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オープニング映像。2024年1月1日に発生した能登半島地震。最大震度7だった輪島市は大きな被害を受けた。1万人以上が避難を余儀なくされる中で、1月16日に輪島塗の職人だという人からメールが届けられた。そこには輪島から人がいなくなってしまうことを危惧する気持ちが綴られていた。
メールの送り主である古込和孝さんは現在親戚の家に避難しているという。工房兼自宅を見せて頂くと、壊れた器が散乱しており、中には1年かけてまもなく出荷だったものもあるという。輪島塗は120以上の工程を経て作られ、他の漆器にはない丈夫さがあるという。古込さんは漆器に模様を作る作業を得意としているという。輪島塗はピークから9分の1になり職人の人数も減っている。古込さんは知人の職人である辻さんと引き合わせてくれた。辻さんの工房もまた、地震の被害を受けていた。そんな辻さんと古込さんは被害をまぬがれた漆器を持ち寄っての作品展を行いたいとした。“輪島の未来のために”と題したこの企画、古込さんは現在の状況を「未来が見えない」と表現し、将来のためになにかをしたいと考えたからこそだという。現在2人は賛同してくれる仲間を募る。
古込さんは2007年にも地震に見舞われ、輪島の工房は100軒も減ったという。だからこそこうした職人が減ることを避けたいと考えた。しかし恐れていたことが現実になる。
石川県能美市に輪島市から避難してきた古原秀樹さんは腕利きの職人でもある。古原さんはある日、輪島の自宅を訪れた。古原さんのいた地域は震災で孤立、救助されたのは5日後だったという。全壊認定を受けて住めなくなったという自宅、さらに自宅内の工房はものが散乱していた。輪島で生まれ育った古原さんだが「もう戻ってくることはない」と語った。1人の輪島塗食人が輪島を去った。その数日後、古込さんは夫人と一緒に自宅の片付けを行なっていた。この日、移動の車の中で古込さんが作品展のために忙しく、生活再建が後回しになっていることに奥さんの幸子さんは不満を口にした。そんな古込さんに作品展が決定したという知らせが入る。古込さんは輪島を去った古原さんに協力を仰いだ。さらに職人たちはこの作品展をPRするためにインスタライブで自分たちの気持ちを伝えていく。インスタライブには応援コメントも多く寄せられたという。作品展前日、古込さんたちは600点の漆器を展示していく。そこに古原さんも駆けつけてくれた。古原さんは古込さんたちとの再開に元気をもらったとし「ここから再出発」だと語ってくれた。作品展は翌日に迫っていた。
開催された作品展、多くのお客さんが訪れてファンの方は輪島塗への思いを語ってくれた。また店頭では妻の幸子さんも接客を手伝ってくれた。今回の作品展で出展されたものは震災をまぬがれたもの、それだけに古込さんは感慨深いのだと語ってくれた。輪島に戻った古込さん夫婦、輪島の現状を見て進むしかないという気持ちを新たにした様子だった。次に行うのは工房の再建、さらにここから続けていくことが恩返しなのだと語ってくれた。
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- 令和6年能登半島地震輪島塗輪島市(石川)