- 出演者
- -
オープニング映像が流れた。
サッカー元日本代表の水野晃樹。現役ラストイヤーを過ごしたクラブのGMに就任。Jリーグ退会したがもう1度輝くステージへ。夢を共にしたスパイクを慣れない革靴に履きかえて。新たな戦いに挑む日々を追ってきた。
- キーワード
- 盛岡市(岩手)
岩手といえば豊かな自然で冬は大体雪化粧。季節ごとに表情を変える雪国の小さな事務所が舞台となる。この事務所が運営しているのは岩手県のサッカークラブ「いわてグルージャ盛岡」。グルージャとはスペイン語で「鶴」のことで南部藩の家紋にちなんで命名。チームのマスコットは「キヅール」となっている。チームはかつてJ2にも所属していたが、去年J3の最下位に沈みJリーグ退会となりアマチュアリーグに降格となってしまった。このチームに2023年から所属していたのが元日本代表の水野晃樹だったが、去年の暮れに岩手で現役を退いた。引退してすぐ水野晃樹はいわてグルージャ盛岡のゼネラルマネージャーに就任した。フロントとしてクラブを立て直すと決めた。ゼネラルマネージャーとはサッカーチームの運営面における最高責任者で、選手編成から予算管理まで全てを取り仕切る。最初の仕事は選手との契約交渉となったが、アマチュアリーグに降格したため難しい交渉が続いていた。中でも気にかけている選手がいてそれはいわてグルージャ盛岡の昨季キャプテンである弓削翼であった。一緒にJリーグを目指そうと伝えていたが返事を保留されていた。その弓削翼から取材中に電話が入り、来季も残ってくれるということになった。
新しい戦力を発掘するためトライアウトを視察。選手を見る上で重視しているポイントは個の部分である。生まれは静岡県清水市であり5つ離れた兄の影響で幼い頃からサッカー漬けの毎日だった。そして小学2年生のときにJリーグができたことが転機となり、静岡県屈指の強豪である清水商業高に入学。プロになるためにチームキャプテンを務めたとのこと。ジェフ市原ですぐに頭角を現すと、オシム監督に才能を認められ日本代表に上り詰めた。2008年にはスコットランドの強豪・セルティックに移籍。そのあと再び日本へ戻ってきた。引退までに10クラブを渡り歩く中、夢と現実は隣り合わせにあることを知った。
現在家族を神奈川の自宅へ残し岩手で一人暮らしとなっている。水野食堂と書かれたマイエプロンは趣味の料理に欠かせないユニフォームである。この日のメニューは具沢山の海鮮パスタとカルパッチョでありディレクターの分も作ってくれた。心が休まるのは食事のときだけで、自宅にいても昼夜を問わず連絡が絶えない。その仕事ぶりを評価する立場にあるのがクラブのオーナーである。そしてオーナーの稲吉正樹社長に選手編成の成果を伝えた。今年1月の新体制発表会という呼ばれるチームのお披露目イベントには多くのサポーターが集まってくれた。去年キャプテンだった弓削翼、そして元日本代表の西大伍の引き止めに成功した。さらにJ1で月間MVPに輝いたこともあるストライカーである藤本憲明も新加入した。後日に元日本代表の小林祐希も加わり、充実な戦力を揃えることができた。
盛岡から電車で2時間、沿岸部の普代村で地域のイベントにゲスト参加することとなった。Jリーグに復帰するには成績に加え、平均2000人以上の集客が必要となる。グルージャはこれまでその数字を超えたことがなかった。水野晃樹は自らチームの広告塔となり、観客動員を増やそうとしていた。この日は巨大カルタ大会でチームをアピールした。別の日には選手と一緒に盛岡の商店街へ来ていた。グルージャのポスターを貼ってもらえるよう、色んなお店に挨拶回りをした。その後も各地を飛び回る日々が続いていた。神奈川の自宅へ帰ると妻の佐知子さんが出迎えてくれた。長男・欧河さんの身長は水野晃樹を超えようとしていた。また北京五輪を決めたときの集合写真を見せてくれた。
開幕1週間前、静岡でトレーニングマッチをすることとなった。気になった選手にはアドバイスを送ることもあった。そして3月16日にホーム開幕戦となった。
- キーワード
- 静岡県
大雪に見舞われたホーム開幕戦。選手1人1人に熱い思いを託した。いわてグルージャ盛岡とレイラック滋賀の試合が開始され、前半にまずは深堀隼平が点を決めた。そして初勝利となったが、雪の影響もあり観客数は2000人には届かなかった。
エンディング映像が流れた。