- 出演者
- 片山千恵子
2019年台風19号から5年、備えはどう変わったか。ナビゲーターは片田敏孝さん。今年9月には能登地方の記録的大雨、8月には台風10号の被害があった。例年10月にも台風が上陸している。
2019年台風19号の接近から上陸、日本各地で起きたことについて振り返る。上陸3日前に気象庁が記者会見で警戒を呼びかけた。上陸当日は各交通機関で計画運休が行われた。東京・江戸川区では朝から避難勧告を発令。午後7時頃、伊豆半島に上陸。関東各地で大雨となり内水氾濫も発生した。茨城・境町で全国初の広域避難が行われた。長野・千曲川、福島・阿武隈川などが氾濫。10月13日昼頃、台風19号は温帯低気圧に変わった。浸水被害3万棟、死者・行方不明者108人。
2019年台風19号を振り返る4つのキーワードは、1避難情報、2ハザードマップ、3広域避難、4コミュニティタイムライン。台風19号以降に備えがどう変わったかを見ていく。当時は避難勧告という言葉があったが、分かりにくいということで3年前に廃止された。台風19号で避難勧告を受けて実際に避難した人の割合は3%。令和3年5月から新たな避難情報に変わった。
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大雨警戒レベルは全部で5段階。特に気を付けなければならないのは高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保。警戒レベル3・高齢者等避難:高齢者・体の不自由な人に避難を呼びかける情報。警戒レベル4・避難指示:人的被害の恐れが高まり速やかな避難を呼びかける情報。警戒レベル5・緊急安全確保:災害が発生・切迫しており直ちに安全確保が必要。警戒レベル4までに必ず避難すること。
警戒レベル4・避難指示までに必ず避難することが重要。気象庁のキキクルでは、リアルタイムで大雨や洪水の危険度が色分けされて分かる。
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- キキクル(危険度分布)台風19号気象庁
台風19号では東京・狛江市で240棟に浸水被害があり、避難先の確保に追われた。水害時は避難場所が限られ、市議会の議場まで避難場所に。狛江市の13か所の避難所は主に首都直下地震を想定しており、多摩川が氾濫すれば9か所が浸水域に入る。
狛江市ではホームセンターの立体駐車場を水害の一時的な避難施設に利用している。台風19号・台風10号ではハザードマップで警戒区域に指定されていない場所でも土砂災害が起きた。
大雨時は排水が追いつかず、道路や坂が川のようになることも。2019年台風19号では屋外で死亡した人の25%が通勤・帰宅途中などに被害に遭っている。会社・自宅での待機が大切。
続いて広域避難について。茨城・境町は利根川の氾濫で町の9割が浸水すると想定され、2015年から広域避難の計画を進めてきた。2019年台風19号で全国初の広域避難を実施。避難者の7割が町外へ避難した。一方で自家用車による渋滞など課題も。東京・江戸川区は最大規模の水害でほぼ全域が浸水する想定で、千葉や埼玉に避難してもらう計画を打ち出していた。しかし台風19号で広域避難は行われず。避難の目安となる予想雨量が判明したのは台風上陸当日で、すでに交通機関の計画運休が決まっていたためだという。
広域避難と通常の避難の違いを説明。江東5区の海抜ゼロメートル地帯に250万人以上が住んでいて、広域避難のためには早い情報が必要になる。不確実性が高いのが広域避難の難しさ。
コミュニティタイムラインの取り組みを紹介。長野・須坂市では2019年台風19号で240戸が浸水し、80人以上が逃げ遅れた。そこで防災の専門家や行政と共に作ったのが、地域住民の行動計画を定めたコミュニティタイムライン。地区を守るための具体的な動きも記されている。タイムラインを機能させるために避難訓練も行い、住民の半数以上が参加した。
長野市長沼地区もコミュニティタイムラインに取り組んでいる。コミュニティタイムラインは災害時の住民と自治体などの行動計画で、マイタイムラインは個人の行動計画。災害対応として非常に有効だという。