2023年10月25日放送 19:57 - 20:42 NHK総合

プロフェッショナル
直径7センチの、小宇宙 〜おもちゃ開発者 誉田恒之〜

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(オープニング)
オープニング
file:526 直径7センチの、小宇宙
ヒット連発のおもちゃ開発者 直径7センチ カプセルトイの深淵

午前7時、誉田恒之の朝は愛犬コロッケとの散歩から始まる。このくつろぎの時間でも誉田の脳内はおもちゃのことでひしめいているという。家に戻ってから出社までの間も試作品を触り続けていた。大手おもちゃメーカーでカプセルトイの企画開発チームに所属する。限られた原価の中でヒットを生み出そうと新商品の開発が加速している。5年前に発売され今も大ヒットしているのが誉田が開発した生き物フィギュアのシリーズ。これまで300種類、販売個数1200万個。リアルさが子どもだけでなく大人までも虜にしてきた。この日チェックしていたのは今後販売を考えているアリ。試作品を手にとり見つめ続けること実に15分。このアリの最大の武器であるおしりの毒針の出方をしきりに気にしだした。よりリアルなものにするため変更を加えすぐに原型を担う中国の会社に送る。誉田は「ただ一点を徹底的に追求したものは必ず人の心に刺さる」と言った。低価格のため大きなコストはかけられないカプセルトイはどこを諦めどこを極めるのかこの流儀を徹底することで誉田はヒットを生み出してきた。330万個を売り上げた「だんごむし」は着色にはコストをかけず丸くなる動きの一点にこだわり1年以上かけ改良を重ねた。「アルマジロトカゲ」は動きは一切諦めた代わりに86回もの工程で着色を極めた。誉田は開発を始めたばかりのオオコノハムシに取り組んだ。曲がる動きを再現するため設計図に落とし込む。試作品の発注をしたが誉田は開発はまだ始まってすらいない段階だと言う。誉田のもう1つの流儀は“頭の中を、過信するな”。2週間後、誉田は中国に飛んでコノハムシの試作品をチェックした。ジョイントを使わずに動きを表現するにはどうすればいいか試作品を手に取り触り続ける。誉田はPVCを使うことなどを提案した。

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いきもの大図鑑だんごむしアルマジロトカゲオオコノハムシカプセルトイ台東区(東京)広州市(中国)
ヒット連発のカプセルトイ開発者 直径7センチに込める驚き

頭の中を過信しない誉田さんはとにかく体を動かし会いたい人がいればすぐに会いに行く。この日は老舗昆虫雑誌の社長のもとへ。ヘラクレスオオカブトの試作品を見てもらった。休日も開発のヒントを求め昆虫の標本などの販売会を訪ねた。別の日には爬虫類の販売会。このヤモリは先日フィギュアを完成させたばかり。誉田は「作ったあとにもう1回触るともうちょっと改善すればもっとよくなるというのが見つかるので答え合わせをしていくべき」と話した。プロが見ても「本当にすごい」「ここまでよく再現したな」と驚くものを目指して普通の人が考えないようなことを徹底してやるという。

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カプセルトイ中野区(東京)千葉市(千葉)横浜市(神奈川)
ヒット連発のカプセルトイ開発者 “90ミリ”未知の大きさに挑む

7月、特別な開発が始まろうとしていた。作るのは90ミリのカプセルトイ。一般的な68ミリと比べ容量は2倍以上になる。題材に決めたのはガンダム。売りの1つはロボットの頭部がカプセルなしでそのまま出てくるインパクト。さらにハッチオープンで整備中の姿を再現することを考えていた。6日後、最初の試作品が届いたが想像を超えるものではなかった。誉田は下田重工業という名前で活躍するプラモデラーに会いに行った。デザインを下田が、全体の設計を誉田が担う二人三脚のこれまでにない挑戦の幕が切って落とされた。

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カプセルトイガンダム
ヒット連発のカプセルトイ開発者 失格の烙印 遠回り20年

数年前から誉田さんは駆け出しの原型師に声をかけ共同でのカプセルトイの開発を行ってきた。そこには誉田さん自身もきっかけを掴むのに時間がかかり遠回りしていたという思いがある。昭和43年、大阪に生まれた誉田さんは模型を改造して遊ぶのが大好きな子どもだった。大学で機械工学を学び卒業後おもちゃメーカーに入社。4年目に念願の企画開発に配属になったが試作品の指示がうまく伝えられず改良する手立てもわからない。自信が持てないまま発売した商品は案の定売れなかった。10か月後、突然上司に別の部署に異動してくれと告げられた。国内での営業を3年した後に中国で工場管理を担当することになった。誉田さんはそのとき自分が無知だったことに気付きどういう風に作ればいいのか分かりはじめたという。工場であらゆることを貪欲に吸収し始めた。家では世界中のおもちゃを買い集めては分解し仕組みを学んだ。次第に今だったら自分の頭に思い描いていたものが形にできるという自信が芽生えてきた。目をつけたのはカプセルトイ。工夫の余地が限られていると思っていたが生産現場を知っている自分なら変えられるのではないか。日本に帰るたびに企画書を持参し4か月後、企画を通した。中国の工場で指示を出しては改良を重ねたカプセルトイは大ヒットとなった。でも誉田さんは売れたのはキャラクターの力だとした。異動希望を出さずさらに10年中国やフランスで働いた。企画開発の部署に戻ったのは25年目、48歳のときだった。そのとき1年前から密かに温めていた企画がダンゴムシだった。企画会議のプレゼンは完全なアウェーだったが誉田さんは決して引き下がらなかった。通常5分ほどのプレゼン時間だが誉田さんは30分近く話し続けた。1年後、人生を掛けたダンゴムシの発売日。店でこっそり様子を伺うとすごい勢いでなくなっていくのを興奮気味で見ていたという。誉田さんは遠回りしたからこそ今自分の作る商品に自信が持てると話した。

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だんごむしカプセルトイ
ヒット連発のカプセルトイ開発者 “90ミリ”未知の大きさに挑む

今回タッグを組んだ下田からデザインの画像が送られてきた。想像を超える仕上がりを見て誉田は戦略を変更するという。頭部だけでカプセルトイを作る予定だったが「頭部の外装」「頭部の内装」「胸部」と3種類作ることにした。8日後、下田から着色が施された画像が届いた。だが誉田はややロボットの設定通りになりすぎて下田の個性が弱まっていないかと悩んだ。2日後、下田のもとを訪ねるとボヤきながらも下田は誉田の熱意を感じていた。誉田のもとに中国から頭部のハッチオープンの部分の試作品が届いた。いつものように繰り返し触り30分が過ぎた。ハッチが開く仕掛けは満足のいく出来だが組み立てるときのワクワクが足りない。だが会議まであと2週間しかない。誉田はすぐに中国に指示書を送りもう一度試作品を作ることを決断した。下田は誉田の期待に応え個性の絶妙なバランスを実現していた。中国で試作品をチェックする日。追加された赤いフレームが無事完成していた。すぐに会議に臨んで量産化のゴーサインが出た。誉田はプロフェッショナルとは「自分の置かれた環境に関わらず人を喜ばせたい、楽しませたいという情熱を持ち続け常にいいものを作り続けることができる人」だと話した。

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カプセルトイガンダム東莞市(中国)
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