- 出演者
- 大浜平太郎 真山仁
オープニング映像。
ジャパンモスファクトリー・井藤賀操さんはコケの産業利用を目指す研究者。研究所の4つの水槽で24時間コケを培養している。水の中で育てている「原糸体」は生まれたてに近い構造を指す言葉で、井藤賀さんは糸状のコケの一本一本を水流などを使い絡み合わせ丸くしている。光の当て方や空気の送り方など独自に編み出した手法で安定的に原糸体を培養。ヒョウタンゴケの原糸体は金属を吸着し水質を改善する特性を持っていて、井藤賀さんが世界でその特性を初めて発見したという。この特性を活かした自然由来のフィルターの商品化に向け動き出している。通常、工場では化学薬品などを使って排水に含まれる鉛などを除去しているが、コケフィルターを使えば化学薬品を使わずに水質改善ができるという。コケフィルターが製品化されれば、一般的な工場の浄化システムと比べて数百万円のコストが削減できるようになる。ただ製品化には莫大な量のコケが必要になってくるとのこと。
井藤賀さんとコケとの出会いは小学生の時。育てていた盆栽の木ではなく、土の部分に生えていたコケに引き込まれていった。その見た目や不思議な生命力がたまらなく愛おしかったという。その後大学でコケの特性や生態について研究。小さなコケに大きな可能性を感じたという。大学院を卒業後、井藤賀さんはコケの可能性を追求するために理化学研究所に入所。そこでヒョウタンゴケの原糸体が金属を吸着する特性を発見した。そしてその実用化を目指し、2019年にジャパンモスファクトリーを創業した。創業後の井藤賀さんに立ちはだかった壁は研究と経営の両立。そうした中で井藤賀さんは今年7月、ジャパンモスファクトリーの社長をベンチャーなどを支援してきた戸上純さんに託した。今後、実用化に向けた企業へのアプローチなどは戸上さんが担当していくという。
ジャパンモスファクトリー・井藤賀操さんはコケの力で地球を救おうとする開拓者。コケを使った製品の実用化に向けて様々な研究を進める中で、コケの原糸体は鉛などの金属だけでなく金まで吸着するという。通常金を含む排液は化学薬品で金以外の物質を取り除いていくため、環境に負荷がかかると言われている。しかしコケフィルターを使えば環境負荷を抑えて金が取り出せるとのこと。金以外にはプラチナやパラジウムも吸着するという。
ジャパンモスファクトリー・井藤賀操さんのブレイクスルーとは「不安定な環境で何かを見出すこと」。
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