これまで経営統合に向けた協議を進めてきたホンダと日産自動車。日産・内田誠社長はホンダ・三部敏宏社長に協議を打ち切ることを伝えたとみられる。ホンダは創業者の本田宗一郎氏が戦後すぐの1948年に設立。もともとは今でいう原付きやバイクのエンジン製造からスタートした。そんな中自動車産業に乗り出したのは1963年。翌年にはF1に初参戦した。1988年からはアイルトン・セナさんがドライバーを務めたマクラーレンホンダが黄金時代を迎える。近年では新車販売台数で何度も首位を獲得している「N‐BOX」が人気を集め去年も20万台以上を売り上げている。日産自動車の設立は戦前の1933年。5060年代には「スカイライン」や「フェアレディZ」といった当時の若者が憧れた車を発売した。そして、70年代から80年代はトヨタ自動車に次ぐ国内2位のシェアを誇っていた日産だが、その後、業績が低迷。一時は2兆円以上の負債を抱える状態に陥る。そこでフランスの自動車メーカー、ルノーと資本提携しカルロス・ゴーン氏が社長に就任した。しかし、近年は売り上げが振るわない状況が続いており営業利益が90%以上減っている。これまで経営統合に向けた協議を進めてきたホンダと日産自動車。日産・内田誠社長はホンダ・三部敏宏社長に協議を打ち切ることを伝えたとみられる。モビリティービジネスに詳しい深尾三四郎氏は「(ホンダが日産に対し)まずは会社を立て直してくださいと。それに向け道筋をつけてくださいというのがこれまでの状況だったが具体的なリストラ案件をまとめられない」。そこでホンダは悪化している日産の株式を取得し子会社化する案を打診していたが、「日産経営陣のプライドが許さなかったと言える」。日産を巡り業界を超えた海外の企業の間で争奪戦が起きるのか。