- 出演者
- 大浜平太郎 相場英雄
記者としての取材経験をいかし、経済や社会に鋭く斬り込みリアルを描く相場英雄が迫る。世界での半導体戦争。量子コンピュータや宇宙産業など。次世代の未来の半導体。究極の半導体であるダイヤモンド半導体。熱耐性×放射線耐性。福島第一原発の廃炉作業に立ち向かうという。未来の産業を切り開く。半導体大国の開拓者に相場英雄が迫る。
オープニング映像が流れた。
相場英雄さんが福島県大熊町にやってきた。相場さんは思い入れの強い街だという。原発事故で廃校になった旧大熊町立大野小学校にやってきた。そこを拠点に次世代の半導体の開発に挑む大熊ダイヤモンドデバイスの星川尚久CEO。その研究を見せてもらう。ダイヤモンドで半導体を作っている。中心部分がダイヤモンドだ。シリコンをダイヤモンドに置き換えている。究極の半導体と呼ばれる。ポテンシャルが高い半導体だ。シリコン半導体は熱に弱い。150度で機能停止の可能性が高い。ダイヤモンド半導体は、500度でも正常に動作する。大熊ダイヤモンドデバイスでは設計から製造まで行っている。ダイヤモンドウエハーの表面はなめらかだ。高温や放射線に強い。廃炉を中心に社会実装が近づいてきた。
ダイヤモンド半導体は、原発廃炉を進めることが使命にある。原発廃炉は燃料デブリの回収が必要になり、ダイヤモンド半導体の放射線耐性は従来品の1万倍にもなる。星川さんが開発しているのは、原子炉内の放射線量を測る臨海近接監視システム。これまでに廃炉から核燃料デブリを回収出来たのは880トンのうちわずか約1グラム。高温・高線量の危険を検知するためにもダイヤモンドは欠かせない。星川さんはこの事業は産業に実装されるという意味では世界初だと話す。この製品は2030年に使用されることを目指して計画を進めている。相場さんは、社会的意義や責任について質問した。星川さんは社会的意義は大きく、一人ひとりに責任はありながらもその中の一人としてできることをやりたいと話した。実は星化さんはダイヤモンド半導体で新しい新産業の開拓を目指している。ITや技術が発達するとその分熱量や電力が増えることから、ダイヤモンド半導体を扱う余地があるのではと話す。他にもデータセンターでは膨大な情報処理に伴い冷却機能もその分必要だが、ダイヤモンド半導体であれば省電力で済む。星川さんは新産業のコメとして、ポテンシャルを活かせるマーケットに確実に入っていくと話す。
次世代の産業を生み出す切り札となるダイヤ半導体。大熊ダイヤモンドデバイスの星川さんは既に量産を進めている。ダイヤモンド半導体の製造の工程は、機械に土台をセットしたあと、原料となるメダンガスを放出、マイクロ波を出し結晶化することで高純度のダイヤが作られる。ダイヤモンドは早いと1週間でできる。コストはまだ高いが、量産ができればコストは下がるし、最終的には他の半導体材料の数倍くらいの値段に寄せられればいいと話す。ダイヤモンと半導体は産業技術総合研究所が1980年代に基礎研究を開始。この事業のキーパーソンとなるのが金子純一さん。金子さんは放射線の検出器をつくるのが専門だったが、応用を活かし半導体を製造する商用機をつくった。星川さんは2022年に大熊ダイヤモンドデバイスを起業。ダイヤモンド半導体は製造化は原料の10パーセントほどと言われているが、この会社では製品化率が90パーセントという結果が注目をあび、74億円の資金を調達した。現在福島で建設中の量産工場では放射線センサー数万台の生産能力を見込んでいる。
相場さんは今後の新産業について訊ねた。星川さんは宇宙のような熱を逃がすことが出来ない環境下で高温に強い半導体としてダイヤモンド半導体が使えるのではと話す。星川さんは2030年にダイヤモンド半導体の市場が、宇宙安全保障事業で5000億円、2033年には次世代通信基地局で2兆円規模になると試算している。しかし、市場が広がることで半導体戦争の懸念もある。国際競争を勝ち抜く勝算として、星川さんはあると述べた。奇しくも日本特有の特需である廃炉ということから、この先攻優位性を東日本大震災で得ていると話す。スタート時には強い日本が、量産まで世界から勝ち抜くポイントとして、分業化でどのようなビジネスモデルをつくるかが半導体で勝つために必要なストーリーだと話した。
ブレイクスルーはTVerで配信。
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ダイヤモンド半導体の実用化に向けて奔走するのが星川さん。星川さんは北海道大学工学部を卒業後大学院在学中に23歳で起業。学生時代に福祉で起業したきっかけは、法改正でうつや精神障がいが障害者として認められてたときだった。その時の授産施設ではしいたけの栽培や橋の袋つめなどの作業で社会の復帰を促すことがスタンダードだったが、星川さんはこの作業で復帰できるかということに疑問を抱き、パソコンやITを教えたほうがいいのではと考えたのがコンセプトだった。星川さんは最初の起業が軌道に乗ると、連続起業家として進み、その中でダイヤモンド半導体を知る。この事業をイグジットするかについては、イグジットしたほうが盛り上がるならするが、少なくとも半導体を産業化までは責任があると話した。星川さんにとってのブレイクスルーとは、困難を乗り越えることで人類の歴史そのものだと話した。