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多くの登山家が挑んできた頂点、エベレストに8848mを取材班が挑んだ。酸素が平地の3分の1、気温は氷点下30度と過酷だが、1ヵ月以上の道のりをついにおさめることに成功した。
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ネパールと中国の国境にそびえるエベレスト。ネパールからのびるエベレスト街道は依然は交易路として栄えていたが、現在はトレッキングコースとなっている。そしてそこはベースキャンプへの60キロ、3週間の道のりでもある。
ネパールではサガルマタ、別名天空の頭と呼ばれているエベレスト。上空のジェット気流が山にぶつかり、風下に雲を生み出している。比較的風が弱まる5月に登頂を目指して出発する。
エベレスト街道を歩き出して10日、標高は4000メートルをこえ酸素は薄くなり、平地の半分ほどになった。急に高度を上げると、高山病になるためすこしづづすすむ。タウチェ6501m、世界第5位のマカルー8463mなどが連なる中、更に標高をあげていく。カメラマンの田村幸英は、今まで味わったことないだるさだと話した。
街道をたどって3週間、エベレストのベースキャンプが見えてきた。ベースキャンプは標高5300mにあり、世界各国の登山家が集っているテント村だ。出迎えてくれたのはシェルパたち。
取材班は山頂を目指す5人は、ヒマラヤ登山の経験がある。リーダーの廣瀬学ディレクターは、8000m峰のマナスルに登頂しており、ネパールの人と登頂するのでお互いの国旗を用意していた。20歳の時日本人最年少でエベレストに登頂している山村武史カメラマンは、いかに簡単にセッティングできるか準備に取り掛かる。髙橋克昌カメラマンは、大きなハイビジョンカメラの準備をしており、これは世界初の試みとなる。
登山に欠かせない装備として酸素ボンベ、1本3キロもある。日本人でエベレストに最多5回登頂している村口徳行カメラマンは、ほかのメンバーに酸素ボンベの使い方を教えた。
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撮影をサポートしてくれるシェルパたちは、エベレストの酸素の薄いところでも動けるため、撮影機材やテント、食料などを運び上げてもらうのでなくてはならない存在だ。シェルパのリーダー、ぺンバ・ギャルツェンが今回の取材班には欠かせない人である。
登山を前に安全を祈願するプジャという儀式が行われる。チベット仏教を熱く新興するシェルパは、山を神と崇め、祭壇にかかげられたのはエベレストに宿るとされる女神である。シェルパたちの聖なる食べ物バターを登山道具に塗ることにより、神が守ってくれるからである。
今回のエベレスト登山のルートを説明。5300mのベースキャンプから、頂上までの標高はおよそ3600mである。その間に4つのキャンプを設け、取材班はそのキャンプを何度も往復し体を慣らす。まず目指すのは、標高6000mのキャンプ1である。途中には、最初の難関アイスフォールが立ちはだかる。
エベレストの登山初日、午前5時取材班がベースキャンプから旅立つ。アイスフォールとは、巨大な氷の滝であり、急斜面を流れ落ちる氷河が崩壊を繰り返す危険な場所である。気温が氷点下10度、硬い氷河の上をすすんでいく。足元には氷の割れ目クレバスがあり、アルミ製のはしごがかけられルートが作られている。場所によっては深さが20メートルもあり、氷が崩れ連日のようにルートが変更される。安全を守ることもシェルパの大切な仕事だ。
シェルパのミンマ・ヌルは、3年前兄をエベレストのアイスフォールで亡くしている。今回初めて登るが、兄のことを考えると怖くなるという。兄の遺体は半年後、クレバスから見つかったが、エベレストには今でも見つからない遺体が眠っている。
陽が登り気温が上昇すると、氷が崩れやすくなるため危険が増す。ルート上にはビルほどの今にも崩れそうな氷が傾いており、アイスフォールとの戦いは5時間も続いた。取材班はエベレストの最初の難関を無事突破し、キャンプ1へ向かった。
ローツェ・フェースに到達した時、動けなくなっている登山者を発見。下山させなければ命にかかわる状態だった。田村幸英カメラマンは何度かヒマラヤ登山の経験はるものの、7000mの環境に体を適応させることに苦労していた。
キャンプ3に到着して休憩する廣瀬学ディレクターは「遅々として進む感じだけど、振り返ってみると本当に長い距離を歩いてこれたなってわかる」と語っていた。
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登山16日目の5月8日、夜半から吹き下ろしの強風に襲われた。この強風で取材班のテントも2つ潰された。吹き荒れた風の風速は20m以上、万が一行動中に襲われれば、遭難の恐れもある。取材班はその日のうちにベースキャンプへ下山、全員無事だった。アタック出発予定は1週間後。
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5月12日、エベレストでまた山頂近くで日本人の登山家が遭難するという悲劇が起きた。エベレストに2回の登頂経験のあるベテランだったが、強風で動けなくなり亡くなった。エベレストで亡くなった人はこの年4人にのぼった。
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