけを狙い撃ちする阻害剤の開発にも成功した。現在はこの技術を活用し、薬やデオドラント商品を新たに作れないか企業と研究を進めている。

キーワード
大阪公立大学腋臭症
悩み2 ”汗のにおい” どう解消? 対処法は

わきが診断の中で耳あかが湿っている約8割がわきが体質と言われている。また家族にわきがの人がいたり周囲から指摘されたことがあるのも診断が必要な要素となっているという。治療法はアポクリン腺を除去する切開法、わき汗の量を減らすボトックス注射などがある。思い込みの場合もあり「自己臭恐怖症」というにおいを発していないのに気になったりする人が増えており、専門医に診断をつけてもらう必要があるとのこと。

キーワード
日本医科大学武蔵小杉病院桑原大彰自己臭恐怖症
悩み3 ”汗をかけない” 無汗症 熱中症リスクも

汗によって人生が大きく変わったという野口湊さん。小さい頃から打ち込んだ野球でプロ野球選手を目指していたが、社会人チームに入団した1年目に突然体に異変が起きた。気温が高くない日にも熱中症のような症状になり、外出も困難になった。精密検査の結果、体の80%から汗が出ていないことが判明し汗をかく機能が著しく低下する無汗症と診断された。その後病院で検査を受けたが、原因は不明。様々な汗をかく方法を試し、今は少しずつ汗が出るようになってきた。

キーワード
無汗症熱中症
悩み3 ”汗をかけない” 原因は? 対処法は?/人に言えない”汗の悩み” 解消に必要なことは?

無汗症は日本では患者が600名程度で難病となっており、症状としては汗が出ないので熱中症を容易に発症してしまうという。検査をして明らかな原因がない場合、体表面積25%以上汗がでないという診断になる。欧米人より日本人に多いとされており、10代~30代で運動している人や汗をかくことが多い職業の人が多いという。できることとしては汗をかくトレーニングを普段からやることと無汗症だと思ったら受診することである。

キーワード
熱中症特発性後天性全身性無汗症

これまで汗はたかが汗と考えられていることが多かったので汗の悩みを「サイレントハンディキャップ」と呼んで当事者の悩みの深さを理解してもらおうと務めてきたという。今は保険適用される薬が出たり研究が進むなど、少しずつ社会の認知が広がってきている。当事者に伝えたいことはつらいと感じたり嫌と感じたりする気持ちは当たり前で自然なことなのでその気持ちを否定する必要はなく、自分だけ特別だと思う必要もないという。

人に言えない”汗の悩み” 解消に必要なことは?

多汗症に1人苦しんできた田中さん。今は悩みを話せる場所ができ、3年前に立ち上がった当事者団体「NPO法人 多汗症サポートグループ」で100人を超える人が参加している。誰にも理解されないと思っていた悩みを共感してもらえたことである変化があり、今までは汗を隠して拭いていたがそれがなくなって恥ずかしくなくなったという。

キーワード
多汗症サポートグループ

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.