去年10月、88歳で亡くなった漫画家の楳図かずおさんの代表作の1つ「わたしは真悟」の未発表シーンの下絵12枚が見つかった。「わたしは真悟」は、工業用ロボットが少年と少女と過ごす中で自我を持ち、やがて事件を起こすというSF漫画で、出版社によると、いずれも本編には採用されていない未発表のシーンだという。漫画雑誌編集部・高橋元さんは「ここまで完成されているにもかかわらず、何か違ったということなんでしょうね。楳図先生の強いこだわりを感じる」と述べた。少年と少女が東京タワーを登る場面の下絵は1ページ全体にわたって描かれ、鉛筆画ながらも迫力が感じられる。少女が監禁されて脅迫を受ける場面の下絵には、本編では登場しなかったキャラクターが描かれていて、別の設定も構想されていたことがうかがえる。高橋さんは「AIという概念がおそらくなかった時代だと思うが描かれていて、先見性みたいなもののすさまじさも感じる。楳図先生のSFのすごさみたいなものをぜひ感じてもらえたら」と述べた。「わたしは真悟」はヨーロッパ最大規模の国際漫画祭で、永久に残すべき作品として「遺産賞」を受賞するなど、楳図さんの代表作の1つとして知られ、きょう発売の漫画雑誌にも追悼特集が組まれるという。