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2024年、多くの日本人アーティストが活躍の場を世界に求めた。最前線に立つアーティストたちに密着した。
7月、ドジャースタジアムにCreepy Nutsの姿があった。ソニーとホンダが開発中の新たなEVのPRイベントでパフォーマンスを依頼された。Creepy Nutsは類稀なスキルで世界大会を制したDJ松永、日本屈指のラッパーR-指定の2人組。球場には子どもたちやインフルエンサーが招待された。イベントを撮影してもらい、SNSで幅広く拡散するのが狙いだ。独特のダンスと耳に残るフレーズで2024年を代表するヒットとなったこの曲はリリース直後から凄まじいスピードで世界に広がっていった。始まりは1月7日、「Bling-Bang-Bang-Born」はアニメ「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のオープニング曲としてYouTubeで世界同時公開された。最初にヒットしたのはウクライナのだった。リリース直後にSpotifyのチャート上位に躍り出た。その後、ベラルーシやカザフスタンなど近隣諸国でも日本に先駆けヒット。さらにヨーロッパ、アジアへと広がっていった。リリースから3日後の1月10日には老舗音楽レーベル・アリスタレコードがCreepy Nutsと契約するため日本のレコード会社に連絡を入れた。この頃、世界中の人々が「Bling-Bang-Bang-Born」のダンス動画を大量に投稿していた。中でも起爆剤となったのが400万人のフォロワーを持つアメリカのインフルエンサー「TheAnimeMen」だ。1月13日に彼らがTikTokに投稿した15秒の動画は1日で1000万回再生された。
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「Bling-Bang-Bang-Born」のビートは今のダンスミュージックの中でも大きい潮流になっている「ジャージークラブ」。5つのキック音を繰り返し独特のグルーブを生むサウンドだ。いま、多くの世界的アーティストが採用している。歌詞はR-指定の独自のセンスが日本語をわからない人々の心も掴んだんだという。ダンスの振付は1人のアニメーターが考案したものだった。アニメーターの榎戸駿は初めて「Bling-Bang-Bang-Born」を聴いた時、アニメらしいアクションシーンよりもダンスをメインに構成したいと考えた。何度も曲を聴いているうち、自然と体があの動きをしていたという。やがて、世界中の人々が様々な言語で歌い始めた。リリースから3週間後には世界31の国と地域でチャートイン。今、ストリーミングの総再生回数は7億を超えている。8月、ニューヨーク・マンハッタンでCreepy Nutsのライブが開催された。
今、海外に活躍の場を求める日本人アーティストが急増している。近年、その足がかりとして重要視されているイベントがある。4月、Number_iがアメリカにやってきた。人気アイドルグループを脱退した岸優太、神宮寺勇太、平野紫耀が世界進出を目標に掲げ結成したユニットだ。その第一歩として、60万人以上が集うと言われる世界最大級の音楽フェスに挑むことになった。コーチェラ・フェスティバルは8つのステージが設置され、6日間で150組ものアーティストが出演する。目の肥えた音楽ファンや業界関係者が集い、全世界に同時配信される音楽の巨大マーケットだ。世界進出を目指す各国のアーティストの登竜門となっている。3人が音楽フェスに出演するのは今回が初めて。Number_iのデビュー曲「GOAT」はアイドル路線とは一線を画し明確に世界を意識した楽曲だ。ビートは「ジャージークラブ」。難易度が高い最先端のダンスムーブも取り入れた。コーチェラのステージでNumber_iに与えられた時間は7分。観客を沸かせるためK-POPスターのジャクソン・ワンとコラボする。コラボすることでお互いのファンの熱量が上がり、人気が飛躍的に高まるチャンスとなる。
コーチェラ本番、Number_iが出演するのは8つあるステージの1つ。今回はJ-PO人気の高まりを受け、日本から過去最多5組のアーティストが招かれた。Number_iを知る客はほとんどない。「GOAT」が始まると次第に熱気が生まれ始めた。サプライズで登場したジャクソン・ワン。会場のボルテージはさらに高まった。この直後、米iTunes総合チャートで「GOAT」がトップ10入りを果たした。
10月、メキシコシティー、新しい学校のリーダーズのライブに8000人ものファンが詰めかけていた。日本よりも先に海外で人気に火がつき、大ヒット曲「オトナブルー」はTikTokで33億回再生を記録した。ことしは北米、ヨーロッパ、アジア26年をまわるワールドツアーに挑んだ。新しい学校のリーダーズにはメンバーの衣装を真似したり日本語の歌詞を覚えるなど熱烈なファンが多い。テキサス州在住のある男性ファンはライブのチケットやグッズなどに年間100万円以上を使う。アーティストの推し活を楽しむファンが今、アメリカでも急増、‘スーパーファン”と呼ばれている。スーパーファンはファン同士の熱量の高い交流をSNS上で行い、コミュニケーションを広げていく。中でも今人気を集めているSNSがDiscordで、6億人が利用すると言われている。
新しい学校のリーダーズのプロデュースを手掛けるのが中川悠介。結成は2015年、大人数の女性アイドルグループが全盛の時代にセーラー服で激しく歌い踊る強烈な個性を打ち出した。中川は時代に迎合しない戦略で成功を手にしたプロデューサーだ。その象徴がきゃりーぱみゅぱみゅ。原宿で個性的なファッションをしていたきゃりーを見出し歌手デビューさせた。きゃりーを海外に売り出すため、中川はYouTubeにミュージックビデオをノーカットで公開した。当時、日本ではCDの売上が下がることを恐れ曲を無料で公開することは稀だった。すると、海外のトップアーティストが指示を表明。YouTubeを通し世界がカワイイ文化の魅力を発見し、きゃりーの真似をするファンも多く現れた。その中川が新たにプロデュースしたのが新しい学校のリーダーズ。だが、リーダーズはきゃりーほど順風満帆だったわけではなかった。デビュー直後はまだ自分達だけの個性と見つけられていなかった。
リーダーズは個性を磨くため、振付師には頼らずメンバーだけでダンスを考えた。結成から5年が経っても立てるステージは小さなライブハウスばかりだったが、その環境が他にはないパフォーマンスにつながった。こうして生まれたパフォーマンスをTikTokに投稿し続けた。すると2020年、リーダーズの動画を目にしたアメリカの音楽プロデューサーからロサンゼルスの音楽フェスに出演を依頼された。こうしてリーダーズは世界に踏み出した。10月、ロサンゼルス公演では全米No.1のマーチングバンドと共演し、和太鼓も組み合わせた。
エンディング映像。
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