2026年5月28日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2026 タイ 「スラムの天使」の人生

出演者
山澤里奈 辻浩平 藤重博貴 斎藤正道 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像とオープニングの挨拶。

皆さんの声

アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議について進展が伝えられる一方、双方による攻撃も起きていて、依然不安定な情勢が続いている。視聴者からはイラン政府や国民について質問。イランがトランプ大統領の条件をのむわけはなく、彼らにとっての生命線である核開発を放棄しないだろう。またイラン国民は新指導者の映像が流れないのに政府に不信感を抱かないのだろうかなど。きょう視聴者の質問に答えるのは中東調査会で研究主幹を務める斎藤正道。QRコードから皆さんの質問やご意見を募集。

(ニュース)
露米外相電話会談 ロシア “キーウの軍施設など攻撃継続”

ロシア外務省は25日、ラブロフ外相がアメリカのルビオ国務長官と電話会談を行ったと発表。ウクライナが民間施設などへの攻撃を続けているとして、ロシアは首都キーウにある軍や政府に関係する施設に対して継続的に攻撃を行うと伝えた。24日の朝にかけてロシア軍は大規模なミサイル攻撃を行った。25日、ロシア外務省は、東部ルハンシク州への攻撃に対する報復としてキーウを攻撃するとし、駐在する各国の外交官などに速やかに退避するよう警告していた。ウクライナのシビハ外相は26日、露骨な挑発行為、外交への侮辱などとロシアを非難。各国も反応していてEU報道官は、ロシアが外交官などにキーウから退避するよう警告したことについて、ロシアの臨時代理大使を呼び出し、受け入れがたいというメッセージを伝えたなどと述べた。ドイツとノルウェーの外務省はロシアを非難した上で、駐在するロシア大使を呼び出したと発表。

米・イラン協議続く イランの凍結資産 解除で進展か

アメリカとイラン双方による攻撃が起きる中、戦闘終結に向けた協議は続いている。イランのメディアは26日、合意を目指している覚書の内容をめぐり、イランが求めてきた凍結資産の解除に関して進展があったとの見方を伝えている。凍結資産へのアクセス方法がアメリカとの交渉をめぐる最大の大きな対立点となっていて、カタールの仲介によってこの問題の解決に向け進展がみられたとの見方。凍結資産とは経済制裁の一環として国や個人、企業などの資産を他国などが凍結したもの。タスニム通信によると、約3兆8000億円と推定される凍結資産のうち半分を覚書発表時点で即時解除し、残りをその後の60日間でイランに引き渡すよう要求している。アメリカが25日、イラン南部で機雷を敷設しようとした船舶などを標的に攻撃を行ったと明らかにした。イランは26日、停戦に違反したと非難したほか、アメリカの無人機を撃墜したとするなど依然不安定な情勢は続いている。今月4日、ホルムズ海峡付近に停泊中の韓国企業運航の貨物船に飛しょう体が衝突し爆発と火災が発生した件について、韓国政府はきょう、イランで開発された対艦ミサイルの可能性が高いと結論付けられたと発表。

イランメディア “インターネット通信が復旧”

イランメディアによれば、イランでことし1月、大規模な反政府デモが起きて以降、大幅に制限されていたインターネットの通信が復旧した。イラン政府の報道官は、本部は25日、インターネット接続を解放すべきとの結論に達したなどと述べた。世界のインターネットの接続状況を監視するネットブロックスは26日、イランで接続が部分的に復旧したことが確認され、その後も復旧は続いているとしている。ただ。一部の通信アプリで制限が続き完全復旧には至っていないとみられる。

イスラエル レバノンで軍事作戦 拡大か

イスラエルのネタニヤフ首相は、イランが支援するヒズボラに対する軍事作戦を拡大する姿勢を示した。26日、SNSに大規模な軍の部隊がレバノン領土の奥深くで作戦を展開していると投稿。イスラエル軍と隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間では攻撃の応酬が続く。レバノン国営通信は27日、イスラエル軍による空爆で31人死亡と伝えている。ヒズボラも26日、イスラエル軍に対しドローンなどを使った攻撃を約30回行ったと発表。アメリカとの協議でイラン側はレバノンを含むすべての方面で戦闘終結を求めているだけに、イスラエルのレバノンでの軍事作戦拡大で協議への影響も懸念される。

14項目の「覚書」

アメリカとイランが協議を行っている14項目の覚書について、中東調査会 研究主幹の斎藤正道が解説。隔たりがある点の1つ目は濃縮ウラン。アメリカは核保有禁止や濃縮ウランの扱いを交渉していくことを覚書に明記と主張しているが、イランは核開発に関する措置は一切受け入れず、濃縮ウランについては今後交渉していくと主張。2つ目はホルムズ海峡。アメリカは完全に解放すべきと主張し、イランはこれまで通り通航管理はイランがしていくべきと主張。3つ目はイランの凍結資産。アメリカは条件を満たせば解除するとし、イランは一部の解除がなければ合意はしないと主張。中央銀行総裁も同行し、イランの交渉団は25日にカタールで凍結資産の解除について話し合った。イランとしては厳しい経済を改善するために凍結資産の解除が重要。3月21日から4月20日のインフレ率が前年同月比75パーセントを記録。食料、飲料に限っては115.4パーセント。原因の1つは通貨安。現在1ドル170万リヤルを超え、2年間で3分の1になっている。インフレ率の高さ、経済難が2025年12月に行われた大規模な抗議活動の原因の1つ。インターネット復旧もイラン経済を改善するための措置とみられる。イランの商工会議所の発表によるとインターネット不通のため1日3000万ドルから4000万ドルの損失が出ていて、1000万人の雇用に影響が及んでいる。平和状態にしたいのは革命防衛隊も含めた体制側の共通認識とみられる。

イランがトランプ大統領の条件をのむわけはなく、彼らにとっての生命線である核開発を放棄しないだろうという視聴者の意見についても解説。核技術の開発はイランにとって国民的プライドの問題なので、国際条約で認められている権利に関して放棄するとは言いづらい。ただ、高濃縮ウランの扱いについては重要な交渉カードとみなしている。アメリカからいい条件が示されれば高濃縮ウラン廃棄の可能性はないことはない。

米軍 イラン南部攻撃の影響

今月25日にアメリカ軍がイラン南部へ攻撃したことが今後の協議に影響するかについて、中東調査会 研究主幹の斎藤正道が解説。アメリカ側は自衛のためとしているが、イランは停戦違反と主張。今のところ、この攻撃を明確に批判しているのはイラン外務省。革命防衛隊ないし革命防衛隊に近い報道機関から、アメリカとの和平協議は許されないなどの声明、論調は出ていない。今後1日、2日以内に革命防衛隊側からアクションがなければ、今回のことは目をつぶって協議を進める可能性はある。

イラン内部も協議の障害?

イランの内部にも協議の障害があるのではないかについて、中東調査会 研究主幹の斎藤正道が解説。交渉の中心になっているのはペゼシュキアン大統領、アラグチ外相など政権側だが、イランで様々な決定を行っているのは革命防衛隊。架け橋的な存在がイラン議会のガリバフ議長。軍や治安関係、政治に深く関わってきた人物。元は革命防衛隊の空軍司令官で、その後、警察長官を務めた。テヘラン市長を長年務めた後、2020年から国会議長。2月28日にイスラエルの爆撃で亡くなったハメネイ前最高指導者とも非常に近い存在で、色々なところに顔が利く。

イラン側はレバノンでの停戦も合意条件に含めているが、イスラエル側は停戦するどころかレバノンへの攻撃を激化させている。このままいくと、アメリカとの和平交渉に影響が出ると思われる。イスラエルが攻撃しているヒズボラは、イランが1980年代から育て上げてきた民兵組織で弟分のような存在。中東地域における威信の点からもイランは無視できない。イスラエル側はイランとアメリカの和平交渉を妨害する目的もあってレバノンでの攻撃を激化させているのではないか。

知のリレー:石井順也さんからの質問

20日に出演したSakana AI、国際政治アナリストの石井順也からの質問に、中東調査会 研究主幹の斎藤正道が答えた。イランの体制は存続するのかという質問。深刻な打撃を受け、今はまだ持ちこたえても、数年後までイスラム体制はそのまま残っているのかと問いかけた。現在の体制を支えている治安部隊である治安部隊や軍、国家公務員らが体制から離反しない限り、体制は倒れない。今のところ彼らが体制から離反していることを示す兆候はない。ただ経済状況が非常に厳しいので今後彼らがどのように判断していくのかは注目していかなくてはいけない。

28日(木)出演/知のリレー

あすのゲストは同志社大学大学院の三牧聖子教授。中東調査会 研究主幹の斎藤正道から三牧教授へ質問。近年、国際関係における法的秩序がないがしろにされるようなことが目立つが、日本はどう振るまうべきかという質問。2026年2月28日、イスラエルとアメリカが一方的にイランに対して軍事攻撃を行った。その前にもアメリカはベネズエラの大統領を拉致。国際法的には決して正当化できないこと。こうしたことが続くと国際関係が混乱に陥る可能性があると懸念を深めている。日本は国際社会においてどのような役割を果たすのがよいのか、知恵を聞きたいという。

WOW!The World
オーストラリア 空中で接触 危機一髪!

オーストリアのアルプス地方上空でパラグライダーを操縦する女性。穏やかな天気の中、フライトを楽しんでいると、前方から突然、小型飛行機が突っ込み、パラグライダーが真っ二つに。女性は地上数百メートルの上空に放り投げられてしまう。しかし、飛行経験が豊富な女性はわずか数秒で緊急用のパラシュートを開くことに成功。約2分間降下した後、無事生還を果たした。接触した小型飛行機の操縦士も無事だったという。

ウィリアム皇太子 公爵領の2割売却へ

イギリスのウィリアム皇太子がコーンウォール公領として所有する領地の2割を今後10年間で売却。低価格住宅や環境プロジェクトの資金に充てる考え。14世紀から王位継承者に受け継がれてきたこの領地。広さは12万8000エーカー。東京都全体の4分の1ほど。皇太子は去年、ここから2290万ポンド=49億円あまりの利益を得たという。「自分のやり方でやる」と常に話す皇太子。伝統的な領主から社会貢献へ。王室の財政に厳しい目が注がれる今、イメージの転換になるとの見方もある。

ポーランド ユニーク!「水中チェス」

ポーランドで開催されたのは水中チェスの大会。プールの底にチェス盤を固定。水に潜ってコマを動かすというちょっと変わった競技。選手は一回潜ったら息継ぎ無しでコマを動かさなければならないという。

ガザ事務所通信
新たな苦難 “公衆衛生の悪化”

イラン情勢に目を奪われる中でも一人でも多くの人に見ていただきたいガザからの映像。今月のテーマは2つ。1つは2年半以上にわたって大規模戦闘や食糧不足に悩まされてきた市民が直面する新たな苦難。もう一つは5月15日のナクバ(大惨事)。78年前、パレスチナの人々が住んでいた土地にイスラエルが建国され、それによって多くの人々が土地を追われて難民となった。今に続くパレスチナ人の苦難の発端となった出来事。ガザの人々はこの日をどう迎えたのか。5月に入り気温が上昇。イスラエル軍の攻撃により運転手1人が死亡。イスラエル軍の攻撃による死者は停戦合意後906人。暖かくなるにつれ新たな問題も。収集車が破壊されるなどでゴミは放置され、ネズミや害虫の増加の要因に。皮膚の異常を訴える患者が急増。消毒液や治療薬は今も不足。

「ナクバ」から78年 ガザの人々は

5月15日は「ナクバ(大惨事)の日」。78年前、イスラエル建国によって約70万人のパレスチナ人が土地を追われた。故郷への帰還を訴え。伝統衣装「トーブ」。地方色豊かな刺しゅうは“故郷とのつながり”を、オリーブの木は“平和”を意味する。鍵は“家に帰る権利”を象徴している。2年にわたった戦闘で190万人以上が避難を強いられる。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
タイ “スラムの住民を守る”夫婦の取り組み

タイの首都バンコクに広がる巨大スラム。いま再開発に伴う立ち退きを迫られている。その住民の数は約10万人ともいわれる。アジアの各都市では経済発展に伴いスラムが次々に姿を消そうとしている。しかし、貧しい住民たちが仕事や生活の基盤を失うことなく再開発を進めるにはどうすればいいのか。この問題にあるタイ人と日本人の夫婦が取り組んでいる。バンコクのクロントイ・スラム。政府は港湾で働く労働者を大勢集めたが、住まいは用意されず、港湾公社の土地に人々が無断で住み着いた。線路スレスレまで建てられた家。住民たちを長年支援し続けてきた夫婦。このスラムで生まれ育ったプラティープ・ウンソンタム・秦さん。プラティープさんは50年以上前に子どもたちのために小さな学校を始めた。貧しさや住民登録がないために学校に通えない子どもが大勢いた。子どもたちに救いの手を差し伸べるその姿から“スラムの天使”と呼ばれた。活動は認められ、26歳の若さでアジアのノーベル賞ともいわれるマグサイサイ賞を受賞した。プラティープさんに寄り添ってきたのが日本人の夫の秦辰也さん。24歳のとき、難民支援のボランティアとしてタイへ渡り、プラティープさんに出会い、その後結婚した。世界各地でボランティア活動をしてきた辰也さん。その知見や人脈を生かし、プラティープさんが支援活動のために立ち上げた財団を共に運営してきた。財団の活動は教育の普及から犯罪防止、高齢者支援まで多岐にわたる。政府は2019年、クロントイ地域一体の再開発を発表。新たな港や商業施設、高層住宅街を作る大プロジェクト。住民には立ち退きに対する補償が提示された。近隣の集合住宅に移転か、新たな土地へ移転、あるいは現金給付の一つを選ぶものだった。しかし、対象者の範囲は示されなかった。住民からは反対の声が相次いだ。夫婦は住民たちとともに移転計画を立てた。プラティープさんと住民は新たに作業グループを立ち上げた。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
プロ野球・ヤクルト ボブ・ホーナーさん(68)死去

大リーグのブレーブスやプロ野球のヤクルトで活躍したボブ・ホーナーさんが亡くなった68歳だった。1978年のドラフト会議で全体1位でブレーブスに指名され、大リーグデビューを果たしたホーナーさん。主にサードとしてチームを支えた。1987年にはプロ野球のヤクルトに移籍。初出場から4試合で6本と驚異的なペースでホームランを量産した。この年は93試合出場し、打率3割2分7厘、ホームラン31本、73打点をマークし、わずか1年の在籍ながら日本球界に鮮烈な印象を残した。

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