2026年6月23日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2026 ガザ紛争と反ユダヤ主義 翻弄されるユダヤ人

出演者
山澤里奈 辻浩平 藤重博貴 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(ニュース)
米イラン協議 波乱含み

当初の予定より2日遅れで始まったアメリカとイランの協議。覚書の署名後初めての交換協議が終わり今後は実務レベルの協議が続くとしているが冒頭から波乱含みのスタートとなっている。協議の仲介役を務めるパキスタンのシャリフ首相がアメリカのバンス副大統領を迎える。その約1分後イランのアラグチ外相を迎え会場中央へと案内しようとするがアラグチ外相はシャリフ首相へ背を向け会場を後にします。アラグチ外相は会場の外でも記者の問いかけに無言で通しイランのタスニム通信はアメリカや仲介国が握手や写真撮影の機会を設けようとしたものの形式的な演出を拒否したと伝えた。バンス副大統領はシャリフ首相、カタールのムハンマド首相と並び協議の意義を強調。協議後カタールとパキスタンは覚書履行を監視するハイレベル委員会の設置で合意したとする共同声明を発表。核問題やイランへの制裁紛争解決など議論する作業部会を主導するということで60日以内の最終合意に向けたロードマップについて合意したという。またホルムズ海峡を通る商船の安全な航行確保のため当事者間の連絡体制を構築されたとしている。レバノンでの軍事作戦の終結が確実に守られるよう当事者とレバノンの間で衝突回避対策チームが設置され今後具体的な協議が続けられるという。アラグチ外相は石油や石油製品の輸出制限がなくなり一部の凍結資産も解除イランの復興と開発の大規模な計画が開始されたとSNSに投稿し成果を強調。引き続き懸念されているのがレバノン情勢。トランプ大統領はイランが支援するヒズボラを念頭にSNSに投稿。同じ日イスラエルのネタニヤフ首相も。アメリカ政府当局者がイスラエルとヒズボラ双方が停戦で合意したと明らかにした後も攻撃の応酬が続いている。アラグチ外相は協議の後、最初の真の試練はレバノンの衝突回避対策チームだと投稿しアメリカとイスラエルをけん制。

イギリス スターマー首相 辞意表明

アメリカのバンス副大統領は先程スイスで記者会見に臨み多くの進展があったと述べ成果を強調。その上で実務レベルでの協議を続けると明らかにした。

首相官邸前で演説に臨んだスターマー首相。その上で党首選挙について来月9日から立候補を受け付けるとした。スターマー首相はおととしの総選挙で政権交代を実現し首相に就任したが物価高対策や財政再建に向けた増税などに国民の不満が高まり支持が低下していた。その結果労働党は先月行われた大規模な地方選挙で大敗。首相の責任を問う声があり閣僚が相次いで辞任。先週には党首選挙に立候補する意向を示していた過去には閣僚も務めたアンディ・バーナム氏が議会下院の選挙に労働党から立候補し当選したことで首相交代を望む下院議員からスターマー首相の辞任を求める声がさらに強まっていた。イギリスの公共放送BBCは首相の交代は10年で6人目で異常なペースと伝えている。

イギリス国内の反応/後任 やはりバーナム氏?

イギリスメディアはスターマー首相の首相官邸前でのスピーチを中継するなど辞意表明を大きく報じている。首相は先週続投の意欲を示したが今後について熟考していたと伝えられている。国民から冷静な受け止めも聞かれた。与党労働党からの圧力に耐えきれなくなったことが辞任の意向を示した背景にある。先月の地方選挙で労働党は大敗。首相就任への意欲を示すアンディ・バーナム氏が勝利。次の総選挙で勝てる党の顔として期待する声が高まり補欠選挙の後複数の閣僚が首相に辞任の時期を明確にするよう促したとも報じられている。バーナム氏は立候補を表明し、ほかに立候補しちる議員もいないことから次期首相として有力だと見られている。イギリスはロシアによる軍事侵攻が続くウクライナを積極的に支援する主要国に1つ。また国内ではイラン情勢を受けたエネルギー価格高騰への対応などもあり外交内政の課題が山積。

ウクライナが攻勢 標的は首都モスクワ 併合されたクリミア

ウクライナ軍の司令官が21日SNSに投稿した映像。エネルギー関連とみられる施設で火災が発生し黒い煙が。南部クリミアの石油関連施設などを無人機で攻撃したと明らかにした。一方クリミアのロシア側のトップは21日SNSでクリミア半島東部のケルチ周辺がウクライナ軍の無人攻撃を受け4人が死亡し28人がけがをしたと明らかに、さらに個人や法人向けの燃料販売を停止する今後は国家機関にのみ販売するとしている。18日にはモスクワにある製油所を攻撃し、製油所は無期限の操業を停止したとしている。ロシア大統領府のペスコフ報道官は「前線の状況は近くウクライナにとって完全に壊滅的なものになる」。ウクライナを支援してきた隣国ポーランドとの関係が悪化するのではないかとの懸念が広がっている。ゼレンスキー大統領に贈られたポーランド最高位の勲章を剥奪するとしている。きっかけはゼレンスキー大統領が署名した大統領令、ポーランド人虐殺に関与したウクライナ民族組織の名称を軍の特殊部隊の呼称に取り入れるもの。ポーランドのナブロツキ大統領は批判している。ウクライナのシビハ外相は反発し歴史認識を巡る両国の対立が浮き彫りとなった。ポーランド北部ではウクライナ復興について話し合う国際会議が予定されているが悪影響がでないか懸念されている。

辻’s ANGLE
長期化するウクライナ侵攻

辻浩平が解説。2022年2月のウクライナ侵攻開始から4年4カ月がたち、1914年7月から1,568日間続いた第1次世界大戦の長さを超えた。ウクライナ侵攻はきょう時点で1,580日。終息する見通しも全く見えていない。

侵攻が長期化する中でウクライナ側の最新の動きを、加速する深部攻撃、支援国の交代の2点に絞って伝える。深部攻撃とはロシア領内の奥深くに至る長距離攻撃のこと。25年に入ってから急増していることがわかる。例えば先週18日にかけて首都モスクワへ行われた無人機攻撃。ウクライナとの国境からの距離は最短でも400km。石油精製施設では大規模な火災が発生。攻撃に使われた無人機は550機以上で、ロシアメディアはこの2年間で最大規模の攻撃だったと伝えている。18日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、敵の攻撃でウクライナが燃えればモスクワも燃えるだろうと述べて、長距離攻撃を強化するとしている。ことし1月から6月に行われたウクライナからロシア領内への攻撃は、2024年1月から6月と比べ長距離攻撃が増えている。標的は石油関連施設や電力インフラ、軍事施設など。石油関連施設を狙うのは貴重な財源であり兵器にも使われる石油を止め、戦争遂行を難しくするため。20日、ゼレンスキー大統領は、われわれの長距離攻撃による制裁はロシアのチュメニ州までおよんだなどと述べていた。新型の無人機は最大で3000kmも離れた標的も攻撃できるとも話している。

ロシア領内の奥深くへの攻撃はロシアの石油精製能力や軍事能力を削ぐだけではない。ロシア国民に戦争を思い起こさせ、痛みを感じさせることができる。ウクライナ国民は戦争を意識しない日はないが、ロシアは必ずしもそうではない。本土への攻撃は少なく、生活も概ねこれまで通り営まれてきた。辻は去年3月までロシアで生活していたが、日常生活だけ見れば戦時中の国だと忘れてしまうほどだった。しかしロシア領内への攻撃が頻繁に続けば、ロシア市民は戦闘と無縁ではいられなくなり、その不満は政府へと向かうことになる。

最大の支援国だったアメリカは、2025年1月にトランプ大統領が就任してから支援を事実上停止し、ヨーロッパ各国が支援を強化。ウクライナはアメリカからの支援が減る中でも、自国の兵器生産を加速して対抗しようとしている。戦争は一度始めてしまえば当初の計画通り進むことはほとんどない。第1次世界大戦は半年以内で終わるとされていたが、結果的には4年以上続いた。ウクライナ侵攻はその期間すら超えている。ロシアが始めた戦争の罪深さを感じる。

WOW!The World
インド 「国際ヨガの日」ビジネスも盛況

6月21日は国連が定める国際ヨガの日。インドでは生活の一部になっていて、モディ首相もその経済効果に期待を示すヨガ。インドの企業家たちによるヨガビジネスも盛んになっている。ヨガウエアの店は体や精神の健康を目指すウェルネスブランドとして市場拡大を狙う。ヨガウエアのブランド担当者は、サステイナビリティーが重要などとコメント。世界中で親しまれているインド発のヨガ。今後どうビジネスを広げていくかが課題。

郵便受けをカラフルに

フランスのロワレ県にある村では、住民が自宅の郵便受けを飾っている。カラフルな郵便受けが評判となり、年間数百人もの観光客が来るようになった。住民の1人が1軒1軒解説する。ハチ、芝刈り機、電話のように飾られた郵便受けもある。30年前、1人の住民が郵便受けを飾ろうと思い立ったのが始まりで、数百人がその後に続いた。郵便配達員は、毎日の郵便配達が本当に楽しいと大喜び。

Monday Biz
アメリカ 日本製鉄によるUSスチール買収

日本製鉄によるアメリカの鉄鋼大手USスチール買収完了から18日で1年がたった。アメリカにとって国家の象徴的な企業だったことから政治的な論争となったが、最終的にはトランプ大統領が2兆円規模の買収を承認し決着。日本製鉄はUSスチールに対し、2028年末までに1兆7.600億円余の投資を行う方針を示すとともに、100人規模で社員を派遣し品質改善などを進めている。

アーカンソー州にあるUSスチールの生産拠点を、買収完了後初めて日本のメディアとして取材することが許可された。電気の熱で鉄のスクラップなどを溶かす電炉が稼働。二酸化炭素の排出を大幅に減らし持続可能な生産体制を実現。日本製鉄はこの製鉄所の競争力を高値るため社員を派遣し、高品質製品の生産ノウハウ定着を進めた。また、電磁鋼板を安定的に生産できるようになった。さらに高純度の鉄の原料を生産する施設の建設に約3,000億円の投資を決定。自社調達の原料の加工、生産を一貫して行う拠点に成長させたい考え。USスチール ビッグ・リバー製鉄所の松永淳一副社長は、最強のミルができると思っているなどとコメント。同製鉄所のダニエル・ブラウンCOOも、変化の多くはよいことだなどと歓迎。一方、課題となってきたのは老朽化した設備。ペンシルベニア州モンバレー製鉄所では稼働から90年近く経過したものもある。日本製鉄は設備更新のため、今後3年間で買収時の想定の2倍以上となる約4,000億円の投資を検討。日本製鉄の森高弘副会長は、インフレの影響はあるが、リスクが顕在化しないように思っていることをやっていきたいなどと会見。

タイ “ウエルネス・ツーリズム”に期待

観光立国のタイでは新たな成長分野としてウエルネス・ツーリズムへの期待が高まっている。ウエルネスとは心や体を生き生きと充実させる活動を行いながら暮らし全体を豊かにすること。具体的には自然とのふれあい、温泉やサウナ、マッサージやエステ、ヘルシーな食事。これらをタイへの旅行で幅広く体験してもらおうという。タイでは19日、新たな拠点の整備が明らかになった。2030年の完成を目指し、バンコク中心部に1,400億円を投じ2つの高層ビルを建設。大手病院グループのプラサートンオーソット社長は、すべての人々の健康増進を支援するウエルネス・ツーリズムの拠点をつくりたかったなどとコメント。タイでの市場規模は2兆2,000億円で、さらなる拡大を目指している。

中国 技術流出防ぐ 新たな規制

中国政府は来月1日から外国への技術流出を防ぐ新たな規制を始める。規制対象は先端技術や安全保障に関わる分野。AIやレアアースなど中国が強みを持つ分野が対象になるとみられている。政府の許可を得ずに人材やデータなどを外国移転することを禁止。技術者の外国への派遣や研修なども禁じる。中国企業の海外移転も制限される見込み。中国政府は今年4月、アメリカのメタによる中国発のAI企業マナスの買収を禁止。買収前にマナスがシンガポールに拠点を移転していたことも問題視した形。アメリカとの間で先端技術をめぐる対立が続く中、自国での技術の囲い込みを加速させている。

ドイツ 日本のポップカルチャーイベント

マンガやアニメなど日本を代表するポップカルチャーを集めたヨーロッパ最大級のイベントが、ドイツ西部のデュッセルドルフで先月末に開かれ、過去最多23万5,000人の来場者で賑わった。このイベントは今年で18回目。日本で開かれているコミックマーケットにちなんで、ドイツ・コミックマーケットの略称ドコミと名付けられ、ヨーロッパのファンの聖地になっている。1,900余の個人や企業がブースなどを出展。主催者によるとイベントを始めた2009年は来場者1,800人だった。今では日本に旅行したり日本語を学んだりする人の増加にもつながっている。主催者は、ここは人々が自己表現でき、同じ考えを持つ人から安心感と感謝を得られる場所などとコメント。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
「反ユダヤ主義」 強まる危機感

レバノンやパレスチナのガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエル。激しい空爆で死者は増え続け、非難や抗議の声が上がっている。一方でイスラエル政府に対する批判の高まりと同時に増えているのがイスラエル批判とは一線を画した反ユダヤ主義で、ユダヤ人に対する偏見や差別的な考え方。反ユダヤ主義が背景にあるとみられる事件も各地で相次いでいる。欧米では反ユダヤ主義に基づく暴力や破壊行為などが、ガザでの戦闘が始まった2023年に急増。アメリカでは2倍以上になっている(出典 ADL)。ユダヤ人に対する差別や迫害は古くからあった。19世紀にはロシアや東ヨーロッパでユダヤ人組織的な迫害が起きた。20世紀になるとホロコーストが起きている。とりわけ欧米諸国にとっては、根深く深刻な問題。イスラエルや各地のユダヤ人コミュニティでは、反ユダヤ主義への危機感が強まっている。

ユダヤ系イギリス人のリチャード・マンビルさんは70年暮らしたイギリスを離れ、先月安全を求めてイスラエルに移住した。移住を決意したきっかけは、去年10月にイギリスで起きたユダヤ教礼拝所襲撃事件だった。2人が死亡し、マンビルさんの友人も重傷を負った。2023年10月、イスラム組織ハマスはイスラエルに越境し約1,200人を殺害。250人余が人質としてガザ地区に連れ去られた。これに対してイスラエルはガザ地区で激しい軍事作戦を展開し死者は7万3,000に人以上になり、イスラエルに対する国際社会の批判の声がかつてなく強まる中、欧米などではユダヤ人への嫌悪や差別の感情が吹き出した。マンビルさんが住んでいたマンチェスター周辺でもユダヤ系住民への嫌がらせなどが増え、暴力に怯えるようになったという。

反ユダヤ主義の対策に長年取り組んできたイスラエルの教育団体は、危機感を抱いている。授業の柱の1つは、ユダヤ教やユダヤ人の歴史を正しく理解してもらうこと。イスラエル国外でも、異なる文化や宗教の人たちに対話と理解を呼びかけてきた。「反ユダヤ主義を減らすためには、草の根の交流が不可欠だ」と考えてきたからだ。こうした取り組みを続けてきたにも関わらず、いま再び反ユダヤ主義が高まっている現状に、団体の代表は懸念を深めている。マイケル・ディクソン事務局長は「『反イスラエル』と『反ユダヤ』の境界があいまいになっている。世界中で見られる現象だ。イスラエルに不満があるからといって、その国民を迫害してはいけない」などと語った。

1 - 2

© 2009-2026 WireAction, Inc. All Rights Reserved.