先月、開業から30周年を迎えた大宮駅前のファッションビル。施設内には若者向けのショップが並び、プリントシール機のコーナーにはメークや着替えができるスペースもある。ここは、埼玉でギャルの聖地と呼ばれている施設で、平成のコギャルブームのころに開業して以来、長年、埼玉のギャル文化をけん引してきた。そんな大宮を巣立ったギャルが今、各地で活躍している。桶川市にある老舗和菓子店の6代目、榊萌美さんはかつて大宮でショップ店員として働いていた。榊さんが開発したのが、くず粉を混ぜたアイスキャンディ。イチゴミルクやみかん、小豆などがトッピングされ、鮮やかな色合いになっている。ゼリー状になっているため時間がたっても溶けず食感がぷるぷるなのが特徴。デザインにはギャル時代の経験を生かしたという。榊さんが店を継いだのは二十歳のときで、きっかけは店を支えてきた母が病気で入院したことだった。当時、店は1000万円の赤字で経営難だったが、榊さんは店を継ぐことを決意した。立て直しを図ろうと考えたのが新商品の開発。そのとき生まれたのがくずのアイスキャンディだった。多いときで一日5万本も売れる人気商品になった。ギャルの経験が店を黒字に回復させた。埼玉県在住で小学6年生のりゅあちゃんは小学生ギャルがメインの雑誌で専属モデルとして活動している。かつて大宮に通っていた母の影響などもありギャルに憧れたという。去年、アーティストとしてもデビューし、日本のみならず世界から注目を集めている。ファッションビルの社長として30年、ギャルとともに歩んできた中島祥雄さんは、これからも彼女たちを応援していきたいと話していた。