かこさとしさんの未発表の原稿は長女の鈴木万里さんが見つけた。タイトルは「くらげのパポちゃん」、戦争で死別した親子の思いをつなげようとくらげが奮闘する物語。挿絵はなく発表の機会はなかったが、争いが絶えない今だからこそ子どもたちに見てもらいたいと万里さんは考えた。作品に挿絵を描いたことがある孫の中島加名さんに絵を依頼した。地元の水族館を訪れて挿絵の手がかりを見つける。物語の舞台は戦後の日本。なぜかこさんはこの物語を書き残したのか?大正15年に生まれたかこさんは軍人を志していたが、19歳で終戦を迎えた。何の疑いもなく戦争へと突き進んできた自らを深く後悔した。希望を見出したのが子どもたちの存在だった。挿絵を描いた中島加名さんは子どもが入り込みやすいファンタジーの中に大切なメッセージを込めるというかこさんらしさがあるという。長女の万里さんは当時のかこさんの思いが込められているのではないかという。