2026年5月6日放送 10:05 - 11:34 NHK総合

解体キングダム
大阪・関西万博スペシャル

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(オープニング)
オープニング

今回は、大阪・関西万博スペシャル。去年4月、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開幕。パビリオンの数は84。会期中、2500万人以上が訪れた。去年10月に閉幕し、今、解体工事が行われている。

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大阪・関西万博スペシャル
解体ファイル50 大阪・関西万博 大屋根リング

去年12月。各パビリオンなどの解体工事が進められていた。万博会場は、大阪市から借りている土地で、解体を1年半で終え、更地にして返却する必要がある。パビリオンは、解体前提に建設されているため、スピーディーに解体が進むという。難関は、大屋根リング。上部には1周2kmの遊歩道が設けられ、高さは最大20m。世界三大の木造建築としてギネス世界記録に認定された。一部を残し、大半を解体することになっている。大屋根リングの建設は、2023年4月に着工。清水寺などに使われている貫構法から着想を得た。工場で精密につくられたユニットとして製造され、それらを現場で組み上げ、巨大な円につなげていった。去年2月に完成した。木の板を何枚も重ねて接着し、1本の大きな塊にした建材「集成材」を使用している。木目の向きが異なる複数の板を組み合わせることで、互いの反りを打ち消し合い、真っ直ぐで強い材料になる。強度は、鉄骨に優るとも劣らない。大屋根リングを構成するユニットのうち約6割をリユース解体する。クレーンを使い、大屋根リングの木材をひとつひとつ吊り降ろす。解体工事は現時点で、準備中だという。

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万博の歴史

世界中の158の国と地域が参加した大阪・関西万博。会場を訪れた人々を魅了したのが、個性あふれる世界各国のパビリオンの建築。歴史をたどると原点は1851年、世界初の万博の会場、イギリスが当時最高峰の技術で建てた、鉄とガラスの宮殿から始まった。1889年のパリ万国博覧会では、エッフェル塔が建てられるなど、万博は国の技術を建築で示す舞台だった。やがて万博は世界中の建築が共演する、テーマパークのような場に進化していった。二十世紀に入ると建築技術の進化とともに、新素材の登場によって万博には次々と個性的なパビリオンが登場した。

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オランダ館

オランダ館では工事責任者の沖田稔さんが迎えてくれた。オランダ館の最大の特徴は夜になると淡い光を放つ球体。これは太陽をモチーフにした次世代の太陽だという。パビリオンの壁の波の模様とともに海抜が低い国が挑み続けてきた光と水との共生を表現している。球体の内部は映像と音に包まれる没入空間で、訪れた人たちは水と光が循環する未来の世界を体験した。前代未聞のデザインや常識を覆す建築様式、オランダ館の華やかな姿の裏には日本の技術者たちのあくなき挑戦があった。建物の基礎となる地盤には軽量の発泡スチロールが敷き詰められており、軽く丈夫な素材FRPが使用されている。その結果パビリオン全体の重さを想定よりも約20%軽量化することに成功した。オランダ館は丸ごと移築されるという。

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ヨルダン館

大阪・関西万博の満足度ランキング1位は中東の国のパビリオン・ヨルダン館(ぴあ調べ)。訪れた人たちのお目当ては、通称赤い砂。世界遺産ワディ・ラム保護地域はヨルダン南部「月の谷」とも呼ばれる砂漠地帯。映画「スター・ウォーズ」のロケ地になったこの場所から砂は運ばれてきた。この砂はこの後鳥取県に行き、砂をテーマにした展示施設でリユースされる。

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解体ファイル50 大阪・関西万博 大屋根リング

2026年1月下旬、大阪・関西万博の大屋根リングの解体が始まった。解体初日を城島茂と前田亜美が見学。今日の解体はリングの北東部、唯一2段構造となっている部分の上段に位置する場所。ブロックごとに床材を外し柱と梁を順に解体。鳶職人のリーダー・野田が一番重要と語るのは玉掛けの作業。玉掛けとはクレーンで物をつり上げる際にワイヤーをかける作業のこと。模型を使って玉掛けの作業の重要さを解説した。

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斜めに傾いた 3tの床材 安全につり下ろせ

大阪・関西万博の大屋根リングの解体を城島茂と前田亜美が見学。地上では120tクラスのクレーンが待機。クレーンオペレーター・川須に話を聞く。立地上風が強いので怖い、床板は3tだが、これは我々にとっては軽い方であり、軽い部材ほど凧のように風の影響を受けると語る。解体作業は玉掛けのためのボルトを床板に打ち込むところから。床材をスピーディーに吊り降ろすためにイタリア製の特殊なつり金具を導入。チェーンブロックを操作しながらクレーンでつり上げる力のかかり具合を調整。上げ始めた瞬間下側だけが上がった。このまま上げると勢いで揺れ、作業員に危険が及ぶ可能性がある。チェーンの張り具合を修正し、今度は下側と上側が同時につり上がった。床板は無事に地上へと降ろされた。これから下の柱や梁を解体していく。

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大阪・関西万博 知られざる物語

2500万人以上が訪れた大阪・関西万博。大屋根リングは多くの人の記憶に残る風景となった。リングの足元を支えていたのが幾層にも板を重ねられた集成材。福島・浪江町は15年前に起きた東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けた。原発から約10キロ圏内に位置し、町の大半は今も帰還困難区域に指定されている。そんな町の一角の避難指示が解除された地域に真新しい木材加工場が建っている。木材加工場の責任者・朝田英洋さん。敷地は東京ドーム2個分。5年前に建てられたこの工場。国内最大級の設備を備え、大屋根リングを支える集成材の多くを生み出した。集成材を製造する上で最も重要なのが接着作業。高周波を当てて木材を内部から加熱し、熱と圧力で一気に固めていく。高い強度を持つことから、日本でも集成材を使った建築が次々と建てられるようになってきた。そのニーズは年々急速に高まりを見せている。この工場では需要の増加に応えるため、年間1万トンもの集成材を生み出す量産体制を築いている。その中心にいるのが責任者・朝田英洋さん、浪江町で110年以上続く製材会社の4代目。震災直後は何も考えられない状態だったという。避難指示が解除され、ようやく浪江町に戻ることができたのは震災から3年後。浪江町には7軒ほど製材関係の会社があったが、半分以上が廃業。会社も地元も守っていきたいと思い、戻ってきたという。元々林業が盛んだった浪江町の森。しかし、震災後は放射線量が高く、立ち入ることすらできなかった。朝田英洋さんは福島県内の安全が確認された地域から集め続けた。1年後、ようやく営業再開にこぎつけた。しかし、お客さんから「福島の木はいらない」と言われた。それでも諦めず、震災から10年後に国の支援を受け、地元企業と共同で新工場を立ち上げた。最新鋭の製造ラインを導入、大量の集成材を生み出す体制を整えた。その矢先に舞い込んだのが大屋根リングの仕事。仕事を引き受けるにあたり、朝田英洋さんには譲れないこだわりがあった。絶対に地元の木を使って作りたいと強く思っていたという。朝田英洋さんは一般的な放射線検査よりもさらに厳しい基準値を設定。原木から製材した材木まで、1つ1つ検査していった。そして、大屋根リングは朝田英洋さんが福島から送り出した木によって形作られていった。

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万博解体クイズ

「このバッグや財布は“あるもの”をリユースっして作られている それは次のうちどれ?」という問題。選択肢:(1)ウズベキスタン館の木材、(2)ルクセンブルク館の屋根、(3)ウーマンズパビリオンの外装、(4)ゴミ箱ロボットが回収した資源ゴミ。正解は「(2)ルクセンブルク館の屋根」。

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パビリオン 膜屋根のリユース

閉会直後、解体が始まったパビリオン。700平方メートルの巨大な膜屋根は1枚ずつ丁寧に切断された。パビリオンからこの膜屋根のリユースを任されたのは大阪・和泉市のカバン工房。元々建築に使われていた膜屋根。通常の生地とは勝手が違う。膜屋根は複数の層が重なった構造で、中心には強度を支える繊維がある。そこで行うのが生地を薄く削る“すき加工”。表面だけをミリ単位で削り、強度を支える中心の繊維はそのまま残す。この工房はこれまで廃タイヤのチューブをすき加工でバッグへと生まれ変わらせてきた。廃材を新たな価値へと変えるアップサイクル。その確かな技術が膜屋根を世界に1つのバッグに生まれ変わらせた。

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2025年日本国際博覧会和泉市(大阪)
解体ファイル50 大阪・関西万博 大屋根リング

万博の象徴・大屋根リング。その木材もリユース解体される。高さ20メートルの巨大な骨格部分。ここから始まる解体はただ壊すだけではない。傷つけることは許されない。今回解体するのは大屋根リングの心臓部とも言える柱と梁の骨組み。解体するのは平面ユニットと呼ばれる構造体。そのうちの3本の柱と9本の梁が一体となった部分を切り離す。重さは10トンほどになる平面ユニットの解体。解体された柱や梁は国際園芸博のモニュメントや能登の復興住宅などで再び使われることが決まっている。模型を使い、解体手順を確認。リユースする以上、壊すことは絶対に許されない。1番難しいのは接合部のジョイント。接合部の中には厚さ3センチの鉄板が入っている。まず、ボルトを外し、真っ直ぐに吊り上げて抜いていく。少しでも角度が傾けば、鉄板に引っかかり、抜くことができない。接合部は9か所、この全てを同時に抜く必要がある。ポイントは玉掛け。平面ユニットの玉掛けはまず、3本の柱にワイヤーをかける。そして、全てのワイヤーに均等に力をかけ、真っ直ぐ吊り上げなければならない。わずかでも調整を誤れば、ユニット全体が傾いてしまう。巨大な構造体のため、その重みが一気に接合部の梁に集中すれば、激しく破損する恐れがある。もう1つ厄介な問題が平面ユニットの正確な重量が分からないこと。木が水を含んだら、重量が変わってしまう。

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超巨大な平面ユニットを 壊すことなくつり上げろ

難関ポイント2「超巨大な平面ユニットを壊すことなくつり上げろ」。解体ミッション開始。リユースをする木材に傷をつけることは許されない。ゆっくりとクレーンのフックが降りてきた。ここからは先ほどの帯にクレーンのワイヤーをかけていく。3本の柱にクレーンのワイヤーが固定された。少しずつワイヤーを張っていく。今回の三点吊りでは全て均等に力をかけなければ、巨大な構造体は真っ直ぐ吊り上がらない。ここからは3本のワイヤーの張り具合を調整していく。吊り上げの準備が整った。柱の根本をチェーンソーで切断。平面ユニットが斜めに吊り上がってしまった。場所によって木の水分量が異なり、わずかに重さの差が生まれていたのか、巨大な構造体は狙いとは違う方向に上がった。このまま無理に吊り上げれば、梁の接合部が損傷する可能性がある。すぐさまクレーンの位置の修正を指示。斜めのまま抜き去った。接合部はわずかに欠けたものの、ダメージは最小限にとどめ、見事抜ききった。ミッションは大成功。今も万博会場の解体は続けられている。大屋根リングは約100メートルの範囲の解体が終わった。解体された柱や梁は1本1本トラックへと積み込まれていく。リユースされるため、日本各地へと送り出されていった。その中には福島・浪江町に建つ新たな駅の前でベンチとして生まれ変わる木もある。万博の柱や梁を作った朝田英洋さんは今、福島で森の手入れを続けながら、未来へ残す仕事に力を注いでいる。

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(エンディング)
エンディング

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