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輪島では21あった施設のうち14が再開したが、部分的な再開にとどまっている。避難先から施設に戻った高齢者は44人で、400人余りが避難先での生活を余儀なくされていた。施設の復旧には億単位の金がかかると見込まれていたこの時、建物被害がなかった2ヵ所から始めることにした。みやびは職員の確保が難しいため、週2回のデイサービスのみで入所の受け入れは見送ることにした。ふるさと能登は30人ちかくの職員を呼び戻し、入所施設として再開しようとしていた。
早瀬隆子さんは、地震の後金沢の施設に1人で避難していた母のことが心配でたまらなかった。ここ数年認知症が進んでいて、離れ離れの時間が長引けば自分のことを完全に忘れてしまうのではないかという。8年前に父を亡くしたあと、認知症になった母を家族みんなで支えてきた。しかし3年前、認知症の悪化で火事になりかけたこともあったため施設に預けざるを得なくなった。母・茂子さんは8月、再開したばかりの輪島の施設に移ることになった。
町野地区の特別養護老人ホーム みやびが8か月ぶりに業務を再開した。64人であたっていた仕事を7人で行う。この日地震で妻と離れ離れになっていた竹中三郎さんを迎えに行った。この施設は竹中さんにとって妻と会える唯一の場だった。施設は身体的な介護だけでなく、孤立を防ぐための地域交流も大切な役割である。
9月21日。輪島を観測史上最多の大雨が襲い、町野は再び孤立状態となった。竹中さんが通う施設には大量の土砂が流れ込み一時閉鎖することに。豪雨から3日後、デイサービスの迎えを待つ竹中さんんの姿があった。自宅が停電し電話も通じない中、デイサービスが利用できなくなったことを知る由もなかった。施設の閉鎖は17日間に及んだ。
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故郷に戻り始めた高齢者たち。中には1度も施設を利用したことがなかった人もいた。男性は地震で自宅が全壊し金沢に避難。心不全で入院していたが通院で対応できるとして戻って来ることになった。能登半島地震から10か月、輪島の施設から避難した高齢者のうち戻ってこられたのは146人。今も300人あまりが慣れない場所での生活を強いられている。