- 出演者
- 佐藤二朗 片山千恵子 河合敦
今回は大河ドラマ「べらぼう」に登場する江戸の仕事人たちを特集。飛脚たちが駆使した謎の走法とは?
- キーワード
- 蔦屋重三郎
オープニング映像。
大河ドラマ「べらぼう」でも描かれている出版業、飛脚にスポットを当てる。
- キーワード
- 大河ドラマ べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜
江戸時代の古書、古地図などが販売されている店は研究者たちから重宝されているという。当時のベストセラー「偐紫田舎源氏」に注目すると、絵と文字のレイアウトを工夫し、物語に引き込もうとするアイデアが随所にみられる。かつて徳川家康などによって活版印刷術が日本に伝わったが、くずし字とは相性がよくなかった。一方、木版なら手間暇はかかるが、絵も文字も自由に表現できる。江戸時代の版木を調査すると、美しい印刷を追い求める職人たちのこだわり、超絶技巧が垣間見えた。葛飾北斎、歌川広重の復刻版画などを手掛けてきた永井沙絵子さんに「偐紫田舎源氏」を彫って貰ったところ、「尋常じゃない細かさ」、「狂気の沙汰」などと吐露した。
江戸時代、古紙は回収され、再生紙として生まれ変わった。庶民向けの本に使われていたとされる。再生紙を漉く際、デンプンの細かい粒子が繊維の隙間に入り込み、表面がなめらかに仕上がる。
佐藤二朗は米粉が入った再生紙、入っていない再生紙の違いを比較した。老中の松平定信は出版統制をはじめ、倹約など社会の引き締めを図った。「文武二道万石通」には鎌倉時代の畠山重忠の姿が描かれているが、家紋に着目すれば松平定信を示していると読者は気付いた。読者に気づかせるには細かな表現力が必要だったという。
江戸時代、飛脚は馬で特産品、預かったお金などを日本各地に大量輸送していた。何時にどの場所へ到着しているべきかなど細かく書類に記載していて、時間厳守などのプロ意識が見て取れる。急ぎの際、確実な輸送を保証したのが走り飛脚。江戸と京都の間を3日で運ぶことができたという。スポーツ科学を専門とする山田洋教授はナンバ走りを長年にわたり、研究してきた。荷物の動きを少なくするべく、左右の体のブレ、上下に飛び跳ねる動きは少なく、歩数が多い。地面との設置時間が長いと、障害物など危険の回避にも対応できたと考えられる。安政の大地震の際には被災地の状況を各地に伝えるべく、走り飛脚たちは東奔西走した。
「南総里見八犬伝」の著者である曲亭馬琴は作品のゲラを大阪の版元まで飛脚に届けさせていたという。佐藤二朗は無名の仕事人たちの繊細な仕事ぶりに熱いものを感じたという。
「歴史探偵」の次回予告。