2025年1月4日放送 7:00 - 7:17 NHK総合

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南利幸 狩野史長 
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(ニュース)
日本製鉄のUSスチール買収 禁止命令

ホワイトハウスは3日、日本製鉄による米国の大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収計画について、バイデン大統領が禁止する命令を出したことを明らかにした。発表文では“国家安全保障上の懸念”を理由に挙げ、“日本製鉄とUSスチールはこの命令の日付から30日以内に取り引きを完全に放棄するために必要なすべての措置を講じなければならない”と命じている。またバイデン大統領は声明で“この買収計画は、国内最大の鉄鋼会社の一社を外国の支配下に置き、米国の国家安全保障と重要なサプライチェーンにリスクをもたらす”としている。一方、日本製鉄とUSスチールは共同声明を発表し“決定に失望している。日本製鉄とUSスチールは、法的権利を守るためにあらゆる措置を追求する”などとしている。日本製鉄は“禁止命令の決定は米国憲法上の適正手続きや対米外国投資委員会を規律する法令に違反している”と主張していて、関係者によると米国政府を相手取って裁判所に訴えを起こす方針を固めたという。会社としては引き続きUSチールの買収を目指す考えだが、その実現は極めて厳しい状況になっている。武藤経済産業大臣は“国家安全保障上の懸念を理由として、このような判断がなされたことは理解しがたく、残念だ”とコメントしている。一方、米国・ホワイトハウスのカービー大統領補佐官は、買収計画の阻止に関する記者の質問に対し“この決定は日本を巡るものではない。米国最大の鉄鋼製造の企業を米国資本の企業として維持することについての決定だ。日本との特別に緊密な関係や、同盟関係についての決定ではない”と述べ、“日本との同盟関係に変わりはない”と強調した。日本企業による米国企業の買収が大統領の命令で阻止されるのはこれが初めて。同盟国である日本の企業の投資を大統領が阻止する異例の事態となった。

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禁止命令に至る経緯は

日本製鉄がUSスチールの買収計画を発表したのは、おととし12月だった。米国の鉄鋼業界の労働組合・USW(全米鉄鋼労働組合)は、直ちに非難する声明を発表。米国国内で反発が広がった。さらに、米国大統領選挙を巡る思惑も影響を与えた。USスチールが本社を置くペンシルベニア州は、選挙の勝敗の鍵を握る激戦州。トランプ氏、ハリス氏ともに労働組合や労働者の支持を獲得しようと、買収計画に対して厳しい姿勢を示してきた。日本製鉄は、買収の実現に向けて去年9月、計画を審査する米国政府の委員会に再申請。審査の判断は選挙後に持ち越された。去年11月の記者会見で、日本製鉄・森高弘副会長は“年内に買収を完了できる”という見方を示していた。しかし、その翌月にはトランプ氏が自身のSNSで“かつて偉大で強力だったUSスチールが、外国の企業、今回の場合は日本製鉄に買収されることに全面的に反対する”として、買収計画を阻止する考えを示した。また、バイデン大統領がこれまで繰り返し買収計画に否定的な考えを示す中、日本製鉄は審査を続けてきた米国政府の委員会から、買収を認めるかどうかの判断が大統領に委ねられたとの報告を受けたことを明らかにしていた。

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米バイデン大統領が禁止命令 中継・ワシントン

米・ワシントンから中継。ワシントン支局・小田島記者が「政治的な信条が強く優先されたためと見られている。バイデン大統領は自身を“史上最も労働組合を大切にする大統領”と強調し、労働者や中間層に寄り添う姿勢を示してきた。民主党の支持基盤である労働組合が反対する買収計画である以上、その意向を大切にする、つまり買収を阻止するのが自分の使命だとの思いが強かったと見られる。(USスチールは)2024年10月から12月の決算では最終赤字に陥るとの見通しを会社は発表している。日本製鉄による買収や追加の投資がなければ、成長戦略は描けないとも指摘されている。一方、買収に反対してきたトランプ次期大統領は、外国からの製品に関税を課して国内の鉄鋼産業を守るとともに、減税によって産業の復活を目指すとしている」と述べた。

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日本企業への影響は

経済部・岩間宏毅が解説。「関係者によると、会社(日本製鉄)は米国政府を相手取って提訴する方針。日本製鉄は、今回の買収計画が現地の鉄鋼業の雇用確保や競争力の向上だけでなく、米国の安全保障の強化にもつながると主張してきた。買収に伴う雇用の削減や施設の閉鎖などは行わないとしたうえで、雇用の創出などに向けて、27億ドル、日本円でおよそ4200億円の追加投資を行う計画も示していた。また、米国政府の安全保障上の懸念を払拭しようと、USスチールの米国国内での生産能力を、CFIUS(対米外国投資委員会)の承認なく、10年間削減しないという異例の提案も行った。しかし、買収計画は認められず、会社は“バイデン大統領の決定は政治的な思惑のためになされたものだ”として、厳しく批判している。“米国の憲法上の適正手続きや法令に明らかに違反している”と主張していて、今後、提訴に踏み切るものと見られる。一方で、国の安全保障に関する大統領の判断は重いため、訴訟をしても結果を覆すのは難しいという見方もある。そうなった場合、日本製鉄が米国での戦略の見直しを迫られる可能性もあると思う。今回は政治的な思惑も重なった特殊なケースだとして、日本企業への影響は限定的だという見方もある。一方で、去年9月には、経団連の十倉会長が“公正で正当なプロセスの中で進められることを強く望む”と述べるなど、経済界では、今回の買収計画に政治的な圧力が及ぶことに懸念を示してきた。その懸念が今回現実となったことで、“日本企業の米国への投資拡大の流れに水をさすことになるのではないか”という声も上がっている。日本の同盟国とはいっても、米国への投資にあたっては政治情勢も含め、さまざまなリスクを踏まえ慎重に判断することが求められることになりそう」とスタジオで述べた。

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北日本~東日本で積雪増 交通影響など十分注意

気象庁によると、冬型の気圧配置と強い寒気の影響で、北日本から西日本にかけて日本海側の山沿いを中心に雪が降っている。午前6時までの6時間に降った雪の量は、新潟県の糸魚川市能生で17センチ、北海道秩父別町で14センチなどとなっている。午前6時の積雪は青森県の八甲田山系の酸ヶ湯で3メートル92センチと平年の2倍近くになっているほか、青森県五所川原市で1メートル7センチなどと、平年の3倍を超えているところがある。Uターンラッシュが本格化していて、交通への影響には十分注意。あす朝までの24時間に降る雪の量は北海道で40センチ、東北で30センチと予想されている。きょう日中は寒気の流れ込みは弱まる見通しだが、積雪が多い地域では、電線や樹木などへの着雪による停電、なだれにも注意。雪下ろしの事故が後を絶たない。複数人で行う、ヘルメットを着用するなど注意が必要。

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気象情報

全国の気象情報を伝えた。

(エンディング)
エンディング

エンディングの挨拶。

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