京都市内にある自動車整備工場の中の20坪ほどの敷地で作られているのは、リーフレタスやベビーリーフなど6種類の葉物野菜。この野菜工場の設備をまるごと販売している会社がある。担当者は、設備のメンテナンスと栽培のアドバイスを行う。販売した会社はこれまでも市街地の空き店舗など、小規模なスペースに野菜工場を作ってきた。会社は収穫された野菜を買い取って、販路開拓の支援まで行う。市街地で作れば、新鮮なまま店に届けることができて、輸送コストも抑えることができる。今回、野菜工場を導入した自動車整備工場では、人手不足で事業規模の縮小を余儀なくされたことがきっかけになった。自動車整備工場・藤田周士会長は「工場としては半分、余裕のスペースが出てきたので、ちょうどいいマッチングができた」、野菜工場を販売する会社・須貝翼社長は「街なかにある居抜き物件などを活用して設備投資額が抑えられる。街なかに作るので野菜の販路が目の前にある。街なか農業というのをムーブメントとして起こしたい」と述べた。高い収益が見込めるいちごを栽培する新たな仕組みも開発されている。従来の培養液を与えて育てる方法では、多額の設備投資が必要となり、畑で育てる方法では腰をかがめての作業がかなりの重労働になる。こうした課題を解消しようと、肥料会社が開発した仕組みを紹介。土の周りに網を張ることで水はけをよくして、管理の手間を省くことができる。高い位置に苗を置くことで、立ったまま作業ができるようになった。大がかりな設備の必要がないため、コストを抑えることもできる。この仕組みを取り入れた法人はこれまで米を中心に作ってきたが、2年前からいちご栽培に参入したということで、収益力が高まることを期待している。農事組合法人・長谷川一男組合長は「簡単なシステムで、これだけのものができるのが、やはり一つの魅力だと思う」、いちご栽培システムを開発・肥料会社・小松一志部長は「楽に収益性の上がるシステムを組み立てていける一つのモデルになるのではないか」と述べた。