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11月26日、サントリーホールのステージにいたのは18歳～67歳の97人のアマチュア奏者。指揮をするのはベルリン・フィルの首席指揮者キリル・ペトレンコ。日本のアマチュア奏者と世界的奏者の一夜限りの共演に密着する。
世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。世界中を熱狂させるベルリン・フィルと日本の奏者を演奏させるプロジェクトが日本で行われた。演奏の映像を見るオーディションの際、ベルリン・フィルの首席指揮者であるキリル・ペトレンコはこのプロジェクトが自分のインスピレーションを刺激するのだと語った。リハーサル4日間、厳正な審査を通った演奏者が集結した。リハーサルではベルリン・フィルで演奏する奏者が直接指導する。参加者は喜びを隠せない様子だった。首席フルート奏者であるセバスチャン・ジャコーの演奏を食い入るように見つめる女性、浜田恭子さんは浜松市内のお菓子店で働いている。今回の応募はダメ元だったという。高校の吹奏楽部でフルートと出会った浜田さん。子育てなどで一時中断していたものの、40代で子育てが落ち着き再び音楽を再開したという。家族の食事の準備などを終えると、練習を開始する浜田さん。フルートは口の位置などを鏡でチェックする。フルートに出会って38年、浜田さんは夢の舞台へ向かっている。この曲を指揮するラファエル・へーガーは現状の演奏を25％と評価、だがここからどんどん調子を上げていくと語った。
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- うなぎパイニューヨーク（アメリカ）バイオリンとチェロのための二重協奏曲ビー・フィル・オーケストラジャパンプラハ（チェコ）ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ベルリン（ドイツ）ヨハネス・ブラームスレーロース（ノルウェー）浜松市（静岡）浜松駅
その頃弦楽器セクションではトップの演奏者の演奏に瞳を輝かせる男性。薮崎将さんは小児科医で病院内でもコンサートを行っている。多忙な毎日の中で音楽をやっていてよかったと感じるのだと話す薮崎さん。家での練習、演奏する「ロメオとジュリエット」でどうしても上手く行かない部分が出てくる。リハーサル2日目はサントリーホール、しかし奏者たちの顔に笑顔はない。この日はベルリン・フィルハーモニーのトップ指揮者キリル・ペトレンコ との初めてのリハーサルになる。
迎えたリハーサル2日目、ベルリン・フィルハーモニーに首席指揮者キリル・ペトレンコが姿を現した。指揮に入った途端に空気は一変する。参加者は指揮に必死に付いていく。またスタッフに対しても冒頭15分のみの取材で退出するように告げられた。それでも未知の体験に興奮冷めやらない参加者。そんな中でメンバーで1人名指しでキリル・ペトレンコから指摘を受けた男性、山崎浩司さんは普段保健会社で働いている。山崎さんは筋金入りのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団マニア。そして夫婦でこの企画に参加している。
ホルンを担当する女性はキッチンメーカーで働いている。ヨハネス・ラモトケがみんなを連れた先には菅原さんが会いたかったサラ・ウィリスがいた。ベルリン・フィルの初の女性奏者で安定感のある低音でオーケストラを支えている。彼女が講演で来日するたびに会いに行っていた。菅原さんはサラの隣でホルンを弾いた。
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- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
早稲田大学理工学部に通う伊東さんは早稲田大学交響楽団でコンサートミストレスを務めている。グラームスでヴァイオリンソロを務める樫本大進は国際コンクールで優勝しベルリン・フィルでは第1コンサートマスターを務めている。伊東さんは樫本さんの熱狂的なファンで小学校の時にコンサートに行った以来追いかけているという。リハーサル3日目、伊東さんは開始時間30分前に来ていた。この日はソリストたちと初めてのリハーサルである。リハーサル後にはキャンパスに戻り、夜が更けるまで引き続けた。最終日は本番と同じ大ホールでの演奏である。誰もが樫本さんに声をかけられないなか、声をかけられずにいる男性がいた。角田さんはエントリーシートに書いたのは東日本大震災が起きた時、ベルリン・フィルの方が救いの手を差し伸べたと書いている。当時高校2年生で震災の影響で所属していたジュニアオーケストラが活動中止したとき、ベルリン・フィルがチャリティコンサートを行い義援金で高校最後の演奏会が行われた。小児科医の薮崎さんは高音のメロディーを、うなぎパイの販売員の浜田さんはソリストたちの掛け合い部分に思いをのせ、夢の舞台が幕を開ける。
ついに迎えた本番当日。ベルリン・フィルと97人のアマチュア奏者たちの夢の共演が始まる。指揮、ラファエル・へーガー「バイオリンとチェロのための二重協奏曲」。伊東さんは、最初の音を聞いてすごく感動して1音目から広がっていくのを肌で感じて後ろでずっと見ていたと話す。浜田さんとソリストたちとのかけ合い。浜田さんは、開き直って選んでもらったんだから自分の個性を出す、自分がいいと思う演奏をやろうと思ったと話す。会場にいる人すべてが、彼らが奏でたハーモニーに拍手を贈った。そしていよいよ、マエストロ キリル・ペトレンコが登場。緊張は最高潮に達していた。
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者キリル・ペトレンコと97人のアマチュア奏者による、組曲「ロメオとジュリエット」。
こうして、一夜限りの夢の物語は幕を閉じた。山崎さんと瑞恵さんは、感動を分かちあえる相手が側にいるというのは幸せなことだと話す。菅原さんは、まだ終わらないでほしい、数日間だったが思いはめちゃくちゃ濃かったと話す。藪崎さんは、最高だったという。浜田さんは、この機会に恵まれたことは一生死ぬまでの宝物だと話す。ペトレンコ氏からメンバーへ「私は非常に驚き感動した。この後、皆さんがどのような道を歩もうとも音楽が皆さんの人生を必ず豊かにしてくれるでしょう」とメッセージを送った。いつもそばにいた音楽が導いてくれた夢の舞台。だからこれからも人生は音楽と共に。
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