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養老孟司はおととし、5年生存率約10%の肺がんと診断された。著書で人間社会の本質を問い直してきた養老は、中でも生涯を通じて人間の生と死について探究を続けてきた。
オープニング映像。
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取材を始めた2025年7月、養老は入院しながら抗がん剤治療を受けていた。2024年4月に小細胞肺がんが見つかった。抗がん剤と放射線による治療を受け腫瘍は小さくなったが、左肺に転移して治療を再開。その後通院治療に切り替えた。養老は、私の年になったらがんがあって当たり前、死を体験することができないので考えてもしょうがないと話した。がんになっても変わらず昆虫の標本作りに情熱を注いでいる。養老は山梨で開かれた子どもたちのための昆虫観察会にやってきたが、残暑が厳しく30分ほどで切り上げざるを得なかった。
養老は2か月に1度の精密検査を受けた。4か月間入退院を繰り返しながら抗がん剤治療を受けてきたが、期待していたほどがんは小さくなっていなかった。20年前から猫のまるを飼っていたが、2020年の暮れに旅立った。養老は、いまだにロスのままだと話した。
10月、養老は講演のため東京大学のキャンパスを訪れた。学生時代から医学部の教授を退職するまで39年間を東京大学で過ごした。養老は1958年に東京大学に入学。戦後の焼け野原から急激に社会が変わる中、確かな拠り所を求めてあらゆる書籍を読み漁った養老は解剖学にたどり着いた。解剖に明け暮れ遺体に向き合う日々は、生と死の意味を見つめる時間でもあった。養老は、他人がいなければ死もない、喜怒哀楽と同じで1人で笑ったり怒っているのは変、世界がありのままでいいとすればあれこれ言う必要がない、何も変わらないし同じことを追いかけていると話した。
闘病を続ける養老の楽しみは、アゼルバイジャンの農家の日常を記録した動画だった。箱根にある養老の別荘は、虫好きが集う秘密基地でもある。養老は虫仲間からレアなゾウムシをプレゼントされた。この頃、養老は体調に異変を感じて食欲不振に見舞われていた。11月に米寿を迎えた養老は家族や虫仲間にお祝いされ、まるのぬいぐるみをもらった。
12月の検査で、左側の肺に転移したがんが小さくなったことがわかった。悪性度が高い小細胞肺がんとしては極めて珍しいことだった。薬の効果を見極めながら、引き続き治療を続けていくことになった。2026年3月、養老はこの年初めての虫取りで山梨を訪れ、マルハナバチを見つけた。養老は、薬が効かないで進行していたらどうかなとよく思った、1人で生きてると思っていたが他人がいないと意味がないことは山のようにある、自分だけなら消えて無くなっても寝てると思えばそれだけのことと話した。
エンディング映像。
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