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去年の年の瀬、卓球最強兄妹は仙台にいた。パリオリンピックにアジア選手権、激動の1年を過ごした2人は張本智和さんと張本美和さん。この2人が今回の主人公。驚いたのは妹の美和さん。お兄ちゃんへサラダを取り分けるだけでなく番組スタッフのお肉まで焼いてくれた。お互いの今年1年の活躍について聞くと智和さんは「世界卓球・銀、オリンピック・銀というのは素晴らしい。それを16歳、初出場という中で達成した。ある程度そうなるだろうと想像もしていたが、それを実際に成し遂げて改めてすごいなと思った。」、美和さんは「全日本選手権優勝からのアジア選手権優勝は本当にすごいの一言。」などとお互いをたたえた。世界ランクは兄妹揃って日本人トップ。日本が誇る最強兄妹の今をカメラは追った。
なぜか浮かない表情のお兄ちゃん。21歳、日本のエースは船が怖いそうだが、目的地も秘密のミステリーツアーに船で向かう。着いたのは沖縄の無人島。2024年12月、卓球漬けだった1年の終わり、リフレッシュしてほしくて誘った。ユニフォームではなくラケットもシューズも持たず、喧騒から離れた場所で、素の智和さんに今の思いを聞いてみたかった。2024年、ちゃんとしたオフはあった?という質問に智和さんは「なかった。11月のファイナルズまで午後家で寝るとか1日何もしない曜日とかはあったが、心の底から心が休まるオフは1月1日から11月のファイナルズが終わる日まで一瞬もなかった気がする。」などと話した。1年間で15カ国をめぐり、22大会に出場。多忙を極める智和さんに最近できた心の支えは16歳の妹・美和さん。3年前、国際ツアーにデビューした海外でも一緒に練習するお兄ちゃんっ子。去年大活躍した妹について智和さんは「僕が関わっている分には元気で明るくて楽しく卓球やっているように見える。でも間違いなく自分の立ち位置は変わってきて、楽しさから少しずつ義務になって、来年まだ16・7だが追いかけられる立場になると思うので、そういう意味では僕と同じ道のりを歩んできて、そこは避けても通れないし、そこを乗り越えた者にしか金メダルはない。強い選手なりの道のりを歩んでいると思うので、そこをゆっくりと乗り越えてほしいと思う。混合ダブルスじゃないが、1+1=2以上というのを兄妹間で感じている。それを僕のほうが恩恵を受けてる。妹から与えてもらって僕はちょっとしか与えてないような気がする。それぐらい力をもらっている。」などと話した。
2人の道が重なったのは4年に1度の大舞台、オリンピック。パリへお兄ちゃんと一緒にとサプライズの選出だった。美和さんは「嬉しい。まさか選ばれると思っていなかったので。選ばれたからには責任感を持って頑張らないとなという思いはすごくある。今は想像するだけでも緊張しかないが、あとは先輩方についていけばいいかなと思うので、まずは卓球を頑張ろうと思う。」などと話した。7月、大会直前の合宿。オリンピックの卓球は全3種目。智和さんは全てに出場する。美和さんが出場するのはダブルスとシングルスで行われる団体戦。各国のエースがシングルス2試合をつとめるのがセオリー。チーム最年少の美和さんはダブルスで頑張るつもりだった。その時、監督に呼ばれ話し込む美和さん。その目には大粒の涙が光っていた。
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パリオリンピック開幕直前の合宿中、16歳・張本美和さんの目には大粒の涙が光っていた。真相を聞けたのはオリンピックが終わってからだった。美和さんは「その日に初めて私が団体戦のシングルスに出るって言われた。そのちょっと前くらいまでダブルスの練習をしていた。すごい頑張っていたので、急に言われたときは準備を変えなきゃいけないっていうのもあったし、自分で大丈夫なのかっていうのを考えて、不安で、感情が出てきて泣いてしまった。」と話した。16歳で背負った日の丸。しかも先輩ではなく美和さんがエースに。その団体戦、日本は準決勝へ。美和さんは各国のエースを相手にここまで全勝。大会前に16歳になった美和さんだが、今大会男女通じて最年少選手。相手が強豪・ドイツでもオーダーは変わらない。結果、相手のサーブにリズムが掴めず3-0で負けた。美和さんは「自分が持っているものすら出せなかったので、4試合目で絶対自分が回ってくると考えたときはすごく心配だった。試合勝てるかなとか途中で逃げ出したくなるかもと考えていた。あの時の気持ちが今までにないなっていうのがオリンピックだからこそ味わえた気持ち。」などと話した。30分後、決勝進出をかけ2試合目へ。今度は3-1で決勝選出を決めた。美和さんは「あの試合に勝てて自分のプレーが戻ってきたというところがすごく嬉しかった。それで試合勝ったあとに涙が出てしまった。」などと話した。
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- アネット・カウフマンパリオリンピック
お兄ちゃんも団体戦の準決勝へ。でも惜しくもメダルならず。智和さんは「五輪で負けた時に何が一番悔しかったかと言ったら一緒にメダルを取れなかったこと。妹がメダルを取ったことで嫉妬というよりか情けないというか、もしロス五輪で取れたとしてもパリ五輪のメダルを逃したことには変わらない。でも妹が取れたこと自体はすごく嬉しかった。」、美和さんは「一緒にメダルを取れたら一番いいとは私ももちろん思うが、私とお兄ちゃんでは背負っているものが違いすぎて。お兄ちゃんは男子のエースだったり、東京五輪でメダルを取ったというのもあると思うので、本当に大変だったと思う。戦いを見ていたら私より勝ちがある。次のロス五輪では一緒に取れたらいいな、一緒に頑張れたらいいなと思う。」などと話した。
オリンピックから3カ月、1年を締めくくる晴れ舞台、年間の最強選手を決める「WTTファイナルズ福岡」。智和さんは妹に引け目を感じたまま2024年を終えるわけにはいかなかった。準決勝まで勝ち進み、世界ランク2位・中国の次世代エースとの勝負の一戦にのぞんだ。倒れ込むほど嬉しかった価値ある勝利で1年を締めくくることができた。
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そして12月、2人揃っての里帰り。色々あった1年の最後の密着取材。活躍する妹に対し兄はひとつ心配なことがあるそうで、「パリオリンピックまでの道のりが妹にとって一番楽しかった時期だと思う。その中でも多少のプレッシャーはあるし、五輪代表に選ばれるかどうかとか、五輪で結果を残せるかという不安もあったかもしれないが、パリ五輪までの卓球人生がボーナスステージ。ここからは多分そんな時期は一生来ない。」と話す。兄は10代の圧倒的な強さ、脆さを知っている。数々の最年少記録を打ち立て、瞬く間に世界の第一線へ。しかしその後出る杭は打たれる、勝負の世界の厳しさを知った。世界中に警戒され研究され、追われる重圧と戦い続けなければならない。だから妹に伝えたかった。智和さんは「一生ほぼ苦しいことが付きまとうが、僕はいい意味でも悪い意味でも慣れた。パリ五輪で銀メダルを取ったらそれ以上の結果なんて金メダルしかない。世界卓球で金メダル取らない限りは超えられないし、そういう時期を少しは苦しむかも知れないが、じきに慣れると思うので、どんなことも初体験だと思って、パリ五輪までの道のりが当たり前だとは思わないでほしい。これからは苦しいほうが長いのを覚悟して頑張ってほしい。」などと話した。
そして、今月ついに兄妹で初めて出場する世界卓球個人戦が目の前に控えている。智和さんは「僕が求めるものは世界卓球メダル以上。僕の期待を超えて金メダルを取ってくれてもいいし。最低限世界卓球メダル。」、美和さんは「決勝に行ってほしい。」などと話した。そして迎えた勝負の年。妹・美和さんは大躍進を遂げていた。兄・智和さんは新たなステージへ。
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今年、兄・智和さんは新たな門出を迎えた。新社会人になり新たな環境での挑戦が始まった。一方、妹は所属チームのファン感謝祭に参加していた。この日はサイン会も行っていた。本業の方では超えなきゃいけない壁をちゃんと克服していた。パリオリンピック銅メダリストの早田ひなさんはここまで1勝12敗と大きく負け越している。だから今回こそは美和さんが日本のエースを相手に快勝し、世界ランクは日本人トップに躍り出た。美和さんは「正直勝てるとは思わなかったし、今でもちょっと信じられない部分があるが、今大会勝つことができて少しは成長できたかなと思う。シードは重要なので、今日本人1位ですごく嬉しい。」などと話した。
そしていよいよ来週に迫った世界卓球。いつだって2人は一緒。日本人最高位で迎える大舞台、目指すはもちろん一番高い表彰台。日本のトップを走る智和さんと美和さんそれぞれが世界卓球にかける思いがある。智和さんは「一番はお互いのシングルスでメダルを取って活躍できたらいいなと思う。世界卓球 金を目指しても過言ではない、口だけの金メダルではないと思うので世界卓球の金メダルを絶対に取りたい。」、美和さんは「3種目に出場させていただくので、全ての種目で金メダルを目指して頑張りたいという思いと、初めてなので思いっきり楽しくやりたいと思う。」と話した。
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