- 出演者
- 長谷川忍(シソンヌ) 影山優佳
間違いだらけの“未来予測”はなぜ見誤ったのか。過去の予測を検証すると人類の行く末が見えてくる。今回反省する未来予測は「20世紀に人と動物は自由に会話ができる」というもの。動物との会話は人類の永遠の夢で今から100年以上前に“20世紀の予言 人と動物は会話自在”という未来予測があった。ペットの気持ちを知りたいという飼い主は9割以上で、未だ人類は動物たちと自在に“会話”できていない。果たして人類が動物たちと自由に会話できる未来はやってくるのか。
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- 報知新聞
オープニング映像が流れた。
本日反省する未来予測は「0世紀に人と動物は自由に会話ができる」ということ。今回天国からお越しいただいたのは人と動物の会話に関する未来予測を発表した報知新聞の当時の編集総長である村井弦斎。本日の未来予測を反省するにあたり、専門家としてゴリラの研究でよく知られる人類学・霊長類学者の山極壽一と東京大学に世界で初めて動物言語学分野を専門とする研究室を創設した鈴木俊貴と東京大学で人間の体のシステムとその拡張性について研究している稲見昌彦が登場。村井弦斎は「人間が想像できることは人間が必ず実現できる」はフランスの小説家ジュール・ヴェルヌの言葉であり「二十世紀の冒頭に未来を予測してみるのもおもしろいだろう」とのことで報知新聞も「二十世紀の予言」を23項目掲載したという。例えば「暑寒知らず」というのは今のエアコンのことであり、リモート会議も「写真電話」ということで予測していた。その中の1つで100年もすれば獣語の研究が進歩して人と動物は自由に会話できると予測していたという。
鈴木俊貴は「実現しなかった」と言い切ることもできず、人間の言葉をイヌがしゃべることはないがイヌの気持ちはわかるし意思疎通はとれるので会話できている部分もあるとのこと。「イヌ・ネコ以外の動物との会話は?」については東アフリカのモザンビークに生息するノドグロミツオシエという鳥はハチの巣を人間に教えてくれるという。なぜかというと鳥は小さいからハチミツを取ることができないため人間を利用し「ゲギギギギ」と鳴くのである。これは「150年前からある」という説もあるという。もう1つ大切なのは環境をどのようにお互いに共有しているかで、会話ではないが環境を介して通じられるとのことだった。
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- ノドグロミツオシエ
だが大きく外れている部分もあり、「獣語の研究 進歩して…」については動物の鳴き声やしぐさを人間の言葉にすべて翻訳するのは難しいとのことだった。鈴木俊貴は一昔前にイヌ語の翻訳機がはやったが、翻訳機が完成したとはいえないと思うと話した。「環世界」を理解することが必要であり、それはドイツの生物学者のユクスキュルが提唱している概念とのこと。環世界とは全ての動物はそれぞれ種特有の知覚世界があり、それを主体として行動しているという考えである。例えばマダニは視覚や聴覚がないが、嗅覚と触覚と温度感覚が優れていて木の下で動物や人が通ったら「落ちてみよう」となり動物や人の地を吸うことができるという。
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- マダニヤーコプ・フォン・ユクスキュル
ここで米国の動物言語研究の先駆者である動物学者のガーナーの映像が登場。動物の言葉を理解してこなかったというのが未来を見誤った大きな反省ポイントで、ガーナーは蓄音機でサルの発生音を収録し別のサルに聞かせて反応から意味を探ったと話した。さらに野生のチンパンジーやゴリラの研究をするため、中央アフリカでは自ら檻に入って観察したという。そしてすべての哺乳類は経験と必要に応じてある程度の言語能力を備えていると確信したとのこと。しかし世の中には受け入れられず、人間以外の動物にも言葉があるなんで誰も信じてくれなかったという。山極壽一の指導教員であった伊谷純一郎は猿の音声には4つの種類があり叫ぶ・ほえる・呼び声・ささやき声とのことだったが当時は学会から猛反発を受けて「動物に言葉がある」と人類学では信じられていなかったからであったと話した。
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- リチャード・リンチ・ガーナー伊谷純一郎
そうした中でも動物の言葉に関する研究を続ける者はいたが、もうひとつ大きな盲点に気づいていなかったという。1944年にヘイズ夫妻が“ヴィキ”というチンパンジーに6年間かけて人間の言葉を覚えさせようと試みて「パパ」「ママ」「カップ」「アップ」という4つの言葉をなんとか発声できるだけとなっていた。歯の並び方がヒトがアーチ型なのに対しチンパンジーはU字型で口の構造から言葉をしゃべることができないとのこと。次に行われた研究はアメリカの心理学者であるガードナー夫妻が生後10か月のチンパンジーであるワショーを自分たちの家で育てながら手話を教える実験を行い、この研究は類人猿の言語研究として初めて科学誌「SCIENCE」に掲載されていた。ワショーは最終的に250種類の手話を習得したという。さらに研究を進めて類人猿に人間の言葉を覚えされる研究をし、1980年代始めにアメリカの心理学者ランボー夫妻がボノボという大型類人猿の研究を始めた。人間が発した質問に対して、絵文字を指さして意思を伝えるというもの。ボノボのカンジは約500の絵文字を覚えて話し言葉を3,000語も理解した。これは霊長類研究の中で最も会話に近づいた事例とされている。また鈴木俊貴はオウムの仲間のヨウムに英語と意味を教えていく実験をしたことが有名だと話した。こうした研究にはある“落とし穴”があり、人間の生活環境の中で“人間の言葉”を理解できるか?しか研究してこなかったという。
今は人間が“動物の言葉”に耳を傾ける研究が進んでおり、鈴木俊貴はシジュウカラという野鳥がいろいろな鳴き声を使い分けていることに興味を持ち人間の言葉との以外な共通点が鳥にあることがわかってきたという。迫ってきた天敵によって鳴き声が違うため、ものを示す言葉に近いのではないかとのこと。言葉を組み合わせることもでき、モズの剥製で検証し語順をひっくり返すと伝わらなくなるとのことだった。
他にもイヌの尻尾の振り方が右振りでは幸福を感じているときとなるが、左振りは不安・ストレスを感じているときだという。
1対1での翻訳は難しいが、頭で理解することは可能だという。また植物は人間のことは気にしておらず昆虫のことを気にしているらしいが、虫の目線で植物がどう映るのかをカメラをつけながら観察すると昆虫をこうさせたくて植物の花はこうできているということがわかるとのことだった。他にもイルカの鳴き声を生成できるAIモデルもできているという。
長谷川忍は「動物の世界があるという考え方をしていなかった」と話した。
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- 村井弦斎
「未来予測反省会」の次回予告をした。
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