2025年6月14日放送 20:00 - 20:50 NHK総合

新プロジェクトX〜挑戦者たち〜
ドクターヘリ赤ちゃんの砦を守れ 熊本地震18時間の救出劇

出演者
有馬嘉男 森花子 
(オープニング)
オープニングトーク

今回はドクターヘリの物語。ドクターヘリは医師・看護師が直接現場に出向き、到着と同時に治療を始められるのが特徴。救命救急に高い効果があり、今では全都道府県をカバー。その中で存在感を示しているのが鹿児島県のドクターヘリ。

キーワード
桜島鹿児島県
オープニング

オープニング映像。

ドクターヘリ 赤ちゃんの砦を守れ~熊本地震 18時間の救出劇~
ドクターヘリ 赤ちゃんの砦を守れ

6500人の命が失われた阪神・淡路大震災。地震後、衝撃の事実が明らかになった。当日、ヘリコプターで病院に搬送された患者は1人。震災の初動でヘリは物資や救援輸送に使われた。一方で現場に向かう緊急車両は瓦礫に行く手を阻まれた。これを教訓として全国でドクターヘリの導入が始まる。だが、年間2億円の予算がネックとなり、普及には時間がかかった。10年経ってもドクターヘリが配備されなかった鹿児島。しびれを切らした医師・茨聡。地方医療の現実と30年戦ってきた。都市部なら助かるはずの命が鹿児島では助からない。特に赤ちゃんのベッド不足は深刻で署名が起きるほど。市民12万人が訴えていた。茨が率いる鹿児島市立病院は日本初の5つ子誕生を支えた名門。だが、2つの半島から県内唯一の新生児集中治療室までは時に2時間以上。周産期の赤ちゃんの死亡率は全国ワーストクラスだった。茨が行政に直談判して導入したのが医師が駆け付けて治療するドクターカー。たまたま生まれた場所が悪かった、そんな不運を無くしたかった。2011年、鹿児島にドクターヘリが導入され、茨はすぐにヘリを運用する救急科の吉原秀明に相談を持ち込んだ。赤ちゃんの搬送には繊細な肺を傷付けないよう酸素量を変えられる呼吸器や低体温を防ぐ保育器など特殊な備えと技術がいる。狭く揺れる機内で1分1秒を無駄にしない治療を確立したかった。手を挙げたのは2年目の平川英司。少年時代、成長ホルモンが十分に分泌されない難病だった。自分を救ってくれた医療に恩返しがしたいと医師を志した。平川が2年がかりで作り上げたのが呼吸器や保育器・生体情報モニターが一体となった独自の新生児搬送システム。ストレッチャーと交換するだけで瞬時に乗せられる。1分1秒を縮めるため消防との訓練を重ねたのは救急科の吉原。救命救急センターの片隅にヘリと同じ狭さの小部屋を作り、空き時間にもシュミレーションする熱の入れようだった。救急の専門医と新生児の専門医が手を組み異例の態勢ができた。導入から5年で赤ちゃんへの出動は全国最多の250件。隣の熊本が地震に襲われたのはそんな頃だった。倒壊の危機に瀕した熊本市民病院は地域の基幹病院。新生児内科の井上武は集中治療室の様子に愕然とした。看護師たちが赤ちゃんが寝るベッドを床に降ろして覆い被さり必死で守っていた。しかし、保育器を抱えて避難できる場所などない。井上はかつて鹿児島市立病院に勤務。どんな不利も言い訳しない茨の薫陶を受けてきた。だが、地震は容赦なく襲い、赤ちゃんを守るだけで精一杯。38人の小さな命が助けを求めていた。

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北海道千葉県岡山県平成28年熊本地震熊本市立熊本市民病院阪神・淡路大震災青森県鹿児島市立病院鹿児島市(鹿児島)
ドクターヘリ 赤ちゃんの砦を守れ 熊本地震 18時間の救出劇

平川英司は、当時80から90人が病棟に入院していて、その時に全ての赤ちゃんの状態を空で言えるほど覚えておかないと本当に赤ちゃんのこと思って治療しているのかと言われたり大変な思いをしながら施術しているなどと話した。井上武は、育休中の看護師なども出てきてくれたのでスタッフの数は揃っていた、スタッフみんなで赤ちゃんを守ろうと必死だったなどと話した。

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熊本市民病院茨聡鹿児島市立病院

熊本市民病院で井上は決断を迫られた。赤ちゃんを保育機から出し避難させるしかない。ほとんどはまだ自分で体温調節ができず、体温が下がれば命に関わる。まだ自力で呼吸できない赤ちゃんは7人。手動で酸素を送る人工呼吸が頼りとなった。避難先は1階のリハビリ室。人工呼吸をひたすら続けた。鹿児島市立病院では、熊本に応援を出せないか全スタッフで集まり状況を整理した。救援を送れるよう体制を組み始めた。朝7時30分、熊本市民病院から近隣の病院への搬送が始まっていた。体重951gの田中ゆきちゃんは、自分では呼吸ができず体力もない。すでに人工呼吸は6時間に及んでいる。

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混乱のなかで正確な情報を鹿児島に伝えたのが、被災現場にいち早く駆けつけていた鹿児島市立病院の吉原。責任者として鹿児島ドクターヘリを熊本に向けることを許可した。朝9時過ぎ、鹿児島からドクターヘリが来ると連絡が入り、井上たちは直ちに移動を開始した。病院から西に1キロの江津湖湖畔にはヘリが降りられる広場がある。降り立ったメンバーは、救急と新生児内科の強力タッグ。ゆきちゃんは新生児搬送システムに守られた。その時再び地震が起き、直ちに離陸。10時34分に鹿児島市立病院に到着した。この日、九州中の病院が続々と赤ちゃんの受け入れを支援し、被災地の病院でも受け入れ38人全員が搬送された。平川たちは2度赤ちゃんの搬送を担当し、夕方までの飛行距離は1000キロ以上に及んだ。

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山口さんは、熊本地震の前から平川さんとドクターヘリに乗っていたという。最も容態が危ぶまれていた田中ゆきちゃん(仮名)の搬送について、ほとんど情報がなく体重と人工呼吸管理をしているという情報と、リハビリ室で抱っこでその状態を継続しているということだけだったという。ゆきちゃんは現在9歳になり、運動会ではリレーの選手に抜擢されたりしているという。

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平成28年熊本地震熊本県鹿児島市立病院

保育士の宮田愛美さんは地震後、子どもを連れて避難所に身を寄せた。消防団の見回りで夫は不在。しかし揺れが続き子どもたちは寝付けず、2人を夜通し抱っこし家に帰った矢先に破水。予定日はまだ2ヶ月先。かかりつけの産院に駆け込んだ。主治医の村本さんは、このまま生まれれば赤ちゃんが危ないと、鹿児島市立病院に再び搬送要請がかかった。ヘリが飛べるのは原則日没まで。背中を押したのは「迷ったらやれ」という言葉。整備士の下玉利さんは、不測の事態に備え燃料と機材は補充していた。午後6時10分に離陸し、機内で想定される自体をクルーで共有。救急車もヘリとの合流地点に移動。1人での出産に、愛美さんの手を握って励ましたのは助産師の岩本さん。「ヘリに乗るまでいるからね」と言ってくれており、そのときは愛美さんは泣いたという。着陸と同時に平川さんが処置を開始。山口さんが吐き気止めを注射し乗り物酔いでいきむのを防ぐ。離陸寸前、岩本さんは平川さんと短い言葉を交わしねぎらいの言葉をもらったという。離陸したのは明るさがギリギリの日没2分前だった。愛美さんが無事に鹿児島市立病院の病室に運ばれたのは午後7じ40分過ぎ。翌朝5時、早産で生まれた赤ちゃんはNICUの保育器に守られた。平川さんは、少年時代に難病を治療してもらった医療への恩返しが果たせたと思ったという。

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宮田愛美宮田祥平新生児集中治療室(NICU)鹿児島市立病院

平川さんは「子どもの頃に大学病院に入院して治療してもらったから今がある。それを別の形で助けられたのかなと思う」、山口さんは「日没直前に飛び立った時は必要なものだけ持って乗り込んだ」などと話した。井上さんは「自分の決断が命に関わるので時々心が折れそうになる」などと話した。平川さんは「子どもたちが生まれた瞬間を支えていることが誇り」などと話した。

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熊本市立熊本市民病院

日本にドクターヘリが導入されてから24年。その運用は全都道府県に広まった。年間2万人以上を搬送している。熊本地震の際に救出された宮田愛美さんの娘は元気に9歳を迎えた。平川さんは熊本地震の経験を海外で活かしている。電気を使わずお湯で温められる保育器を開発。途上国や被災地など医療器具が揃わない場所で命を救う取り組みを続けている。

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(エンディング)
エンディング

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