- 出演者
- 山内泉
今年7月、沖縄・先島諸島を通過した台風9号は通過直前まで、最大風速67m/s以上のスーパー台風だと言われていた。2013年にフィリピンに上陸したハイエン(台風30号)など、一度上陸すれば猛烈な風で大きな被害を引き起こすスーパー台風だが、今年は既に台風4号・9号・13号の3つがスーパー台風となっている。海面水温の上昇に伴い、”これまでにない台風”が日本に上陸する可能性が高まっている。そうした驚異で大きな被害が懸念されているのは”海抜ゼロメートル地帯”。これは、東京圏・名古屋圏・大阪圏を始めとした大都市に広がる、海面より低い土地のこと。広範囲で浸水し、断水・停電などで都市機能が麻痺すると予想されている。そこで今回は、超大型台風への対策を紹介。どう備え・どう行動すべきか考えていく。
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オープニング映像。
雛形は、江戸川区・足立区に住んだことがあるが、両区とも海抜ゼロメートル地帯に入っているとコメント。スクリーンには、東京圏(約176万人)・名古屋圏(約90万人)・大阪圏(約138万人)内の海抜ゼロメートル地帯を表す地図が表示された。東京圏では東京都の墨田区・江東区など、名古屋圏では愛知県・名古屋市の中心部、大阪圏では大阪府・大阪市の西部・北部・南部の大部分などが海抜ゼロメートル地帯に位置している。山内によると、海抜ゼロメートル地帯は海面より下に町が展開されている場所のことで大都市が多く、普段は堤防で守られているという。そして、海抜ゼロメートル地帯で浸水が起きると2階浸水・3~4階浸水ほどの深さになり、場所によっては水がはけるのに数週間かかってしまう場所も出てくるだろうと話した。また、スーパー台風とは、アメリカの合同台風警報センターが定める最強クラスの台風である。
2013年11月にフィリピンへ上陸したのは、スーパー台風・ハイエン(台風30号)。死者・行方不明者は6000人以上に上り、沿岸部では高潮により壊滅的な被害がもたらされた。このような高潮は、台風が発達して中心部の気圧が下がることにより、海面への圧力が低下して水位が上昇し、それを暴風が押し流すことで発生する。ハイエンによる高潮は最大約9メートルに達した。そんなスーパー台風は近年、南西諸島への接近・通過も増えている。その大きな要因は、海面水温の上昇。高い海面水温の範囲が広がることに伴って日本近海でも台風が強大化し、スーパー台風に発達するものも現れている。坪木は、今年8月時点で年内に少なくとも3つのスーパー台風が発生している要因に、エルニーニョ現象を挙げた。これは、太平洋の東側の海面水温が上昇する状態を表し、それ以外(太平洋西側など)でも広範囲で水温が高くなっていることが大きく影響しているという。坪木は、「エルニーニョ現象時、台風は通常より東側で発生し、暖かい海面水温の上を西へ移動する間に台風が発達してスーパー台風になる。そのなりやすさが今年は顕著だ」と説明した。更に、台風が本州へ向かうことが多い9月以降も注意が必要だとし、エルニーニョの発達に伴い、スーパー台風が日本に接近する可能性があると話した。
「海抜ゼロメートル地帯がスーパー台風に襲われた場合、高潮以外にもう1つ、大きく注意しなければいけないことは?」というクイズを雛形に出題。雛形は”河川の氾濫”と答え、見事正解。海抜ゼロメートル地帯となる三大都市圏には大きな川が流れ込んでおり、東京圏では荒川、名古屋圏では木曽川・長良川・揖斐川、大阪圏では淀川などが挙げられる。これらは大きな流域を持っているため、上流域などで降った雨などが下流域で集約して河川の氾濫が起きるとし、そこに高潮が合わさることで大きな災害につながりやすいと山内は話した。それに対する対策として出されたキーワードは「広域避難」。これは近所の避難所に逃げるものではなく、海抜ゼロメートル地帯ではない所まで逃げる避難行動を指す。「江戸川区 水害ハザードマップ」の表紙に描かれた、江戸川区を含む江東5区で対策が進められている。
約70万人が暮らす東京都・江戸川区は、荒川・江戸川などの大河川の河口に位置し、陸地の7割が”海抜ゼロメートル地帯”となっている。堀尾は、深いところでは10m・2週間以上の浸水が続くため、ハザードマップにある通り、大規模水害時は広域避難をしてほしいと考えているとコメント。江戸川区を始めとした江東5区では、大勢の住民を広域避難させるため、台風上陸の3日前から72時間のタイムラインを作成し、対応を進めている。 3日前に行われるのは、共同検討開始の発表。この時点での気象予測を基に、5区長による共同記者会見を行い、住民に広域避難への準備を促す。2日前からは広域避難の呼びかけが始まり、高齢者などの要配慮者はこの時点で避難が必要となる。1日前には区民全員を対象に広域避難指示が発令され、区外の受け入れ可能な施設が発表される。9時間前には、地域内で安全が確保できる高い場所への垂直避難を呼びかける。この地域では区外へ移動する際に橋を渡る必要があり、台風の影響で公共交通機関が運行を停止した場合、橋の近辺で大渋滞が起き、避難中に被災する恐れがある。堀尾は、公共交通機関が動いている間に浸水の恐れが無い地域まで避難するのが重要で、計画運休が早まる可能性などもあることから、広域避難指示が出た時は躊躇いなく避難行動を取ってほしいと話した。
スタジオには「江戸川区 大規模水害 ハザードマップ」が用意され、区全体で避難が必要になるということを改めて確認した。広域避難の避難先には、住民が自主的に確保する、浸水域外の親戚や知人宅・勤め先・宿泊施設などと、行政が開設する公的避難先施設がある。山内は、江東5区で広域避難を行う場合、公的避難先施設だけでは全員の避難先を準備できないため、一人ひとりが早いタイミングで自主的に避難先を決めて行動することが重要だと話した。雛形が体の不自由な人・高齢者などの一人では動けない人への対応を尋ねると、山内は「個別避難計画」を紹介。これは、自力避難が困難な要支援者を誰が支援するか・どこに避難するかなどを、行政・介助者・要支援者が連携して事前に定める計画。しかし、要支援者数の増加・要支援者の状態の変化などにより、要支援者名簿の更新だけでも大変な業務になっていると説明した。また、広域避難は避難を促す側にも難しさがある。2019年の台風19号接近時、江東5区では広域避難指示が”出せなかった”。広域避難は24時間前に判断して情報を発信するが、当時は上陸当日の朝に荒川が氾濫基準に達し、広域避難を行うと被害が大きくなってしまう可能性があったため、対応に入れなかったそう。一方で、埼玉県・加須市と茨城県・境町では当時、広域避難を行ったという。
利根川・渡良瀬川の合流点に位置する、埼玉県・加須市。2019年の台風19号では、川沿いに住む市民約8600人が広域避難を行い、市内や市外の避難場所に避難した。利根川氾濫の可能性が高まり、急遽避難指示が出されたのは午前1時。住民が一斉に避難する中で大渋滞が発生した。この地域で避難するには橋を渡る必要があり、その後も限られた避難場所に車が集中したためである。こうした経験を元に、市は渋滞せずに避難できる体制作りを進めており、地域や地区毎に避難場所を定め、避難ルートを分散させた他、避難先にはそれぞれの住民を受け入れられる施設や駐車場を確保した。現在はこの計画を元に、訓練を毎年行っているという。更に、地域では防災士を中心に、自主的な訓練も行っている。取材先では、住民それぞれが、気象庁から出される防災気象情報などを元に、自分たちがどのタイミングで避難するのかを決めていた。
