- 出演者
- -
新潟・佐渡でトキを撮影した。田んぼにいる生き物を口でつついている様子が見られた。トキの命は佐渡の田んぼの豊かさに支えられている。雨風から民家を守る屋敷林は、トキの暮らしにうってつけ。台所からトキを眺めるのが日課になっている仲川さんは、トキがいると会話が弾むと話した。佐渡の人々の日常にも温もりを与えていた。田んぼに暮らすトキは、日本人にとって昔から身近な存在だったが、戦後の人々は生産性を求めて大量な田んぼで農薬を使うようになった。トキの糧となる生き物は激減し、その後絶滅した。国はトキを復活させようと、中国から同じ種のつがいを譲り受けた。徐々に増やすことに成功し、10羽が佐渡に放たれた。
冬、田んぼの水たまりで水浴びをしているトキを撮影。首から出る物質を体中に塗りつけていた。トキは、繁殖期に羽を黒く塗り替える習性を持っている。つがいのトキは、嵐の中でも子育てに備えて栄養を蓄えるため食べ物を探していた。春になると巣作りが始まった。卵が生まれると、親は1か月間温めて守り続ける。他の巣から枝を盗むトキもいた。
- キーワード
- トキ
農家の齋藤さんは、生き物に配慮した米作りでトキの食を支えてきた。佐渡でトキは500羽にまで増えたが、放たれた頃の慣れない野生の暮らしは楽ではなかった。そんな中でトキを支えてきたのが田んぼの恵みだった。齋藤さんたちは農薬を大幅に減らし、こうした田んぼが増えるきっかけを作った。田んぼは雑草で溢れかえり、20年以上試行錯誤を続けた。やがて多くの農家が賛同し、豊かな田んぼは島中に広がった。トキを支える田んぼでは、一般的な田んぼの倍以上とも言われる生き物が暮らしている。齋藤さんは田んぼに水路を作り、田んぼを乾かす際にトキの糧となる生き物が集う避難場所を作った。
1か所で暮らすと感染症などでまた絶滅する恐れがあるため、生息地の拡大を目指している。本州で最 後までトキが暮らしていた能登が、新たにトキを放つ場所に選ばれた。集落の自治会長を務める樋谷さんは、高校卒業後に実家の農業を継いだ。人口が減る中で30年前から催しを企画し、集落を盛り上げてきた。そんな中で樋谷さんが希望を託したのがトキだった。震災で集落からはさらに人が離れたが、暮らしを立て直しつつトキを迎える準備を再開することにした。
佐渡ではトキの子どもが無事巣立つことでできた。獲物をうまく捕まえられない子どもを親が心配そうに見つめていた。稲が伸びて田んぼに入れなくなったトキは、畔に生き物を見つけた。佐渡の農家は、生き物を守るため畔にも農薬を使わず手作業で草刈りをしていた。能登では地震で水路が崩れたため田んぼに水を貯められなくなり、樋谷さんは集落の先輩と佐渡の齋藤さんに話を聞きに行った。絶滅前に最後までトキが暮らしていた集落の田んぼには、トキがきっかけで移住してきた20~30代が有志で作業を手伝っていた。齋藤さんは、トキを放して良かった、トキは幸運をもたらしてくれると話し、樋谷さんは背中を押された。2026年5月31日、能登でトキが放たれた。
